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らせんに巻いた電子スピンによる巨大な光のアイソレーター効果 ギガヘルツ・テラヘルツ帯電磁波制御素子の実証

掲載日:2014年8月22日

東京大学大学院工学系研究科の高橋陽太郎 特任准教授、木林駿介大学院生(当時)、十倉好紀 教授および理化学研究所創発物性科学研究センターの関真一郎 ユニットリーダーらの研究グループは、物質中に生じるらせん型に配列した電子スピンが、光の進行する向きに依存して光吸収を大きく変化させる機能性を有していることを発見しました。

(c) 2014 Youtarou Takahashi. らせん型のスピン配列を持つ物質に対してエレクトロマグノンに共鳴した光を当てた時、左から入射する光に対しては透明であるが、右から入射した光は吸収される。

© 2014 Youtarou Takahashi.
らせん型のスピン配列を持つ物質に対してエレクトロマグノンに共鳴した光を当てた時、左から入射する光に対しては透明であるが、右から入射した光は吸収される。

研究グループは、らせん型に電子スピンが配列したとき、ギガヘルツからテラヘルツの周波数帯にエレクトロマグノンと呼ばれるスピンの集団運動が現れることを発見しました。さらに、らせん型のスピン配列が持つ「磁性」と「カイラリティ」という二つの性質によって、エレクトロマグノンが巨大な磁気カイラル効果を示すことを明らかにしました。磁気カイラル効果によって、光の進行方向に依存して吸収係数を最大400%変化させることに成功しました。

将来の大容量通信等さまざまな応用が期待されている高周波のギガヘルツ帯からテラヘルツ帯では、光(電磁波)の制御のための技術開発が行われています。この結果は光(電磁波)を一方向にのみ通す素子(アイソレーター)や、物質の光吸収を外部の電場や磁場で操作可能な光(電磁波)制御素子としての展開が期待できます。

プレスリリース

論文情報

S. Kibayashi, Y. Takahashi, S. Seki and Y. Tokura,
“Magnetochiral dichroism resonant with electromagnons in a helimagnet”,
Nature Communications 5: 4583 Online Edition: 2014/8/1 (Japan time), doi: 10.1038/ncomms5583.
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