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イネの耐病性増強へつながる成果 生理活性フラボノイド「サクラネチン」生産の鍵酵素遺伝子をイネで発見

掲載日:2012年6月12日

様々な薬理効果を保持するサクラネチンの生合成最終段階 ©岡田憲典
OsNOMT遺伝子は基質となるナリンゲニンの7位を特異的にメチル化するメチルトランスフェラーゼをコードする。

東京大学生物生産工学研究センター清水崇史研究員および岡田憲典助教らの研究グループは、これまで長年不明であったイネの主要なフラボノイドで抗菌性化合物として知られるサクラネチンの生合成最終段階を担う鍵酵素遺伝子OsNOMTの同定に成功した。この遺伝子は様々なフラボノイド化合物の前駆体として知られるナリンゲニンの7位にメチル基を付加するメチル基転移酵素(ナリンゲニン7-O-メチルトランスフェラーゼ)をコードしており、生理活性物質であるサクラネチン合成に必須であるが、その合成に必要な遺伝子の特定はこれまで成されていなかった。そこで、以前の研究からサクラネチン合成酵素OsNOMTの精製の妨げになっているものと考えられたコーヒー酸3-O-メチルトランスフェラーゼ(OsCOMT1)の変異体を利用し、OsNOMTを効率的に精製し目的遺伝子を特定した。OsNOMT遺伝子の発見により、様々な薬理効果が報告されているサクラネチンの微生物生産が可能となり、また、将来的にはサクラネチンの含有量を高めたイネを育種することで、病原菌耐性の増強と共に、サクラネチン強化米の作出につながることが期待される。

プレスリリース

論文情報

Takafumi Shimizu, Fengqiu Lin, Morifumi Hasegawa, Kazunori Okada, Hideaki Nojiri, Hisakazu Yamane,
“Purification and identification of naringenin 7-O-methyltransferase, a key enzyme in the biosynthesis of the flavonoid phytoalexin sakuranetin in rice”,
Journal of Biological Chemistry 287 (2012): 19315-25, doi: 10.1074/jbc.M112.351270.
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