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ユニークな化学構造をもった天然化合物を作る仕組み 4-メチルオキサゾリンを含むペプチド化合物の生合成機構の解明

掲載日:2014年7月29日

5位に位置する炭素がメチル化されたオキサゾリン環(C3H5NO)をもつ天然化合物はよく知られているが、4位に位置する炭素がメチル化されたものは非常に珍しい。5-メチルオキサゾリン環はアミノ酸の一種であるスレオニン由来であることが示されていたが、4-メチルオキサゾリン環がどのようにして合成されるかは全くわかっていなかった。

JBIR-34、-35の生合成経路。FmoHによって合成されたアルファメチルセリンは非リボソームペプチド合成酵素FmoA3に取り込まれ、ヘテロ環化によって4-メチルオキサゾリン環が合成される。JBIR-34、 35はFmoA3を含む4つの非リボソームペプチド合成酵素からなる“組み立て装置”によって合成される。

© 2014 勝山 陽平
JBIR-34、-35の生合成経路。FmoHによって合成されたアルファメチルセリンは非リボソームペプチド合成酵素FmoA3に取り込まれ、ヘテロ環化によって4-メチルオキサゾリン環が合成される。JBIR-34、 35はFmoA3を含む4つの非リボソームペプチド合成酵素からなる“組み立て装置”によって合成される。

東京大学と産業総合研究所のグループは、タンパク質の合成装置として知られているリボソームではなく非リボソームペプチド合成酵素によって合成され、4-メチルオキサゾリン環を含むペプチド化合物JBIR-34, -35の放線菌における生合成を調べ、4-メチルオキサゾリン環がアルファメチルセリンから合成されることを示した。加えて、アルファメチルセリン合成酵素FmoH 、アルファメチルセリンを取り込み環化によって4-メチルオキサゾリン環を合成する非リボソームペプチド合成酵素FmoA3など、JBIR-34、 -35の生合成に関わる一連の酵素群を明らかにした。

抗生物質の一種であるバンコマイシンなど非リボソームペプチド合成酵素によって生産されている医薬品も多く、コンビナトリアル生合成と呼ばれる遺伝子工学的手法を用いて非天然型の非リボソームペプチドを生産する研究が世界中で行われている。今回の研究成果は本手法によって生産される化合物の多様性の拡張につながるものであり、医薬品開発への応用が期待される。

論文情報

Adeline Muliandi, Yohei Katsuyama, Kaoru Sone, Miho Izumikawa, Tomohiro Moriya, Junko Hashimoto, Ikuko Kozone, Motoki Takagi, Kazuo Shin-ya, and Yasuo Ohnishi,
“Biosynthesis of the 4-methyloxazoline-containing nonribosomal peptides, JBIR-34 and -35 in Streptomyces sp. Sp080513GE-23”,
Chemistry and Biology Online Edition: 2014/7/17 (Japan time), doi: 10.1016/j.chembiol.2014.06.004.
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