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極めて低い消費電力で動くトンネル電界効果トランジスタを開発 ひずみシリコンとゲルマニウムを組み合わせた構造

掲載日:2015年1月13日

東京大学大学院工学系研究科の高木信一教授と竹中充准教授の研究グループは、極低電圧での動作が可能な新しい構造のトンネル電界効果トランジスタを開発しました。

今回実現したトンネル電界効果トランジスタの構造。高濃度p型にドープしたGeをひずみSiのチャネル上に形成し、ゲート絶縁膜として酸化アルミニウム(Al2O3)とタンタル(Ta)からなるゲート電極が、またひずみSi中には高濃度n型のドレイン領域を形成した。Geソースにはニッケル(Ni)のコンタクト電極を配置し、各電極にはアルミニウム(Al)の引出電極を用いた。基板にはSi基板を使用し、ひずみSiの間には埋め込み酸化膜を形成した。ゲート電圧を加えると、ひずみSi表面が高濃度のn型となり、表面にトンネル電流が流れる。

© 2015 M.-S. Kim, Y. Wakabayashi, R. Nakane, M. Yokoyama, M. Takenaka and S. Takagi.
今回実現したトンネル電界効果トランジスタの構造。高濃度p型にドープしたGeをひずみSiのチャネル上に形成し、ゲート絶縁膜として酸化アルミニウム(Al2O3)とタンタル(Ta)からなるゲート電極が、またひずみSi中には高濃度n型のドレイン領域を形成した。Geソースにはニッケル(Ni)のコンタクト電極を配置し、各電極にはアルミニウム(Al)の引出電極を用いた。基板にはSi基板を使用し、ひずみSiの間には埋め込み酸化膜を形成した。ゲート電圧を加えると、ひずみSi表面が高濃度のn型となり、表面にトンネル電流が流れる。

IT機器の消費エネルギーの増大は、国際的にも重大な課題であり、従来のMOS(金属酸化膜半導体)トランジスタとは動作原理の異なる、極低消費電力で動作するデバイスの開発競争が激しくなっています。

本研究グループは、今回、従来のMOSトランジスタとほぼ同等の素子構造で、シリコン(Si)に引張り応力を加えたひずみSiとゲルマニウム(Ge)のヘテロ界面からなる接合を用いる新しいトンネル電界効果トランジスタを実現しました。このトランジスタは、ゲート電圧のわずかな変化で極めて大きな電流変化を実現し、素子のオン状態とオフ状態での電流比を世界最高値にまで高めることに成功しました。この素子を用いることで、低い電源電圧でも動作する集積回路を実現する道が開かれます。IT機器の大幅な省電力化をもたらし、バッテリー不要な集積回路など、新しい応用を可能にすることが期待されます。

なお、本研究は独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST・研究領域「素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成」(極低消費電力集積回路のためのトンネルMOSFETテクノロジーの構築)の一環として行われました。

プレスリリース (JST)

論文情報

M.-S. Kim, Y. Wakabayashi, R. Nakane, M. Yokoyama, M. Takenaka and S. Takagi,
“High Ion/Ioff Ge-source ultrathin body strained-SOI Tunnel FETs – impact of channel strain, MOS interfaces and back gate on the electrical properties”,
Tech. Dig. International Electron Device Meeting (IEDM) 2014: p. 331-334.

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