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Research News

ヒゲクジラ類における受動的な採餌行動を発見

カツオクジラの立ち泳ぎ採餌

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大気海洋研究所
2018/03/02

© 2018 Takashi Iwata.カツオクジラは立ち泳ぎをしながら、水面で口を開け、餌の小魚が口の中に入ってくるのを待ちます。

立ち泳ぎ採餌中のカツオクジラ
カツオクジラは立ち泳ぎをしながら、水面で口を開け、餌の小魚が口の中に入ってくるのを待ちます。
© 2018 Takashi Iwata.

東京大学大気海洋研究所の岩田高志海洋科学特定共同研究員(当時、現:英国セントアンドリュース大学 日本学術振興会海外特別研究員)らの共同研究グループは、東南アジアのタイ王国領域にある水深の浅いタイ湾に生息するカツオクジラが受動的な採餌行動をすることを発見しました。この立ち泳ぎをしながら餌獲りをする様式は、カツオクジラを含むナガスクジラ科の動物において従来報告されている餌の群れに向かって口を大きく開け突進する行動(突進採餌)とは完全に異なるもので、カツオクジラが様々な環境に対して、柔軟に対応する能力を持つことを示します。

調査海域のタイ湾は、河川から大量に流れ込む淡水と汚水が原因の富栄養化によって水面付近以外は貧酸素な環境となっているため、餌の小魚も水面にしか生息できない環境となっています。

研究グループが実施した目視による直接観察と動物に装着した行動記録計とビデオカメラから、カツオクジラは立ち泳ぎをしながら、水面で口を開け、餌の小魚が口の中に入ってくるのを待つ方法で餌を獲っていることがわかりました。この立ち泳ぎ採餌は受動的な餌獲り様式であるため、採餌に必要なエネルギーは、水面下で大量の餌獲りに用いられる突進採餌に比べて小さいことが考えられます。そのため、カツオクジラの立ち泳ぎ採餌は、水面に広がる餌を獲るのに効率的であると考えられます。

立ち泳ぎ採餌は単体の大人もしくは大人と仔供のペアで観察することができます。大人と仔供のペアでの立ち泳ぎ採餌は、社会学習であることが示唆されます。また他の地域のカツオクジラにおいて、立ち泳ぎ採餌の報告が無いことから、この行動は地域特異的な行動であることがわかります。社会学習や地域特異的な行動という点から、タイ湾で見られる立ち泳ぎ採餌は文化的行動である可能性が考えられます。

研究グループが示したカツオクジラの立ち泳ぎ採餌は、ヒゲクジラ類における受動的な餌獲り様式の最初の報告となります。またこのことは、カツオクジラが様々な環境に対して、柔軟に対応する能力を持つことを意味します。

「本研究では、カツオクジラの動物における新たな採餌行動を報告することができました。このことは、ナガスクジラ科の動物は潜在的に、様々な環境に柔軟に対応する能力を持っていることを示しています」と岩田研究員は話します。「タイ湾のカツオクジラは、立ち泳ぎ採餌だけでなく突進採餌も利用します。カツオクジラがどのように環境に適応しているのかを理解するためにも、今後は彼らがどのように採餌行動を使い分けているのかを明らかにしていきたいと思います」と続けます。

なお、本成果は中央水産研究所、英国のセントアンドリュース大学、タイ沿岸資源研究所、同国プーケット海洋生物研究所との共同研究により得られたものです。

論文情報

Takashi Iwata, Tomonari Akamatsu, Surasak Thongsukdee, Phaothep Cherdsukjai, Kanjana Adulyanukosol, and Katsufumi Sato, "Tread-water feeding of Bryde's whales", Current Biology Online Edition: 2017/11/07 (Japan time), doi:10.1016/j.cub.2017.09.045.
論文へのリンク(掲載誌

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大気海洋研究所

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