平成23年度概算要求・要望の発表を受けて

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平成23年度概算要求・要望の発表を受けて

 

平成23年度概算要求・要望の発表を受けて

 

1.大学への投資水準の確保を-国立大学法人運営費交付金の拡充

 日本の大学に対する公的投資は、先進諸国中、最低水準(対GDP比1%)にあります。また、国立大学の運営の基盤を支える国立大学法人運営費交付金は、毎年削減され、その規模は、平成16年度の法人化以降、平成22年度予算にかけて、830億円(東京大学に関しては69億円)にも達しています。今回の平成23年度概算要求・要望において、国立大学法人運営費交付金は、対前年度324億円増(2.8%増)の1兆1,909億円となっており、国立大学に対する適切な配慮がなされたものと受け止めています。それを確実に実現することが、これからの日本を支えていく「強い大学」づくりに必要です。

2.「強い大学」づくりが新たな成長の源

 今般の概算要求・要望においては、全ての新規事業は「元気な日本復活特別枠」に対する要望として扱われています。文部科学省からの要望項目には、「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」(1,200億円)などが盛り込まれています。これらの要望の中には、国立大学の教育研究基盤強化(630億円)をはじめ、「リーディング大学院」の形成支援、大学の世界展開力強化や学生の双方向交流の推進などの事業が盛り込まれています。こうした事業は、「強い大学」づくりを推し進め、大学を核とした成長サイクルを形成しようとするものであり、その実現を強く期待しています。

3.学生・保護者に安全・安心の提供を

  しかしながら、新規事業の要望については、「特別枠」の全体規模に限りがあることに加え、「政策コンテスト」によって、採否・金額等が決められるなど、その見通しは極めて不透明です。国立大学法人運営費交付金についても、それら「特別枠」への要望分を除くと、マイナス4.8%の削減になります。そのような規模の削減がなされれば、例えば、学生生活にとって大切な環境整備(例えば、教育施設、学寮など)は一層困難となります。また、授業料減免の措置(254億円)については、全て「特別枠」への要望として扱われており、経済的に困窮する学生に対して十分な支援がなされるのか、大きな懸念を抱かざるを得ません。学生・保護者に不安を与えないような対応を強く望みます。      

9月21日

                                                                                                  東京大学総長

                                                                                                         濱田 純一

 

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