総長室から
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入学時期の在り方についての検討などの総合的な教育改革
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○入学時期等の教育基本問題に関する検討会議(H24.4〜) 【設置要項】 【委員名簿】 【役員会からの諮問文】 【諮問にあたっての総長所信】 【総合的な教育改革の加速に向けて<総長所信(第二次)>】 【企画調整部会新学事暦(学部)案】 |
「総合的な教育改革」の重要な段階を迎えて [PDF版はこちら]
総 長
教育改革と大学の責任・主体性
いま東京大学では、これからの学部教育の在り方について幅広い取組みと議論が行われています。これまでも東京大学の中では、学部教育のより良い在り方に向けて真摯な改善が継続され、着実に成果をあげてきました。かつて駒場で、そして本郷で学生時代を過した私にも、今昔の感があります。それと同時に、改善の必要性を意識されながら、これまでかなり長い期間にわたって積み残されてきた重要な課題も、とりわけ大学全体の教育システムにかかわるものについては少なくありません。さらにまた、近年においては、グローバル化への対応をはじめとして、時代の急速な変化に応じて、教育システムや授業方法の再考を否応なく迫られる場面も、少なからず生じてきています。
今日、大学における教育の在り方について、社会からもこれまで以上に、強い関心と期待が寄せられています。その背景には、社会的にも経済的にも無数の課題が山積しているいまの日本社会の状況の中で、大きな環境変化を正面から受け止めながら活躍してくれる若者たちの育成こそが社会の未来のために決定的な意味を持つという強い期待感があり、それが、大学における教育の在り方をめぐる盛んな議論として現れていると、私は理解しています。
大学が、社会のこうした強い期待を受けとめながら、いかに主体的・自律的に教育改革を成し遂げ社会からの負託に応えていけるか、いま大きな正念場にさしかかっています。社会自身も時代の激しい変化を踏まえて自らを変革しようと苦闘していますが、大学の改革がこうした社会の動きに押されてやむをえず行われるのではなく、むしろ理念においても行動においても社会の変革を先導する役割を果たすことが、「大学の自治」が憲法によってとくに保障されている趣旨であると考えています。大学の生命である学術は、過去、現在、未来の知識と知恵を繋ぐことによって、明日の時代の基盤を作ることが出来る知的な力を先端的に生み出していくことが、その本質であるはずです。その意味で、いま取組んでいる教育改革の成否をめぐっては、「大学の自治」の真価が問われることになるものと、私は覚悟しています。
なぜ、「よりグローバルに、よりタフに」か
東京大学と「大学の自治」とが置かれているこうした環境を踏まえながら、いま取組みを行っている教育改革の基本的な理念は、私が総長就任当初から入学式式辞や「東京大学の行動シナリオ」をはじめとしてさまざまな機会に繰り返し述べてきたように、端的には二つの点、つまり「よりグローバルに、よりタフに」ということです。その理念を具体的な形とし、これまでの知的訓練の質をさらに向上させていくことによってこそ、東京大学憲章が目指している「世界的視野をもった市民的エリート」の育成が可能になると考えています。
グローバルであることは、世界的な視野をもつことにつながりますが、その本質は、ただ世界についての知識を得るというだけでなく、今まで自分が生きてきたものとは異なる生活やものの考え方、価値観などとぶつかり合い、そうした異質なもの、多様なものを自分の知力、行動力、想像力の源泉として取り込んでいくことにあります。そのような力は、国際的な場面での活躍だけでなく、日本の中で活動する場合でも、今まで経験したことがないような課題に対して柔軟に考え創造的な工夫をして取り組んでいくことのできる知的な総合力として発揮されるものと考えています。
また、タフであることは、いかなる状況の中でも主体的に考え能動的に行動し、そうした姿勢を持続できる精神的なたくましさです。そうしたたくましさは、学術活動の場面で生かされることはもちろん、いま多くの課題に直面している日本社会を支えていくために期待される力です。そして、こうしたタフさは、困難な課題に対して、ただ一人の行為によってだけでなく多くの人々との豊かなコミュニケーションを通じて取組んでいく、ある意味では非常に手間のかかるやり取りのできる力の源にもなると考えています。
いまは、ただ「学業成績がよい」というだけでは社会的な役割を十全に果たすことができない時代になっています。東京大学において学んでも、たんに東大卒という肩書きのみでは十分な評価を受けず、さらに大きく言えば、知的なものの価値がかつてのように自然に敬意を受ける時代ではもはやありません。また、グローバル化の中で東京大学の卒業生は、国内だけではなく国際社会で世界の優秀な人々と能力を競い合い協調していくことを求められる時代です。こうした時代状況の中で、「よりグローバルに、よりタフに」育つことによって、高い知性をベースにした総合力が、知的な力を社会で十分に発揮するために必要なものとなっています。こうした点で、私は、これまでの時代とは違った重い教育の責任を、学生たちと社会に感じていますし、東京大学に入学してくる学生たちが知的に高い水準を備えた若者たちであるだけに、いっそう、そうした資質を知的な総合力へと高めていく大きな責任を感じます。
なぜ、教育の「枠」を議論するのか
こうした思いを背景にして、昨年4月に「改めて、総合的な教育改革に向けて」というメッセージを出し、各方面で具体的な取組みをすすめてきました。学事暦の変更や入試の改善、進学振分けの仕組みの見直しなど、それぞれに検討がいま着実にすすめられており、これからそれらの改革の具体化について重要な段階を迎えることになります。この間の教育改革をめぐる議論の中で、私が、学事暦といったいわば教育の「枠」から議論を始めているように見えることに違和感を覚えられたことがあるかもしれません。私がこの「枠」を提起する前提として、「よりグローバルに、よりタフに」という理念を繰り返し語ってきたことは、さきに触れたとおりです。また、言うまでもなく、秋入学に象徴されるような学事暦の変更は、学生の国際的な流動性を高め、あるいは社会的な経験の中で知性とタフさを高める機会を提供するなどの大きな利点を有しています。そして、さらに、「枠」を議論することが持つ方法的な意義として、私たちの教育システムの根もとにある枠組みが問われることによって、私たちが取組むべき教育課題を否応なく浮き上がらせ、解決へのすみやかな取組みを促すという点があります。いま現に、この「枠」から出発して、さまざまな教育課題への取組みが真剣にすすめられています。
私たちはすでに、教育の在り方をめぐる諸課題の存在には気付いており、個別には検討などの取組みをすすめてきました。しかし、個別課題の検討には往々にして時間的な締め切りがなく、大学でのより質の高い教育に強い期待を向けている社会の切迫した思いに必ずしも適時に対応できない場合が出てきます。実際、海外の有力大学の状況を見るにつけても、また国内の少なからぬ大学と比べても、東京大学が学生の国際的流動性や学生の主体性・能動性の育成などの面で大きく後れをとっていると思われる面があることは否定できません。いまの東京大学に向けられている社会の切迫した期待に応え、社会の変化に素早く主体的に立ち向かっていくために、「枠」という根もとから論じていることの意味をご理解いただければと思います。言うまでもなく、学事暦の変更は総合的な教育改革の一環として意味をもつものであり、「打ち出の小槌」ではないことは、何度も述べてきた通りです。
教育改革をすすめる姿勢
教育改革をすすめ、また改革の成果を具体的に生み出していくためには、新たな人的あるいは財政的な負担が生じることも考えられます。この課題を正面から受け止めて対応していくために、学内のリソースの再配分や業務の合理化などに部局と本部とが協力して取組んでいくとともに、必要な原資を調達していくために本部としてあらゆる努力を行い、さらにこうした改革への努力に対して公的・社会的な支援を求めていくつもりです。そして、このような取組みにあっては、ただ受身的に再配分や合理化をすすめるのではなく、これからの東京大学の教育のより良い姿を積極的に創造していこうとする意志が貫かれていくことを願っています。これまで東京大学の教育は、ある意味で「成功体験」をもってきました。知的に優れた学生が当然のように入学してくるという条件の下で、主には講義形式を基本とした知識伝授の方法を軸にしながら教育がすすめられてきました。こうした教育スタイルは効率的である一方で、学生にとっては受動的になりがちな教育方法であったことは否定できません。私は、よりグローバルで、よりタフな学生の育成を目指す東京大学の教育は、伝統的な教育スタイルの良さを引き続き生かしつつ、同時に、双方向型の授業など主体的な学習を促す仕組みの拡充や留学機会の飛躍的な充実、あるいはオンライン授業の活用など、新しい仕組みも積極的に導入していく工夫を行う必要があると考えています。それらは一挙に実現できるわけではありませんし学問分野によって形の違いはあるでしょうが、これまでのカリキュラムの考え方や仕組みの見直し、あるいは新たな人的リソースの確保の可能性も視野に入れながら、このたびの総合的な教育改革の中で、確実な道筋が固められる程度にまで取り組むことができればと考えています。
教育改革の当面のすすめ方
総合的な教育改革については、いま「入学時期等の教育基本問題に関する検討会議」において検討がすすめられており、いわゆる「新学事暦案」について昨年9月に同検討会議の下の企画調整部会で素案が出されて学内で幅広い意見が交わされ、それらを踏まえて年度内の報告に向けた議論が行われていると聞いています。その報告を受けて役員会としての判断を検討していくことになりますが、いま多様な意見が出されている中で、本年度内に学事暦に関する最終決定を行うという段階ではないと私は考えています。全学からのさまざまな意見を消化するとともに、他の教育改革への取組みの進捗状況なども考慮しつつ、総合的なすすめ方を判断することが適切であろうと思います。同時に、先に触れたような大学を取巻く環境の大きな変化や東京大学の教育改革に対する社会からの切迫感をもった期待の大きさ、また、いま検討中の少なからぬ課題がもっと早くに取組まれるべきものであったことなどの事情を考えると、役員会として判断に遅れをきたすことのリスクも真剣に考えなければなりません。2015年までに全ての学生に何らかの海外体験・異文化体験をもたせる等の目標を掲げている「東京大学の行動シナリオ」の実現が難しくなるならば、学生や社会からの期待を裏切ることにもなります。
これらの諸点を総合すると、私は、学事暦の在り方を含め総合的な教育改革の基本的な部分の方向付けについては、本年上半期中を目途として判断を行うことを目指すのが妥当であると考えています。
秋入学構想と新学事暦案との関係
最後に、この機会に、秋入学の構想と「入学時期等の教育基本問題に関する検討会議」で検討されている新学事暦案との関係についての私の理解にも触れておきます。
私はすでに繰り返し述べてきた通り、グローバル化への対応を重視すべき東京大学にあっては秋入学への移行を目指していくことが望ましく、日本の大学全体としても秋入学が推進・拡充されていくべきものと考えています。その意味として、@海外の多くの大学と学事暦を合わせることによって学生の国際的流動性を高めると同時に、ギャップタームを活用して大学で主体的に学ぶ姿勢や課題意識を育む社会体験や国際経験をさせること、Aこうした学生の姿勢・経験に対応できるように教育カリキュラムの改革をすすめ、そうした学びを積極的に評価する社会のシステムや意識の改革につなげること、B否応なくグローバル化が進む状況の中で、日本という保護枠のない広い世界で互いに能力を競い合い協調していく態勢を大学や社会がもつきっかけと仕組みを作ること、に触れてきました。そして、こうした秋入学が社会システムとして実質的に実現されるためには、大学の学事暦を9月入学に変更するだけでは十分ではなく、社会においても、若者がギャップタームを使いこなすことに不安をもたなくても良い環境づくりや、秋入学に対応した就職・国家資格試験スケジュールの整備、また多様な国際経験や社会体験に対する積極的な評価、などの動きがすすむことが必要です。このため、私は当初から、秋入学への移行について、東京大学単独では動かないこと、国家資格試験の時期が変わる見通しのないところでは実施しないこと等を強調してきました。
しかし、座して待つわけにはいきません。社会におけるこうした課題への取組みを促すと同時に、大学として出来ることはすみやかに実施していくという方針を、昨年9月に、「入学時期等の教育基本問題に関する検討会議」に対するメッセージで述べ学内にも公にしました。それを受けた同検討会議での検討状況が、新学事暦案に示されていると考えています。この新学事暦案は、4月入学を基本としつつ、海外の多くの大学と学事暦をできるだけ調和させるとともに、入学予定者全員を対象とするギャップタームとは異なるものの、意欲・関心に応じた主体的な体験活動を初年次に行いうる仕組みを取り入れようとしており、秋入学構想の狙いと通底するコンセプトに立っています。こうした点で、私は、新学事暦案は秋入学との関係では「斜め前」への前進であると理解していますが、いまの社会状況の下でこのたびの教育改革の理念を実現していくもっとも望ましい形の学事暦の在り方についてさらに学内で議論を重ねていきたいと思いますし、その新しい形が秋入学という流れに最終的につながっていくかどうかは、さきに述べたような社会の条件がこれからどのように整えられていくかにかかる部分が大きいと考えています。
後戻りの余地のない取組みとして
このたびの総合的な教育改革は、学生や社会からの大きな期待に真摯に応えようとし、さらに、世界的な大学間競争が激化する中で国際的に存在感のある大学であり続けようとするのであれば、東京大学として後戻りをする余地のない取組みです。このたびの取組みが、次の時代を支える東京大学のより質の高い教育の姿を創造し、東京大学に対する新たな信頼を生み出していく、またとない機会となればと願っています。
改めて、総合的な教育改革の推進に向けて
― 学部教育について ―
東京大学総長 濱田純一
東京大学においては、「世界的視野をもった市民的エリート」(東京大学憲章)のより効果的な育成を目指して、着実に教育改革をすすめてきました。このたびの入学時期の在り方をめぐる活発な議論が明らかにしたのは、日本の社会・経済の将来に対する危機感の高
まりとグローバル化の急速な進行の中で、まさしくこうした市民的エリートが社会から切
迫感をもって求められていること、しかも、大学人も同様の思いを持って真剣にこれに応えようとする意思を有していること、です。このような社会の期待と思いを共にした大学人の責任感を、すみやかに具体的な形にしていくことが求められていると考えています。
入学時期の在り方というテーマは、学生を「よりグローバルに、よりタフに」育てるために、さまざまな教育課題を大学が社会とともに根本から見直す契機と視点を提供しています。日本社会の現状をみると残された時間は乏しく、東京大学が目指す総合的な教育改革に向け、その一環をなす入学時期をめぐる検討をさらに深めることと併せて、改めて各方面における教育改革の動きを同様に強めていく必要があります。
学部教育についても、すでにさまざまな検討がなされつつあり、理念においても仕組みにおいても相互に関連し合うところの多い以下のような課題例を総合的に視野に入れて取組みをすすめていくことを、改めて確認しておきたいと思います。
【教育制度の大枠に関する事項】
・入学試験制度など高大接続の改善
・入学定員についての検討
・入学時期の見直し
・進学振分け制度の改革
・学部・大学院の接続についての検討
・修業年限の柔軟化
【教育の質向上に関する事項】
・教養教育の高度化、教養教育の後期課程・大学院への展開
・専門教育のさらなる改善、全学横断型教育の拡充
・教育システム・教育内容の国際化の多面的推進
・卓越した学生の能力をさらに伸ばす授業編成や特別プログラムの工夫
・国内外での体験活動等幅広い学習プログラムの整備
・授業改善に向けた教育支援体制の強化
これらの教育改革を総合的に推進していくことにより、東京大学の学部教育において、
○世界的に高い学術水準を反映した密度の濃い授業が効果的に提供され、学生相互、また学生と教員との間の刺激を通じて知的好奇心や物事を考え抜く力、知的創造力が豊かに成長していく環境、
○知的な能力が精神の自由闊達さ・強靭さや主体性・能動性と組み合わさって、勉学への意欲的で粘りのある取組みとともに社会的なコミュニケーション力・行動力としても発揮される環境、
○高い語学力と幅広い教養、専門的な能力の組合せを基盤として、学内外の多様な人びととの交流や国内外におけるグローバルな交流が日常的にさらに活発なものとなる環境、が実現されることを、追求していきたいと考えています。
(平成24年4月10日)
入学時期等の教育基本問題に関する検討会議(H24.4〜)
「入学時期の在り方に関する懇談会」(H23.4〜H24.3)の活動を引き継ぐ新たな検討組織として、平成24年4月に「入学時期等の教育基本問題に関する検討会議」を設置しました。「世界的視野をもった市民的エリート」の育成に向けて、秋季入学の構想を視野に入れつつ教育の基本問題について検討することを目的としています。
| 【関連資料】 | ||
設置要項(平成24年4月23日)[PDF] |
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| 委員名簿[PDF] | ||
| 役員会からの諮問文(平成24年5月17日)[PDF] | ||
| 役員会諮問に当たっての総長所信(平成24年5月22日)[PDF] | ||
| 総合的な教育改革の加速に向けて<総長所信(第二次)>(平成24年9月26日)[PDF] | ||
| 検討会議企画調整部会 新学事暦(学部)案[PDF] | ||
※併せてお読みください |
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| 東京大学の秋季入学構想をめぐる報道と東京大学における学部教育の総合的改革について(平成25年6月19日) ※基本検答申及び濱田総長所信を掲載しています。 |
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入学時期の在り方に関する懇談会(H23.4〜H24.3)
「入学時期の在り方に関する懇談会」報告を受けた総長コメント
このたび、「入学時期の在り方に関する懇談会」の報告を受け取った。急速なグローバル化の時代における東京大学及び日本社会の明日にとって重要な意義を持つ大きな課題について、多方面にわたって詳細な検討がなされており、座長の清水理事はじめ懇談会のメンバー各位の尽力に感謝したい。
この報告を受けて、「よりグローバルに、よりタフに」学生を育てていくための教育改革への取組みは、1合目から2合目にさしかかることになる。
この間、入学時期をめぐって、学内外で活発な議論が交わされてきた。どのような立場であるに関わらず、国際化への対応を始めとする教育改革が喫緊の課題であることは、広く共有されている。学内においても、本懇談会の中間まとめに対して、教員からのみならず、職員や学生からも多くの意見が表明されたことは近来にない事象であり、また批判も含めて建設的な意見も数多く、東京大学の自由な活力を示すものとしてまことに心強いものがある。重要なことは、学内学外の議論を問わず、改革の必要を認める事柄であれば、それを議論にとどめず、また障害の存在を安易に弁解理由とすることなく、すみやかに行動に移していくことであると考えている。
秋季入学が自己目的ではないことは当然であり、また「打ち出の小槌」でないことは繰り返し述べてきたことである。入学時期のテーマが広く関心を呼んでいる理由は、秋季入学が学事日程の変更による大学国際化への対応ということにとどまらず、総合的な教育改革のシンボルという意味を持っていること、大学の改革と同時に社会の仕組みや意識の改革へのメッセージを含んでいること、抜本的な改革への視点を備えていることであろう。また、さきに卒業式の告辞でも述べた通り、日本の社会的・経済的な力が翳りをみせると同時に若者の国際的な競争能力を問われる場面が急速に広がる中で、秋季入学に対するスタンスのいかんにかかわらず、教育改革は「これが最後のチャンス」であるという意識が共有されているためでもあると理解している。
このように、秋季入学という課題設定は、教育のさまざまな分野の在り方を根本的な視点から見直し、改革を加速する緊張感を与えるものである。入学時期の変更をめぐる課題の検討と克服についての議論をさらに深めると同時に必要な取組みを行い、引き続き、入学時期の変更という視点を強い牽引力としながら、気持ちを緩めることなく総合的な教育改革を展開していく必要がある。大学がグローバル化の動きに真摯に対応しようとする限り、総合的な教育改革を着実に実行していく中で、秋季入学という事柄の位置はおのずから見えてくるはずである。
こうした認識に立って、私は、上記の趣旨を踏まえつつ「入学時期の在り方に関する懇談会」の活動を引き継ぐ新たな検討組織を、来年度早々に設置することとしたい。この後継組織において、関係の教育改革の動きと連動させながら検討をさらに深めてもらうとともに、学生の体験活動を推進する試みの成果を議論に反映させるなど実証的な取組みもすすめ、あわせて、個々の教育改革を可能になったものから順次すみやかに実施していくこととする。その着実な推進のため、学内外の幅広い理解と協力をお願いしたい。
平成24年3月29日
東京大学総長 濱田純一
| 【「報告書」全文】 | ||
| 「将来の入学時期の在り方について
−よりグローバルに、よりタフに−」(報告) [PDF] (2012年4月発行学内広報特集版) |
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| → 「中間まとめ」との違い(見え消し)[PDF] | ||
| 「報告書」の概要(スライド)[PDF] | ||
| (参考情報)「中間まとめ」のページ(中間まとめ全文、概要等) | ||
| 【懇談会名簿】 | ||
| 入学時期の在り方に関する懇談会名簿[PDF] | ||
| 【学内意見募集】(2012年1月20日〜2月15日) | ||
| 「中間まとめ」への学内意見募集は終了しました。ご協力ありがとうございました。 | ||
| 「中間まとめ」への学内意見募集概要 | ||
記者会見、関連報道など
| 【記者会見などでの濱田総長の発言】 | ||
| 国立大学協会総会における濱田総長の発言概要(平成24年3月7日)[PDF] | ||
| 古川国家戦略担当大臣と濱田総長との面談(平成24年3月2日)[PDF] (古川大臣との面談の際にお渡しした手紙) |
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| 報道機関等と東京大学総長との懇談会での濱田総長の発言概要(平成24年1月26日)[PDF] | ||
| 将来の入学時期の在り方に関する濱田総長記者会見(平成24年1月20日) | ||
| 記者会見での濱田総長発言概要(平成24年1月20日)[PDF] | ||
| 【関連報道】 | ||
| 濱田総長インタビュー記事 | ||
| 「秋入学 こう考える 大学と社会 総合改革」(日本経済新聞 平成24年4月30日 朝刊22面)[PDFファイル] | ||
| 『東大総長×慶応義塾塾長「秋入学」のススメ』(「文藝春秋」平成24年4月号)[PDFファイル] | ||
「秋入学」は生き残りへの賭け (「文藝春秋」平成23年11月号)[PDFファイル] |
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| 編集委員が迫る「秋入学でタフな学生に」 (読売新聞 平成23年10月8日 朝刊12面)[PDFファイル] | ||
| オピニオン「東大の秋入学」 (朝日新聞 平成23年9月1日 朝刊15面)[PDFファイル] | ||
| 佐藤理事・副学長インタビュー記事 | ||
| 「多様な学生確保したい」(毎日新聞 平成25年5月8日 朝刊11面)[PDFファイル] | ||
| 清水理事・副学長(入学時期の在り方に関する懇談会座長)インタビュー記事(職名は平成24年現在) | ||
| 「秋入学 東大の狙いは―国際競争への活力・議論、最後の機会」(日本経済新聞 平成24年2月20日 朝刊8面)[PDFファイル] | ||
参考情報
| ○大学間連携関係 | ||
| 【教育改革推進懇話会】 | ||
| 高度なグローバル人材の育成に向けた基本認識を共有し、各大学の特性を踏まえながら、カリキュラム改革など大学教育の質向上、入試改革など高等学校との接続の改善、秋季入学など国際化への対応をはじめとする総合的な教育改革をすみやかに推進する諸方策について協議し、必要な連携協力を行うため、12大学が懇談会を設置しました。 | ||
| 教育改革推進懇話会の設置について(平成24年5月7日)[PDF] | ||
| ○東京大学の検討状況説明資料 | ||