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ヒトES細胞使用規則
平成19年 9月27日 制定
平成21年 9月28日一部改正
(趣旨)
第1条 東京大学におけるヒトES細胞の使用に際して遵守すべき技術的及び倫理的事項については、ヒトES細胞の使用に関する指針 (以下「指針」という。)及び東京大学研究倫理審査実施規則等に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。

(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  1. ヒトES細胞 ヒト胚から採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、胚でないもののうち、多能性を有し、かつ、 自己複製能力を維持しているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。
  2. 分化細胞 ヒトES細胞が分化することにより、その性質を有しなくなった細胞をいう。
  3. 使用部局 使用責任者が所属する東京大学基本組織規則に定める教育研究部局、全学センター及び医学部附属病院をいう。
  4. 使用責任者 ヒトES細胞の使用が適切に行われるよう総括する立場にある者をいう。
  5. 使用分担者 使用責任者の業務を補佐し、ヒトES細胞の使用計画において必要不可欠な役割を担う者をいう。
  6. 研究者 ヒトES細胞の使用計画において、補助的な役割を果たす者をいう。(機関内倫理審査委員会)

第3条 ヒトES細胞の使用に際しては、その科学的妥当性及び倫理的妥当性について、倫理審査専門委員会(以下「専門委員会」という。) において審議するものとする。
2 専門委員会は、次の各号に掲げる委員の人数が出席しなければ、これを開くことができない。
  1. 本学に属しない委員 2名以上
  2. 男性及び女性の委員 各2名以上
3 専門委員会は、使用計画又は使用計画の変更等(以下「使用計画等」という。)について、指針に則して十分に審議し、その適否、留意事項、 改善事項に関して使用部局の長に意見を提出するものとする。
4 専門委員会は、研究の進行状況及び結果について、使用部局の長からの報告を受けて、倫理的な問題等の検討を行うとともに、必要に応じて調査を行い、 留意事項、改善事項等に関して使用部局の長に意見を提出するものとする。
5 専門委員会は、作成した分化細胞の譲渡及び使用計画完了後の使用又は保存について、その妥当性について審査し、その適否、留意事項、 改善事項等に関して使用部局の長に意見を提出するものとする。
6 使用計画等が、次に掲げる事項に該当すると専門委員会委員長が認める場合は、迅速審査を行うことができるものとする。
  1. 中心的な役割を担っていない研究者の追加又は抹消等
  2. その他研究計画の軽微な変更
7 前項に定めるもののほか、迅速審査について必要な事項は、別に定める。

(使用部局の長)
第4条 使用部局の長は、使用責任者、使用分担者及び研究者(以下「使用責任者等」という。) によるヒトES細胞の使用における総責任者として統括を行う。
2 使用部局の長は、指針に定める使用機関の長として次に掲げる業務を行う。
  1. ヒトES細胞の使用計画等の妥当性を確認し、その実施を承認すること。
  2. ヒトES細胞の使用の進行状況及び結果を把握するとともに専門委員会に報告し、必要に応じ使用責任者に対しその留意事項、 改善事項等に関し指示を与えること。
  3. ヒトES細胞の使用を監督すること。
  4. 使用部局において指針、本規則等を周知徹底し、これを遵守させること。
  5. 使用部局におけるヒトES細胞の使用に関して、教育研修計画を策定し、これに基づき教育研修を実施すること。

(使用責任者)
第5条 使用責任者は、次に掲げる業務を行う。
  1. ヒトES細胞の使用に関し、内外の入手し得る資料及び情報に基づき、使用計画等の科学的妥当性及び倫理的妥当性について検討すること。
  2. ヒトES細胞の使用を総括し、及び研究者に対し必要な指示を行うこと。
  3. ヒトES細胞の使用が指針に定める使用計画書又は使用計画変更書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
  4. ヒトES細胞を扱う実験室(以下「実験室」という。)の鍵を管理すること。
  5. ヒトES細胞の使用記録簿を作成し、使用の都度、使用責任者等の氏名、日時、操作内容等を記載し、これを保存すること。
  6. ヒトES細胞の保管記録簿を作成し、ヒトES細胞の名称、凍結保存を行った使用責任者等の氏名、凍結保存を開始した日時等を記載し、 これを保存すること。
  7. 使用計画の進行状況及び結果を使用部局の長に必要に応じ報告すること。
  8. ヒトES細胞の使用に携わる使用分担者及び研究者に対し、教育研修に参加させるとともに、 その他ヒトES細胞の使用を行うために必要な技術的能力及び倫理的な認識を向上させるための研究グループ内の教育研修を実施すること。
  9. 前各号に定めるもののほか、使用計画を総括するに当たり必要となる措置を講ずること。

(技術的遵守事項)
第6条 使用責任者等は、次に掲げる技術的事項を遵守しなければならない。
  1. 使用責任者等は、ヒトES細胞が生殖細胞等に分化できる細胞である等の性質に関する認識その他ヒトES細胞の使用に関する十分な専門的知識及び技術的能力を有していること。
  2. 使用責任者は、動物のES細胞又はヒトiPS細胞を使用する研究に関する十分な実績及び経験があり、かつ、 前条各号に規定する業務を的確に実施すること。
  3. ヒトES細胞を取り扱う研究者は、動物のES細胞又はヒトiPS細胞の取扱いに関する経験を有していること。
  4. 実験室は、常時施錠し、使用責任者等以外の者は入室させないこと。
  5. ヒトES細胞の使用に係るインキュベーター、クリーンベンチ、細胞保管容器及び培養に必要な実験機器は、実験室に設置すること。
  6. インキュベーターは、ヒトES細胞使用のための専用とすること。

(倫理的遵守事項)
第7条 使用責任者等は、次に掲げる倫理的事項を遵守しなければならない。
  1. ヒトES細胞に関し十分な倫理的認識を有し、その倫理的認識を維持できるように努めること。
  2. ヒトES細胞の使用に関し、常に倫理的妥当性を検証すること。

(分化細胞の取扱い)
第8条 使用責任者は、作成した分化細胞を譲渡する場合及び使用計画完了後に使用又は保存する場合には、その実施について、 使用部局の長に了承を求めるものとする。
2 使用部局の長は、前項の了承にあたり、その妥当性について専門委員会の意見を聴くものとする。

(禁止事項)
第9条 使用責任者等は、次に掲げる行為を行ってはならない。
  1. ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法によりヒトES細胞から個体を生成すること。
  2. ヒト胚へヒトES細胞を導入すること。
  3. ヒトの胎児へヒトES細胞を導入すること。
  4. ヒトES細胞から生殖細胞を生成すること。

附 則

この規則は、平成19年9月27日から施行し、平成19年8月1日から適用する。

附 則

1 この規則は、平成21年10月1日から施行する。
2 この規則による改正後の東京大学ヒトES細胞使用規則第6条の規定は、平成21年5月20日から適用する。

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