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日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」と感じる より円滑な異文化コミュニケーションに向けて

掲載日:2013年4月9日

東アジア人は欧米人に比べてアイコンタクトの頻度が低いことが知られています。しかし、その文化差を生み出す生理・心理メカニズムについては知られていませんでした。

電動液晶シャッターを通して実際の人の顔を提示し、心拍数と感じ方を測定した。視線が正面を向いている顔はよそ向きの顔と比べて、日本人・フィンランド人ともに、心拍数を減少させた。しかし、日本人はフィンランド人に比べ、正面向きの顔を「近づきがたい」「怒っている」と評定した。
© Hironori Akechi

東京大学大学院総合文化研究科の長谷川寿一教授、同研究科博士課程 (現・日本学術振興会特別研究員PD)の明地洋典氏らの研究グループは、フィンランドのタンペレ大学のヤリ・ヒエタネン教授とともに、日本人とフィンランド人を対象とした実験により、アイコンタクトに対する感じ方に文化差があることを発見しました。

本研究グループは、電動液晶シャッターを通して、視線が正面向き、よそ向き、または目を閉じている他者の顔を画像ではなく実際に提示し、その際の心拍の変化や感じ方の違いについて記録しました。その結果、正面向きの顔がシャッターにより自動的に提示された場合、日本人もフィンランド人もよそ向きに比べて心拍数の減少が見られたため、生理的には文化差はありませんでしたが、心理評定においては、日本人はフィンランド人に比べて正面向きの顔をより「近づきがたい」「怒っている」と感じることが明らかになりました。

アイコンタクトは社会的コミュニケーションをとる上で不可欠であることから、今回の結果を念頭に置くことで、コミュニケーション、特に異文化間の交流が円滑なものとなることが期待されます。今後は、この結果が、他の東洋・西洋の国々、また、日常の場面に一般化できるかどうかについて検討していく必要があります。

プレスリリース

論文情報

Hironori Akechi, Atsushi Senju, Helen Uibo, Yukiko Kikuchi, Toshikazu Hasegawa, and Jari K. Hietanen,
“Attention to eye contact in the West and East: autonomic responses and evaluative ratings”,
PLOS ONE Online Edition: 2013/3/14 (Japan time), doi: 10.1371/journal.pone.0059312.
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総合文化研究科 広域科学専攻 長谷川寿一・齋藤慈子研究室

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