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東日本大震災 <東京大学の対応について>

大槌発!「ひょうたん島通信」始まります!

 岩手県大槌町の大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターのすぐ目の前に、蓬莱(ほうらい)島という小さな島があります。井上ひさしの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルともされるこの島は、「ひょうたん島」の愛称で大槌町の人々に親しまれてきました。ひょうたん島から毎月、沿岸センターと大槌町の復興の様子をお届けします。

「大槌発!『ひょうたん島通信』始まります!」は、東京大学学内広報NO.1420 (2011.12.16)に掲載されたものです。

国際沿岸海洋研究センター 復興への取り組み

大槌発!「ひょうたん島通信」始まります!

 岩手県上閉伊郡大槌町に東京大学の施設があるのをごぞんじでしょうか? 東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センター(沿岸センター)です。この沿岸センターは、3月11日の東日本大震災による大津波で被災し、建物や設備が壊滅的な被害を受けました。以来、東京大学および大気海洋研究所では、沿岸センターの復興にむけて、一歩一歩、着実な取り組みを行っています。来月からの連載開始にあたって、震災から現在にいたる沿岸センターの復興のあゆみについてお知らせします。

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◇被害の状況
沿岸センターには、津波による水が3階まで達し、調査船をはじめとするすべての施設と設備が壊滅的な被害を受けました。しかし、沿岸センターの教職員・学生および、震災発生時に来訪中だった外来研究員の方々は全員無事でした。

◇現在の教育・研究状況
現在、柏キャンパスの大気海洋研究所に教員と学生が移動し、研究活動を継続しています。また、大槌町の城山中央公民館の一室に復興準備室を設置し、復興にむけてあゆみはじめています。

「大槌湾を中心とした三陸沿岸復興研究」の活動

大気海洋研究所では復興対策室を設置し、所内プロジェクト「大槌湾を中心とした三陸沿岸復興研究」を立ち上げました。海洋環境、生態系、水産資源などについて、津波による影響と回復の仕組みに関する研究をすすめ、地域の復興に貢献することを目的としています。調査結果については、できるかぎり地域の方々に説明する機会を設けています。

【研究・調査内容】
◆ 海底測地・地震観測による日本海溝の非地震性すべりの解明
◆ 大槌湾の物理化学環境およびプランクトン調査
◆ 宮城県牡鹿町泊浜(牡鹿半島東岸)の岩礁藻場における潜水調査
◆ 船越湾および大槌湾の藻場および海底に及ぼした津波の影響の調査
◆ 大槌湾長根の岩礁藻場における底生生物の潜水調査
◆ 巨大海底地震に伴う再堆積過程及び生態系の変化に関する研究

年表でふりかえる震災から現在までの沿岸センター

2011年3月11日東日本大震災に伴う津波により、沿岸センターの施設・設備が、壊滅状態となる。柏キャンパスの研究所に災害対策本部を設置。▼写真(1)(2)
3月15日沿岸センターと大学本部が被災後はじめて連絡がつく。
3月16日沿岸センターの教職員・学生・外来研究員について、全員の無事を確認。大学本部の災害対策本部からの救援物資を積んだワゴン車が大槌高校に到着。
3月末沿岸センターの教職員・研究員・学生の住居や研究スペースを、柏キャンパスに準備。
4月8日濱田純一総長が大槌町を訪問、打ち合わせを行う。
4月20日★研究所に復興対策室を設置。所内プロジェクト「大槌湾を中心とした三陸沿岸復興研究」を立ち上げる。
4月26日~5月4日海底測地・地震観測による日本海溝の非地震性すべりの解明。
5月2日研究所、大槌町の城山中央公民館に沿岸センター復興準備室を設置。▼写真(3)
5月13日大学本部、救援・復興支援室(遠野分室)を設置。
5月14日電気が復旧。
5月20日この日から10日間かけて沿岸センター建物内の瓦礫を撤去、清掃。3階部分が使用可能となる。
5月21日水道が復旧。
5月26日~27日★大槌湾の物理化学環境およびプランクトン調査。
5月31日沿岸センター周辺の瓦礫を撤去。
6月8日~10日★宮城県牡鹿町泊浜(牡鹿半島東岸)の岩礁藻場における潜水調査。
6月20日~24日★船越湾および大槌湾の藻場および海底に及ぼした津波の影響の調査。
7月11日~12日★大槌湾長根の岩礁藻場における底生生物の潜水調査。
7月29日~8月5日★巨大海底地震に伴う再堆積過程及び生態系の変化に関する研究。
8月22日津波で流失した3隻の調査船の代わりとなる新船「グランメーユ」が完成し、大槌漁港で進水式を行う。▼写真(4)
8月24日新船を使った広島大学との共同利用研究が始まる(大槌湾と船越湾の藻場の魚類相に関する研究)。
11月2日大槌港灯台の再建にあたって、岩間みな子沿岸センター臨時用務員のデザイン案が採用される(次ページ参照)。
11月中旬破損した防潮堤を修理し、仮設防潮堤を設置。
12月5日新船「赤浜」の進水式を行う。

*日付「」部分が「大槌湾を中心とした三陸沿岸復興研究」

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(1) 津波にのまれるひょうたん島と調査船「弥生」(3月11日撮影)
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(2) 被災直後の沿岸センター(3月15日撮影)
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(3) 復興準備室の看板を掲げる新野宏大気海洋研究所所長(5月2日撮影)
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(4) 調査船「グランメーユ」(8月22日撮影)

「ひょうたん島」の新灯台のデザインに沿岸センター職員岩間さんの案が採用

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 沿岸センターの目の前に浮かぶ小さな島・蓬莱島は「ひょっこりひょうたん島」(井上ひさし氏作)のモデルの一つといわれ、「ひょうたん島」と呼ばれて親しまれています。震災により倒壊したひょうたん島の大槌港灯台を再建するため、釜石海上保安部が募集していた新灯台のデザインに、266の応募作品の中から、沿岸センター臨時用務員岩間みな子さんの案が採用されました。

 岩間さんの案は砂時計をイメージしています。全体のシルエットは震災で亡くなられた人への祈りをこめたろうそく、ろうそくの炎にあたる部分は未来を明るく照らす太陽、砂時計型の本体は「時がたてば必ず復興できる」という意志を表現しています。

 11月2日に大槌町役場で採用通知書の交付が行われました。

新船「赤浜」進水!

 12月5日(月)午後、大槌漁港で調査船「赤浜」の進水が行われました。船体は大槌町の漁師・小豆嶋勇吉さんから提供いただいたもので、津波による破損箇所を修理し、東京大学基金「沿岸センター活動支援プロジェクト」の支援で購入したエンジンを備え付けています。船名の「赤浜」は、沿岸センターが立地する大槌町赤浜地区からとりました。

 これで、今年8月進水の「グランメーユ」とあわせて、沿岸センターに2隻の調査船が戻ってきたことになり、震災後の調査研究にいっそうの弾みがつくことと期待されます。

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トラックで沿岸センターの隣にある漁港へ船体を運んできました。これから「赤浜」を水面に降ろします。

予告

次号からは、大気海洋研究所から復興の取り組みと大槌町の様子をお伝えする連載「ひょうたん島通信」がスタートします。大槌にゆかりの人々によるエッセイと、毎月の大槌の話題をお届けします。ご期待ください。

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大槌発!「ひょうたん島通信」始まります
制作: 大気海洋研究所広報室
掲載: 東京大学学内広報 NO.1420 (2011.12.16)

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