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物理学の100年越しの論争に決着 量子の非局所性を厳密に検証

掲載日:2015年4月23日

© 2015 不破麻里亜

© 2015 不破麻里亜

東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授と不破麻里亜大学院生(博士課程1年)らの研究チームは、アインシュタインが提唱した「ピンホールで回折した単一光子は空間的に広がるが、異なる2点で同時に観測されない『量子(光子)の非局所性』」を世界で初めて厳密に検証することに成功しました。

光子の非局所性は、1909年にアインシュタインが量子力学の不可解な例として提唱して以来、「物理学の100年論争」を巻き起こしてきました。それ以来、多くの物理学者達は高効率な測定による厳密な検証にしのぎを削ってきました。しかし、これまで用いられてきた光子を粒子として検出する方法では、検出効率が低い上に、光子の有無しか観測できなかったため、厳密に検証することは原理的に不可能でした。

今回、研究チームは、光子の電磁波としての側面に着目し、電磁波の振幅と位相を高効率に測定するホモダイン測定技術を構築しました。その結果、光子の非局所性を高精度かつ厳密に検証することに初めて成功しました。

この成果は基礎科学の大きな成果であるばかりでなく、光子の粒子性と波動性の両方を用いた新方式の量子暗号や量子コンピュータへの応用を可能にします。

論文情報

Maria Fuwa, Shuntaro Takeda, Marcin Zwierz, Howard M. Wiseman and Akira Furusawa, "Experimental proof of nonlocal wavefunction collapse for a single particle using homodyne measurements", Nature Communications Online Edition: 2015/3/24 (Japan time), doi:10.1038/ncomms7665.
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