東京大学教職員・学生の手記「東日本大震災に対する災害対策本部の庶務担当課長としての対応や震災対応を経験しての感想」

東日本大震災 - 東京大学教職員・学生の手記

平成23年3月11日に発生した東日本大震災発生時の様子やその後の行動、対応、感想等を本学関係者に手記として執筆してもらいました。

東日本大震災に対する災害対策本部の庶務担当課長としての対応や震災対応を経験しての感想

本部総務課長 吉田 博之

 東日本大震災の発生直後に発足した「災害対策本部」では、本学における全ての構成員(学生及び教職員等)の安否確認を何よりも最優先、さらに学内関係施設等の被害状況の把握など、地震発生直後の初期段階で速やかに対応すべきことを、すぐに判断し、その場のニーズに応えるという考えで可能な限りの活動を行いました。当然、先例もマニュアルも無い、そのような非常に厳しい状況の下「災害対策本部」にご協力いただいた多くの方々は、明るく元気に、大変アクティブにご対応いただいたと思っています。心から感謝お礼を申し上げたいというのが率直な感想です。

 他方、東京大学における危機管理を担当する課長という立場で「災害対策本部」という組織を動かしていく上で、適切なマネジメントができたのかについては、いまでも疑問を感じています。

 また、様々な事情で「災害対策本部」に関わることができなかった方々が多数いたことも事実であり、そのような状況も承知の上で、小生としては、地震発生後、学内での様子や「災害対策本部」としての活動の中で、改善すべき点や個人的に感じたことなど、私見として以下に記したいと思います。


■ 「対策本部」の業務はその場で対応できる人間が中心になって遂行する。

⇒ どんなに立派ですばらしい体制を机上で構築していても実際に機能しない「絵に描いた餅」では全く無意味です。今回の大震災ではその場で対応できる人間が集結して必要な業務が遂行されました。将来、再び災害が発生した場合もその点は変わらないのではと感じています。しかしながら、当然、事前の備えは必要です。最悪のケースを想定して、また誰が担うことになっても業務が滞りなく進むよう多様なバージョンをあらかじめ用意しておくべきだと思います。

■ 全構成員(学生・教職員等)の無事を確認するまでに、地震発生後から約1ヶ月半もの期間を要したことは改めて検討すべき。

⇒ 安否確認は人命に関わることなので、「一定の成果が得られた」では中途半端であり、完璧に達成すべきだと思います。電話やメール等が不通になり安否確認・連絡を取る手段が何も無ければ、直接訪問するなど可能な限りありとあらゆる手段で対応するくらいの心構え、意識を持つことが必要だと感じました。

■ 政府からの要請等により、震災発生当日、帰宅困難者(学外者)の受入れを行ったが、(我々)受入れる側の体制が十分でない。

⇒ 御殿下記念館(ジムナジアム)、附属病院及び山上会館等に約400名を受入れました。今後も人道的な配慮、また本学が公的な施設であることから受け入れざるを得ない状況になることが想定されるので、具体的な受入場所や体制等について明確に整理し「災害対策本部」の発足と同時に本部長から指示できるような対策を講じておくべきだと思います。

■ 地震発生当日に懇親会を挙行した団体がいた。

⇒ 地震が発生したことは、自分には全く関係無いということからなのか、地震発生当日の夜に懇親会を平然と行う団体が存在したことに正直なところ驚きました。主催者側の考えなど状況がわからないため何とも言えませんが、推測するに、どうせ帰宅することができないようなので、それなら決行という主催者側の判断があったのかもしれません。ただ、本当にそれでよかったのでしょうか。大学当局として強制的に中止させるという選択肢もあったのではないかと思っています。



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