自分が正しいと信じる方向に向かって

法学部
坂本 里和
Riwa SAKAMOTO

坂本 里和

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~自分の仕事・夢~

 経済産業省の仕事は、通商政策からエネルギー政策まで、多岐にわたります。

 2年程度で人事異動があり、そのつど、新しい業務を一から勉強することになり、専門性を極めるのは難しい反面、新しい世界を知る刺激と視野が広がる成長の実感を味わうことができます。

 前職では、女性を始めとする多様な人材を活用することで、イノベーションや生産性向上につなげる「ダイバーシティ経営」の推進に取り組みました。
国際的に見ても、日本が極めて遅れている分野であり、少子高齢化の中で、我が国経済社会の持続可能性の問題を考えると、避けては通れない最優先課題であることは明白です。一方現実は、職場慣行から個人の意識まで、さまざまな阻害要因が複雑に絡み合って、なかなか前に進まない、という状況で、危機意識が使命感につながりました。

 政策の方向性は明確で、自分が正しいと信じる方向に向かって真正面から取り組めることで、大きな充実感を得ることができました。問題意識を共有する人達と、組織や立場を超えて「同志」としてつながり、社会をよくするために、未来志向で協働できたのは、貴重な経験となり、自信につながりました。

~大切にしていること~

<仕事面>

 3年前に管理職となりましたが、私自身、まだまだ発展途上だと思っています。省内外、役職や年齢に関わらず、皆それぞれに経験に基づく優れた知見を持っているので、お話を伺う時には「自分の知らないことを教えていただく」という姿勢を大切にしています。様々な出会いを通じ、幅広い知見に触れ、自分の成長につなげることが、日々の充実感につながっています。

 また、自分の方から積極的に情報提供をし、有識者等との率直な意見交換を通じて、実ニーズに対応した「世のため人のため」になる政策を丁寧に作り上げていくことも大切だと思っています。特に、施策に関する情報発信については、政策の意義を飾らずにしっかり伝えた上で、メディアの方を始め、外部の方の力を借りることが必要だということを痛感しています。

 精神面では、プレッシャーを感じたり、不安になったりするたびに、「失敗したって、捕って食われるわけでもないし」と自分に言い聞かせて、リラックスするようにしています。

<私生活について>

 中1、小3、小1(双子)の4人の娘がいます。ワーキングマザー生活13年になりますが、ワークライフバランスをいかに保つかに悪戦苦闘する日々が続いています。

 家事と違って、育児は手抜きにも限度がある、ということは意識していて、仕事は一人で抱えずに、ときには人に任せることも大切だと思っています。

 ワークもライフもそれぞれ大切ですが、(気力はともかく)能力も体力も有限で、無理をしても所詮長続きはしませんから、その中で精一杯やったらそれでよし、と思うようにしています。

 そして、自分一人ではやりきれないところを、たくさんの人に支えてもらっている、ということにいつも感謝しています。

~後輩たちへ~

 社会に出ると、とにかく時間がなくなります。特に、出産後は自分の時間が枯渇します。

 友人とのネットワークや思索に深めるための読書や実践的なスキル習得など、時間がたっぷりある学生の間に、どん欲に自己投資してください。(私自身は、バイトに明け暮れた学生生活で、就職してから、とても後悔しました)

プロフィール:
坂本里和(Riwa SAKAMOTO)
(2014/08/11現在)

1995 年に通商産業省(当時)に入省。98 年から2 年間、米国のハーバード及びスタンフォード法科大学院に留学。2011年から3年間、「ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」等、女性活躍を中心とした「ダイバーシティ経営」の推進等に取り組む。2013年11月には「ホワイト企業」(文藝春秋)を監修。
2014年7月より現職(中小企業庁 創業・新事業促進課長)。

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