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目玉模様の謎 イモムシ体表にスポット紋様が生じるメカニズムの解明

掲載日:2013年5月17日

蝶や蛾の幼虫(イモムシ)の体表に見られるスポット状の紋様は、捕食者に対する警告的なシグナルになっていると言われていますが、その形成メカニズムや脱皮時に描き直されるしくみはほとんど知られていませんでした。今回、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤原晴彦教授と山口淳一特任研究員らの研究グループは、カイコの突然変異体やキアゲハなどの幼虫を用いて、幼虫体表のスポット紋様が生じるメカニズムを解明しました。これらの幼虫では、発生に関わる重要な遺伝子であるWnt1が、脱皮ホルモンに対する応答性を獲得して発現することにより、他の発生過程に大きな影響を与えずに脱皮の度にスポット紋様を生じさせていることが明らかになりました。今回の成果は、スポット紋様を生じさせる発生機構の謎を明らかにしただけではなく、イモムシのスポット紋様の研究が、進化学、発生学、生態学の分野に大きな影響を与えるモデルとなりうることを示すものです。

キアゲハの幼虫の写真 © Haruhiko FUJIWARA.
各体節にオレンジ色の連続したスポット紋様がみられる。

この成果は、イギリスの科学雑誌「Nature Communications」オンライン5月14日号で公開されました。

プレスリリース

論文情報

Junichi Yamaguchi, Yutaka Banno, Kazuei Mita, Kimiko Yamamoto, Toshiya Ando, Haruhiko Fujiwara,
“Periodic Wn1 expression in response to ecdysteroid generates larval spot markings on caterpillar”,
Nature Communications Online Edition: 2013/5/14, doi: 10.1038/ncomms2778.
論文へのリンク

リンク

大学院新領域創成科学研究科

大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻

大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 遺伝システム革新学分野

擬態を制御する機構:幼若ホルモンがアゲハ幼虫の擬態紋様を切り替える

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