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原子核の新型巨大共鳴状態を発見  

掲載日:2012年8月21日

東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターと理化学研究所仁科加速器研究センター等の共同研究グループは、新しい巨大共鳴状態を鉛核(208Pb)とジルコニウム核(90Zr)で発見した。今回、発見した「荷電ベクトルスピン単極共鳴」という状態は、1970年代から理論的に予言された荷電ベクトルスピン巨大共鳴の一部で、原子核がスピンを持った陽子と中性子で構成されていることを反映する特徴的な状態である。この状態のエネルギーは共鳴振動を引き起こす核力の性質に特徴づけられる。また、中性子星の構造にも関連しているためその発見が待たれていたが、他の巨大共鳴と分離する手法が確立されていなかったため、実験的に確定させることができなかった。

本研究で発見された「荷電ベクトルスピン単極共鳴」の模式図 © Susumu Shimoura
原子核内でスピンの向きが揃った陽子と中性子が集団として振動している状態。

研究グループは、理化学研究所RIビームファクトリー施設で得られる不安定な原子核である三重水素ビームを用いた新しい実験手法により、世界で初めて荷電ベクトルスピン単極共鳴の存在を確定した。実験結果は、この共鳴振動を引き起こす力が斥力(反発力)である理論計算と一致した。今回の発見とそこで用いられた手法は不安定核を含めた様々な原子核に適用することにより、高密度原子核物質の性質や中性子星構造の解明への道を開くものと期待される。

プレスリリース

論文情報

K. Miki, H. Sakai, T. Uesaka, S. Shimoura, et al.,
“Identification of the β+Isovector Spin Monopole Resonance via the 208Pb and 90Zr(t, 3He) Reactions at 300 MeV/u”,
Physical Review Letters 108, 262503 (2012), doi: 10.1103/PhysRevLett.108.262503.
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