東京大学教職員・学生の手記「節電と温暖化対策との両立」

東日本大震災 - 東京大学教職員・学生の手記

平成23年3月11日に発生した東日本大震災発生時の様子やその後の行動、対応、感想等を本学関係者に手記として執筆してもらいました。

節電と温暖化対策との両立

東京大学サスティナブルキャンパスプロジェクト室室長補佐 迫田一昭

 わたしは、東京大学サスティナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)室でサステイナブルキャンパスを目指した活動をしています。

 今回の震災に起因する電力危機は、強烈な体験でした。原発停止による電力供給能力不足と言う事態は、輪番停電による電力のシェアリングに至り、実際柏キャンパスは停電を経験することになったのです。都区内は影響の大きさから、輪番停電を外れたのですが、それでも本学は都内で有数の大規模電力消費事業所(一般家庭8万世帯相当)ですから、電力消費を減らす社会的責任がありました。

 本学の行動は、素早く震災の翌々日の日曜日には、災害対策本部長名にて学内構成員に対し電力の緊急使用抑制の通知が出され、さらに電力危機に対応する全学組織として「電力危機対策チーム」が設けられました。結果として通常時の40%減と言う電力抑制が緊急的に実行されたのです。ただ、大学としては、単に節電だけをすれば良い訳ではなく、本来の教育研究機関としての重要な責務があります。

 ここで、節電対策チームのリーダーである松本洋一郎理事・副学長は、東京大学の教育研究はスローダウンさせないで節電を行うために「研究継続対策WG」を立ち上げ、本学の有識者による節電方策の検討を重ね、東京大学ならではの知恵を出し節電を進めたのです。

 ポイントはいくつかありました。

・大学の教育研究はスローダウンさせない・・日々のくらし領域で節電
・本学が進めてきた温暖化対策は維持する・・安易な発電機運用(モノジェネ)はしない
・節電目標を手法と試算の元にたてる・・・・TSCPデータの活用

 その結果、昨夏(2011年夏)は、ピーク電力を前年比15%削減という政府の要請を大きく上回る30%削減の自主目標を掲げ達成したのです。

 教育研究をスローダウンさせないで節電を行う、その為の知恵を大学自身が出す。また、温暖化対策と相反しない節電対策。大学が社会へ示すべきモデルとも言える取組みは、各方面からの評価を受けました。

 海外の大学の例では、国際研究型大学連合IARUのサステイナブルキャンパスプログラムで来日した交換留学生が本学の取組みを研究テーマに選び、また国内ではエコ大学ランキングで高い評価を受けました。

 東京大学は非常に大きな組織の大学ですし、教員・職員・学生と構成主体の立場も異なり、目標を共有する困難さがあります。ですが震災後の行動を見ますと、内部から見てもいざというときの底力は正直すごいものを感じました。ただその陰では、多くの大学構成員・関係者の献身的な取組みを見ていますので、その姿に改めて敬意を表したいと思います。

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