ARTICLES

English

印刷

電圧で制御できる「キラル発光トランジスタ」 3Dディスプレイや量子コンピュータへの応用が期待

掲載日:2014年5月9日

すべての光は右回り円偏光と左回り円偏光の重ね合わせでできている。円偏光光源は、現在、3Dディスプレイ(表示された映像が立体的に見えるディスプレイ)に一部使用されており、将来的には量子コンピュータへの応用も期待されている。しかし、従来の円偏光を生成・制御する手法では、円偏光光源の微細化に限界があり、電場によって制御することは困難だった。

© 2014 張 奕勁
電圧によって、円偏光の向きを制御できる三端子発光素子。

東京大学大学院 工学系研究科 附属 量子相エレクトロニクス研究センターの岩佐義宏教授(独立行政法人 理化学研究所創発物性科学研究センター 創発デバイス研究チーム チームリーダー兼任)率いる研究グループは、同研究科物理工学専攻 岡隆史講師、オランダのフローニンゲン(Groningen)大学 叶劍挺准教授らと共同で、新たな原子膜材料として注目される二セレン化タングステン(WSe2)の電界効果トランジスタ(FET)を用いて、電圧によって左右の回転方向を制御可能な円偏光光源を実現した。

電圧によって制御可能な円偏光光源は、3Dディスプレイや量子情報の担体として非常に期待されており、物質科学、フォトニクスの両面から研究が盛んに行われてきた。本成果はWSe2の特異な構造と電子の状態を利用し、電圧によって左回りと右回りの円偏光を切り替えることが可能な円偏光光源の原理を提案・実証するものである。

プレスリリース

論文情報

Yijin Zhang, Takashi Oka, Ryuji Suzuki, Jianting Ye, Yoshihiro Iwasa,
“Electrically Switchable Chiral Light-Emitting Transistor”,
Science Online Edition: 2014/4/18, doi: 10.1126/science.1251329.
論文へのリンク

リンク

大学院工学系研究科

大学院工学系研究科 物理工学専攻

大学院工学系研究科附属 量子相エレクトロニクス研究センター

大学院工学系研究科 物理工学専攻 岩佐研究室

理化学研究所 創発物性科学研究センター

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる