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ウナギの幼生は何を食べているのか? ウナギ・レプトセファルスの食性を同位体比解析から解明

掲載日:2012年12月20日

独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という。)の海洋・極限環境生物圏領域・大河内直彦プログラムディレクターと、東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授、マイク・ミラー研究員らは、これまで知られていなかった天然環境中におけるウナギの幼生「レプトセファルス」(以下、「ウナギレプトセファルス」という。)の食性を明らかにしました。これは、JAMSTECが2009年に開発したアミノ酸の窒素同位体比を用いた新手法を用いて、正確な栄養段階を推定したものです。(栄養段階は、植物プランクトンなどの光合成生物は1.0、それらを食べる動物プランクトンは2.0、動物プランクトンを食べる魚は3.0というように、捕食関係で上位にある生物ほど数値が高くなる。)

ウナギのレプトセファルス © Katsumi Tsukamoto
レプトセファルスが何を食べて大きくなるのか、長い間の謎であった。今回の研究で、ウナギのレプトセファルスは海洋表層の植物プランクトンや動物プランクトンの死骸が分解されてできるマリンスノー(粒子状有機物)を食べて育っていることが強く示唆された。

長い間謎であったウナギレプトセファルスの食性については、これまで体表栄養吸収説、マリンスノー説、オタマボヤのハウス説、ゼラチン質動物プランクトン説という4つの学説に分かれていましたが、本研究の結果は、ウナギレプトセファルスの栄養段階はかなり低いことを明確に示し(平均2.4)、マリンスノー説を支持しました。本成果は、長年議論されてきた自然環境下での孵化後のウナギレプトセファルスの食性論争に決着をつけるとともに、今後のウナギの完全養殖に向けた取り組みに重要な情報を提供するものです。

本成果は、Biology Letters誌に11月7日付けで掲載されました。

プレスリリース

論文情報

Michael J. Miller, Yoshito Chikaraishi, Nanako O. Ogawa, Yoshiaki Yamada, Katsumi Tsukamoto, Naohiko Ohkouchi,
“A low trophic position of Japanese eel larvae indicates feeding on marine snow”,
Biology Letters Online Edition: 2012/11/7 (Japan time), doi: 10.1098/rsbl.2012.0826.
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