東京大学教職員・学生の手記「災害復旧事業費対応について」

東日本大震災 - 東京大学教職員・学生の手記

平成23年3月11日に発生した東日本大震災発生時の様子やその後の行動、対応、感想等を本学関係者に手記として執筆してもらいました。

災害復旧事業費対応について

施設部計画課建築チーム係長 島田 英明
(当時:施設部施設企画課事業企画・地域連携チーム)

 国から災害復旧事業費を獲得するためには、書類によって被災の内容や規模、事業費の概算金額を文部科学省に提出し現場査定を受け認められなければなりません。

 被災内容は災害速報として、ただちに文部科学省に報告する事となっており、その確認は電話にて行っていましたが、3/11 22:00現在では3~4部局からのみ報告が入っている状況でした。文部科学省より3/11現在の災害速報の提出を求められましたが、その時点で対応できるのは私一人しかいませんでしたので、届いている限りの資料をまとめ報告しました。

 報告件数が少なかったため対応できましたが、災害発生日より報告が求められるとは予想しておらず、自分の認識が甘かったと思います。しかし、「家が心配だから帰りたい」とか「家族が心配しているから歩いてでも帰りたい」と私も含めそれぞれが思っており、職場に残ってくれとはなかなか言いづらいのも確かではありました。しかしこの事は今後の作業分担体制を構築するきっかけともなりました。

 文部科学省に提出する災害報告書は、規模(数量)が確認できる写真と概算金額が必要であったため、大部分を施設部が作成しなければなりませんでした。

 今回の災害では電力供給が懸案となり、施設部では環境課がその対応に追われたため環境課の職員は災害復旧調査に加われませんでした。また、災害発生より一定期間ではありますが、余震対応のため24時間体制を敷いた事もあり、変則勤務となった職員もいました。色々な要因が次々に発生するため、作業及び役割分担には余裕を持ったつもりでしたが、書類作成は大変な作業でした。

 3/11に細かく時間毎に被災内容を報告してきた部局担当者もあれば、発生日より2週間も経ってから報告を行ってきた部局もありました。現地調査に行った際に地震で発生したひび割れであると案内された現場のひび割れ部分に草が生えていた要求もありました。建物を健全な状態にしたいという思いは同じだと思いますが、日頃のメンテナンスの良し悪しによって、何が壊れたのか、どこが不具合なのかを把握する時間と内容に差が現れているように感じました。

 私は地震直後に本郷構内の状況を確認するため自転車で様子を見に走りましたが、その際に慌てて出発したためにPHS(簡易型携帯電話)を忘れてしまいました。つまり、非常時に対する対応の準備が出来ていませんでした。3/11に文部科学省へ災害速報を打たなければならないのに、最終的にチームが一人になってしまった事も、何を行うのかという整理が出来ていなかった結果だと思います。

 非常時の対応は、通常業務以上にスピードや精度、効率が求められました。私やチームは、いつまでにどのように動くのかを前もって準備し、きちんと周知するところまで考えておく事と、その時に少し頑張れる気力と体力を養っておこうと思います。

 私はその後施設部内で異動となり、後任に残りの作業をお願いしましたが、災害復旧事業は大槌等一部を除き無事に終了しました。施設部職員に代わって事業費要求用の写真撮影をしていただいた方、倒れた塀の応急撤去をしていただいた方、事業費要求の見積もり聴取にご協力いただいた方々等、携わったすべての方にこの場を借りてお礼申し上げます。



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