成功はアンビシャスに目指して

法学部
土井 香苗
Kanae DOI

土井 香苗

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~自分の仕事・夢~

 私の現在の仕事は国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(www.hrw.org/ja、本部ニューヨーク、1978年設立)の日本代表です。全世界90カ国で活動する世界最大級の人権NGOで、2009年に東京事務所を立ち上げました。

 大学卒業後に弁護士になり、東京で弁護士業を続けていましたが、実務5年目を契機にニューヨークのNYUロースクールに留学したのがきっかけで2006年からヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の本部で1年間働く機会を得、とりこになったことから自分で東京事務所を立ち上げるに至りました。

 人権の仕事は、人々の尊厳を法律という武器を使って守ること。ですから、それまでの弁護士というキャリアと人権NGOの代表という仕事はよくマッチしています。HRWは全世界に400人程度のスタッフをかかえていますが、半分くらいは法律家ではないでしょうか。

 ボランティアでさえやりたいような人助けの仕事を、法律を使って知的刺激を毎日受けながらプロとしてできるのですから、こんなにすばらしい仕事はなかなかないと思います。人権侵害を止めることはもちろん簡単ではありませんが、全世界に尊敬できる有能な同僚たちがいますので、日々切磋琢磨しながらクリエイティブに戦略を考え実行しています。

~大切にしていること~

 座右の銘は、キング牧師のこの言葉。 I submit to you that if a man hasn’t discovered something that he will die for, he isn’t fit to live. (そのために死ねる何かを見つけていない人間は、生きるのにふさわしくない。)

 かっこいいですね。他人の人権のために命をかけるような勇敢な人びとが世界中にいますので、この言葉で自分を鼓舞したり戒めたりしています。

 昨年子どもを出産しました。今子どもは一歳。すっかり子育てにはまっています。赤ちゃん生命力にあふれていてがんばりやさん。昨日できなかったことを今日はやってみようと一生懸命なんですね。本当にすごいなと圧倒され、ある意味尊敬してしまいます。

 今まで知らなかった「母」や「親」の世界で、新しい経験ができ新しい感情を持つこともできる。本当にすばらしいことと感謝しています。両立という意味では職場の理解にも感謝ですね。

~後輩たちへ~

 自分の夢に素直になってくださいね。達成する第一歩はそれを望むこと。望まなければ何も生まれません。これは自分自身にも言い聞かせていることです。「自分にはきっと無理」と言ってしまわないことが大事ですね。

 寄付を集めるという仕事柄、成功した創業社長の知り合いも少なくないのですが、まだまだ女性が少ないのは本当に残念。私のような社会的なお仕事での成功はもちろんのこと、経済的成功も女性たちにアンビシャスに目指してほしいですね!
※写真上/HRWの同僚たちと。年に一度のチャリティディナーで。(左から3人目)

プロフィール:
土井香苗(Kanae DOI)
国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)日本代表。弁護士。

1998年東京大学法学部卒業。大学4年生の時、アフリカ・エリトリアにて1年間ボランティア。2000年弁護士登録。普段の業務の傍ら、日本の難民の法的支援や難民認定法改正に関わる。2006年にHRWニューヨーク本部のフェロー、2008年9月から現職。紛争地や独裁国家の人権侵害を調査し知らせるとともに、日本を人権大国にするため活動を続ける。
活動内容はwww.hrw.org/ja
J-WAVEのJAM THE WORLDの金曜日担当ナビゲーターでもある。

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