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脂肪細胞における「肥満へのサイクル」の存在が明らかに 脂肪滴形成はさらなる脂肪合成・蓄積の引き金となる

掲載日:2013年6月28日

© Ryuichiro Sato. ペリリピン存在下での脂肪滴形成→SREBP-1活性化→トリグリセリド合成遺伝子発現上昇→脂肪滴形成という正の循環システム

肥満とは、脂肪細胞における脂肪滴形成が過剰に行われることであり、脂肪滴形成の分子機構を明らかにすることは 抗肥満に向けて重要な課題と言える。しかしその全容は必ずしも明らかになっていない。脂肪細胞は体の中で唯一、脂肪=トリグリセリド(TG)を蓄えることを目的に機能している。この特化した役割に対応すべく、脂肪滴表面タンパク質ペリリピンは脂肪細胞特異的に発現している。ペリリピンに囲まれた脂肪滴は脂肪分解酵素の攻撃を受けにくく、脂肪蓄積を促進する。ペリリピン欠損マウスの脂肪細胞には小型の脂肪滴が存在し、高脂肪食を摂取しても肥満しないことが知られていた。今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループがペリリピン欠損マウスの脂肪組織を詳細に調べたところ、脂肪酸・TG合成に関わる複数の酵素遺伝子の発現を促進する転写因子SREBP-1が十分に活性化されないことを見いだした。本研究結果より、脂肪滴形成→SREBP-1活性化→脂肪合成増加→脂肪滴形成亢進という正の循環システムの存在が明らかになった。脂肪細胞における脂肪滴形成を抑制することは抗肥満に直結する。上記の循環システムを遮断するという新たな抗肥満の方向性を提示した。

プレスリリース

論文情報

Yu Takahashi, Akihiro Shinoda, Norihiko Furuya, Eri Harada, Naoto Arimura, Ikuyo Ichi, Yoko, Fujiwara, Jun Inoue, Ryuichiro Sato,
“Perilipin-mediated lipid droplet formation in adipocytes promotes sterol regulatory element-binding protein-1 processing and triacylglyceride accumulation”,
PLoS ONE 8(5): e64605, doi: 10.1371/journal.pone.0064605.
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