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日印交流プラットフォーム構築プログラム(JIEPP)第5回シンポジウム

日印交流プラットフォーム構築プログラム(JIEPP)第5回シンポジウム

「2022 年度世界展開力強化事業新規採択校における日印交流事業の展望」

2022 年度世界展開力強化事業(相手国:インド)における新規採択校が今後の取り組み、展望を発表し、新旧採択校を交え大学が主体となって行う日印交流のあり方について考えます。

日程 2023年1月31日(火)
時間 13:00~15:30 JST / 9:30~12:00 IST
会場 Zoomウェビナーによるオンライン開催
内容 上記のテーマに関する基調講演/発表/ディスカッション
使用言語 日本語・英語(同時通訳あり)
参加費 無料
事前登録 必要
主催 日印交流プラットフォーム構築プログラム(JIEPP)
お問い合わせ 東京大学研究推進部国際研究推進課 JIEPP事務局

プログラム

13:00-13:10
開会挨拶
 林 香里 東京大学理事・副学長
来賓挨拶
 His Excellency Mr. Sibi George インド大使館駐日インド大使
 吉岡 路 文部科学省高等教育局参事官(国際担当)付専門官
13:10-13:40
基調講演
 Prof. Gautam Biswas
 (J C Bose National Fellow and Professor, Department of Mechanical Engineering, IIT Kanpur)
13:40-14:40
大学の世界展開力強化事業(インド・タイプA、H29-R3)採択校による成果発表
新潟大学
 Prof. M.Satish-Kumar 新潟大学 副学長・教授授(STSIプログラム事業推進責任者)
横浜国立大学
 鈴木 淳史 横浜国立大学 名誉教授、産官学連携ヨコハマ国際教育プログラム(YOKOHAMA-SXIP)総括コーディネーター
岐阜大学
 小山 博之 岐阜大学 グローカル推進機構・地域国際化部門長
関西国際大学
 芦沢 真五 関西国際大学 国際コミュニケーション学部教授、副学長
14:40-15:20
上記4大学によるパネルディスカッション
モデレータ
 永井 由佳里 北陸先端科学技術大学院大学 理事(研究・国際担当)、副学長
15:20-15:30
総括・閉会挨拶
東京大学
 渡邉 聡 東京大学工学系研究科教授、総⾧特任補佐

登壇者のご紹介

Prof. Gautam Biswas
Prof. Gautam Biswas

J C Bose National Fellow and Professor, Department of Mechanical Engineering, IIT Kanpur

Prof. M.Satish-Kumar
Prof. M.Satish-Kumar

新潟大学 副学長・教授

鈴木 淳史
鈴木 淳史

横浜国立大学 名誉教授、産官学連携ヨコハマ国際教育プログラム(YOKOHAMA-SXIP)総括コーディネーター

小山 博之
小山 博之

岐阜大学 グローカル推進機構・地域国際化部門長

芦沢 真五
芦沢 真五

関西国際大学 国際コミュニケーション学部教授、副学長

永井 由佳里
永井 由佳里

北陸先端科学技術大学院大学 理事(研究・国際担当)、副学長

第5回シンポジウム開催報告

第5回日印交流プラットフォーム構築プログラム(JIEPP)シンポジウム(2023年1月31日開催)では、「2022年度世界展開力強化事業新規採択校における日印交流事業の展望」のテーマのもと、基調講演、各大学による発表、パネルディスカッションが行われました。2022年に相手国をインドとする文部科学省「大学の世界展開力強化事業」の新規事業が採択されたため、今回は新規採択の4大学(新潟大学、横浜国立大学、岐阜大学、関西国際大学)にお集まりいただき、各大学の日印交流事業計画や展望について発表していただきました。

シンポジウムはオンラインで行われ、大学関係者を中心に124名が視聴しました。

講演内容

来賓挨拶

林香里東京大学理事・副学長(国際担当)による開会挨拶に続き、来賓として駐日インド大使館のSibi George大使、文部科学省高等教育局参事官(国際担当)付の吉岡 路専門官にご挨拶をいただきました。

基調講演

基調講演では、インド工科大学グワハティ校前学長であり、現インド工科大学カンプール校(以下、IITKとする)機械工学科のGautam Biswas教授が、“The India-Japan Collaboration”のタイトルのもと、これまでのご自身の日本の各大学との豊富な共同研究のご経験と、それに基づいた日印交流の今後の展望について話されました。

講演では、インドから日本への紀元前にさかのぼる仏教や鉄の製法の伝来から始まった日印交流の長い文化的、科学的な交流があり、近代においても多くの偉人同士の交流があったことが話されました。

また、ご自身の経験として、1994年にJSPSの招待フェローとして来日され、日本からも教員がインドを来訪したことで共同研究が始まったこと、現在でも様々な分野で日本とインドの大学でのコラボレーションが行われていることを話されました。

今後もインドと日本は宇宙科学、深海探索、ヘルスケア、交通、教育などあらゆる分野でより協力関係を構築する必要があり、文化的に深くつながっている二国間の相互理解がその土壌となるだろうとの話がありました。最後に、インドのノーベル文学賞受賞者ラビンドラナート・タゴールの親友である日本の美術家・岡倉天心の言葉、「アジアはひとつである」を引用して基調講演は締めくくられました。

大学の世界展開力強化事業(インド)2022年度採択校による成果発表

次に、「大学の世界展開力強化事業」の2022年度採択校である新潟大学、横浜国立大学、岐阜大学、関西国際大学が発表を行いました。

新潟大学のSatish教授からは、新潟大学とインド、オーストラリア、スリランカの協定校とともに、各地域によって異なる環境問題の状況を理解し、フィールドワークを通して学生に環境問題を解決するマインドセットを育成する「インド太平洋地域の「仮想フィールド」を利活用したハイブリッド型フィールド科学人材育成プログラム」についての発表がありました。同プログラムでは、オンラインおよび現地のハイブリッドで学生がフィールドリサーチを行なうもので、2022年度は各国から20名の学生がオンラインコースに参加したこと、すでにプログラムには1~3か月の短中期コースやダブルディグリープログラムがあり、今後ジョイントディグリーのプログラムも計画していることの説明がありました。

横浜国立大学の鈴木名誉教授からは、横浜国立大学とインド、オーストラリアのパートナー校と共同で、環境や社会価値を維持・向上させながら経済成長が実現されることに貢献できる人材を育成する「YOKOHAMA-SXIPプログラム」について発表がありました。この中で、持続可能な未来社会を創造する人材を育成するべく、学部・大学院での副専攻プログラムを新設したこと、事業期間内にインドの大学との間にダブルディグリー制度を立ち上げる予定であること、グローバル企業の本社や関連中小企業が多い神奈川地域からの要求をプログラムへ反映させ、産官学での連携を果たし、インドでのインターン実施を計画していることの説明がありました。

岐阜大学の小山教授からは、岐阜大学とIITグワハティ校で行われているジョイントディグリープログラムについての発表がありました。この中で、インド工科大学と岐阜大学が覚書を締結し、約5年の準備期間を経てジョイントディグリープログラムを始動したこと、岐阜大学では応用生命科学部、インド工科大学では化学工学と生物工学がプログラムを担当し、農工連携して非常に質の高い英語の講義を学生に提供していること、国内では実施の少ないジョイントディグリープログラムのプラットフォームを構築するべく、岐阜大学が産官学と連携して取り組んでいることの説明がありました。

関西国際大学の芦沢教授からは、インド・カナダ・イギリス・オーストラリアの4か国、国内の産官学組織、起業家養成団体と連携したベンチャーエコシステムの創成プロジェクトの発表がありました。この中で、地域のスタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、外国人起業家を神戸に誘致するべく、4か国および神戸芸術工科大学、宮崎国際大学、起業家養成団体と連携してプロジェクトを推進していること、今年度から留学生の受入および学生の派遣を行っていくこと、来年度以降は長期インターンシッププログラムを学生に対し提供する予定であることの説明がありました。

上記4大学によるパネルディスカッション

パネルディスカッションでは、モデレータの北陸先端科学技術大学院大学・永井教授のもと、すべての登壇者が一堂に会し、日本にインドからの留学生を受け入れ、日本からも学生や研究者を送り出すためのアイデアについて議論しました。

IITKのBiswas教授からは、既存の様々なコラボレーションを深め、関心を持った他の機関も巻き込んで連携を強めていくことの重要性が指摘されました。双方の大学それぞれの強い分野で協力し合って共同研究することが、ジョイントディグリーやダブルディグリーのプログラム等新たな連携につながっていくという指摘がありました。

新潟大学のSatish教授からは、インドの学生が、欧米へ行く選択肢もある中で日本を選ぶきっかけ、日本の良いところを知ってもらう機会をできるだけ早く設けることが必要であるとの発言がありました。また、修了後は日本で研究者として働いたり企業で働いたりすることを可能とする出口戦略も必要であるとの指摘がありました。

横浜国立大学の鈴木名誉教授からは、日印の各大学の専門分野をつなげるネットワークのハブを作ることが重要であるとの指摘がありました。潜在的には多くの日印の研究者間で交流があるが、それが表には見えないという課題があるため、研究者間の交流を見つけ出し、ハブに参加してもらい、連携を深めることが成果につながるとの発言がありました。

岐阜大学の小山教授からは、インドの人々と会うことが大変重要であるとの指摘がありました。インド工科大学へ行くと学生の優秀さに驚く日本の企業関係者が多く、インド工科大学の学生が日本へ来ると、自国との違いに驚きその体験を持ち帰ってくれるので、日印で交流する機会を維持したいとの発言がありました。

関西国際大学の芦沢教授からは、自学ではインドの研究者にもベンチャーエコシステムのカリキュラムに参加してもらい、英語圏、欧米圏のケーススタディが多かったエコモデルにアジア太平洋地域のケーススタディとエコモデルを作り、若い世代の起業家育成支援を行いたいとの発言がありました。

総括・閉会挨拶

最後に、東京大学の渡邉グローバルキャンパス推進本部副本部長から、各大学の発表を踏まえ、日印が連携した教育プログラムが充実してきたこと、また世界的な課題や地域的な課題を念頭において産官学での連携が基となっている事業が多いこと、パネルディスカッションを踏まえ、日印交流を深めるには各関係者のそれぞれの経験を含めた情報共有と議論が重要である旨が述べられ、会が締めくくられました。