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国内初、間伐材小径木を活用したシステム工法による木造仮設建築を開発 ~環境配慮型仮設工事事務所「ECOサイトハウス」建設・運用の実証試験を開始~研究成果

国内初、間伐材小径木を活用したシステム工法による木造仮設建築を開発
~環境配慮型仮設工事事務所「ECOサイトハウス」建設・運用の実証試験を開始~

平成25年2月28日

株式会社大林組
東京大学生産技術研究所

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石 達)と東京大学生産技術研究所 人間・社会系部門 木質構造学 腰原研究室は、間伐材小径木を活用したシステム工法による木造仮設建築を共同開発し、本技術を用いた環境配慮型仮設工事事務所「ECOサイトハウス」建設・運用の実証試験を開始しました。

国内森林育成の観点から、2010年に公共建築物木材利用促進法が施行され、公共建築物における国産木材や間伐材の利用が求められています。間伐材は、小径木(末口直径130mm程度、樹齢20年程度)の発生量が多いものの、材料強度のばらつきや、製材可能な木材断面が小さいため、木質バイオマス利用のほかは活用できる用途が主に木杭など土木の仮設用材に限定されています。大林組と東京大学は、間伐材小径木の利用および用途を拡大するために、システム工法による木造仮設建築を開発し、木材を傷つけずに組み立て・解体可能な金物と1,200mmごとに柱を設ける多柱空間によるシステム工法化で、間伐材小径木の構造材利用を実現しました。また、本工法を活用すると同時に、太陽光発電、消費電力の見える化、断熱性能強化、オールLED照明、昼光利用などのさまざまな環境配慮技術を取り入れた仮設工事事務所「ECOサイトハウス」を考案しました。

既に、実証実験も開始しており、2012年12月に、大林組のロジポート相模原工事事務所(神奈川県相模原市)の敷地内でECOサイトハウス(1 階建て、10 坪程度)を建設・運用しています。本実験では、システム工法施工性の評価、環境効果の測定、使用者アンケートによる快適性の評価、解体後に再利用可能な部材率の調査を行う予定です。
また、実証実験によりシステム工法を改善しながら、将来的には展示会ブース、建物内装、小規模店舗や住宅などへ適用していき、間伐材の活用を一層推進することで、森林保全に貢献していきたいと考えています。

環境配慮型仮設工事事務所「ECOサイトハウス」の主な特長は以下のとおりです。

1.間伐材小径木を構造利用できるシステム工法です。

2.間伐材活用による建設資材生産時のCO2排出量削減、森林の再生によるCO2の吸着力の増加、間伐材の放置がなくなることによるCO2発生原因の減少(※1)を実現します。試算では、100m2のエコサイトオフィスを100棟建てると4万8,500m2の森林と同程度のCO2を吸収します。
※1 若い森林は光合成を活発に行うためCO2の吸収が大きいのに対し、成熟した森林は光合成機能が衰えるため吸収は少なくなります。また、間伐された樹木は、放置すればやがて腐朽し、その過程でCO2が大気中に放出されます。

3.遮熱透光性シートにより透光性断熱材を挟んだ特殊外装材(通称:ウェアウォール)(※2)で、快適な室内環境を整えつつ自然エネルギーを活用します。
  ※2特殊外装材はジッパーの開閉で容易に着脱可能なため、春秋季には外気導入し空調機器の使用を抑制、また晴天時には日射熱を断熱しつつ昼光を利用し、照明の使用を抑制します。

4.省エネ手法の組み合わせにより、従来型仮設事務所と比較して年間消費電力量を約63%削減します。

5.寸法体系や部材の共有化による建築と家具の融合で、デザイン性が高く快適な空間を実現します。

大林組と腰原研究室は、国産木材や間伐材などの利用促進に寄与する技術開発を進め、低炭素社会、資源循環社会、自然共生社会の実現に貢献するために活動を進めていきます。

なお、「ECOサイトハウス」の開発には一級建築士事務所 HUGの協力を得ています。

本件に関するお問い合わせ先
株式会社 大 林 組 広報部広報第一課   小 林 
東京大学生産技術研究所 教授 腰原 幹雄 

ECOサイトハウスの写真はこちら

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