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天の川のフレア領域に存在する恒星を世界で初めて発見 暗黒物質を探る新たな目印となる可能性

掲載日:2014年6月3日

太陽系が存在する銀河系では、天の川と呼ばれる円盤状の領域にほとんどの恒星や星間ガス(恒星の間に存在するガス状の物質)が集まっています。これまで、星間ガスの観測から円盤の外側がふくれ上がるフレアと呼ばれる構造が知られていましたが、そこに恒星が存在するかどうかやその分布についてはわかっていませんでした。

© 2014 Feast, Menzies, Matsunaga, & Whitelock.
天の川のフレア領域で初めて見つかった恒星のひとつ(OGLE-BLG-CEP-32)の赤外線画像(左) とスペクトル(右)。

今回、東京大学の松永典之助教と南アフリカ・ケープタウン大学のマイケル・フィースト名誉教授らの研究チームは、フレア領域に存在している恒星を世界で初めて発見しました。発見した5つの恒星は、おおよそ2~50日の周期で明るくなったり暗くなったりを繰り返す天体(セファイド変光星)の一種で、宇宙の中で距離を測定するためにさかんに用いられる「宇宙の灯台」とも呼ばれるものです。これらの天体は、いて座あるいはへびつかい座の方向に太陽系から6~10万光年の距離に位置しています。いずれも天の川と呼ばれる円盤状の領域からは3千光年以上離れており、これまでに知られていたセファイド変光星が高さ1千光年以内の円盤領域に集中している点で大きく異なります。

天の川がふくれ上がる様子(フレア)は、銀河系の外側の暗黒物質の分布によって決まると考えられており、今後これらの天体や同じような場所にある恒星を詳しく調べることで直接観測することが不可能な暗黒物質の分布に迫ることができると期待されます。

プレスリリース

論文情報

Michael W. Feast, John W. Menzies, Noriyuki Matsunaga & Patricia A. Whitelock,
“Cepheid variables in the flared outer disk of our galaxy”,
Nature Online Edition: 2014/5/22, doi: 10.1038/nature13246.
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