平成23年度概算要求基準の決定を受けて

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平成23年度概算要求基準の決定を受けて

 

平成23年度概算要求基準の決定を受けて

  7月27日に平成23年度概算要求基準が閣議決定されました。閣議決定の内容は、「財政運営戦略」(6月22日閣議決定)の「中期財政フレーム」に即したものであり、各府省の概算要求(社会保障支出や地方交付税交付金を除く)について、前年度から一律1割削減することを求めています。国立大学法人運営費交付金をはじめとする大学関係予算も、この削減の対象となっています。一方、「1兆円を相当程度超える額」の「元気な日本復活特別枠」が設けられ、「成長戦略」に相応しい事業の要望が認められていますが、総じては、大学予算の先行きは極めて不透明となっており、大きな不安を抱かざるを得ません。

 これまで、「中期財政フレーム」が明らかになって以降、大学運営の基盤的経費が大幅に削減される恐れが生じたことから、7月14日に国立大学協会と日本私立大学団体連合会の共同アピール「『新成長戦略』の原動力は『強い大学』」を発表し、「国立大学法人運営費交付金及び私立大学等経常費補助は平成23年度概算要求枠での削減対象から除外すること」を強く訴えました。また、7月26日には、本学を含め、国立大学協会東京地区支部に属する12大学の学長が「平成23年度概算要求基準における大学予算について(声明)―『元気な日本の復活』を導く『強い大学』づくりを―」を発表し、概算要求基準を適切なものとするよう、重ねて要望をいたしました。

  しかしながら、今回の閣議決定の内容は、本学を含む大学関係者の願いに応えるものとはならず、誠に遺憾です。仮に1割もの削減率がそのまま適用されるならば、国立大学法人運営費交付金(約1.2兆円)は、単年度で1千億円、3年間で3千億円ものすさまじい削減となります。我が国の大学システム全体の崩壊を招くと危惧する所以です。東京大学においても、単年度で86億円の予算削減となります。これは法人化以来6年間の効率化による減額を一年で行い、さらにこれを3年続けるというものです。多くの学部・大学院、研究所、附属病院の存立が困難となります。また、それを避けようとするなら、授業料を毎年、倍増させていかざるを得ないことになります。

 当面は、この概算要求基準の下で、文部科学省がどのような分野・事業に重点を置いて概算要求を行うのか、その動向を注視することになります。東京大学としては、その帰趨がいずれにせよ、無駄や非効率の徹底した削減・解消を図りつつ、教育研究水準の維持・向上のため、最大限の努力を払う所存です。東京大学憲章などに示された本学の社会的使命に照らし、真になすべきことは何かを改めて確認しつつ、健全な経営に当たっていく決意でおります。「強い大学」づくりを通じて社会に貢献しようとする全ての大学に対し、国民の皆さま、各界からの、格別の御理解と御協力をお願い申し上げます。

7月27日

                                                                                                  東京大学総長

                                                                                                         濱田 純一


 

国立大学法人運営費交付金が1割削減された場合、東京大学の運営に及ぼす具体的な影響は甚大です。(参考資料)[PDF]

 
  東京大学の将来構想は、「成長戦略」の内容とも深く関わっており、その実現に大きく寄与するものです。(参考資料)[PDF]  
       

 

 

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