Make it happen!
夢やアイデアの実現を

工学系 / 航空宇宙工学専攻
山崎 直子
Naoko YAMAZAKI

山崎 直子

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~自分の仕事・夢~

 1999年にJAXA宇宙飛行士候補者になり、2010年にスペースシャトルに搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)組立補給ミッションに従事しました。2011年にJAXAを退職し、その後、内閣府宇宙政策委員会委員、日本宇宙少年団(YAC)アドバイザーや、出身地の松戸市民会館名誉館長等を務めています。
宇宙に関わる人は、私のような技術者だけでなく、宇宙でたくさんの実験を行うので様々な分野の研究者、健康維持のための栄養管理士や心理支援の方、法律家や経済学者など、たくさんの人がいます。日本は、人文芸術的な宇宙実験もおこなっていますし、宇宙農業で食料を少しでも自給自足させるなど、今後はより多くの分野の人が関わってくると思います。ですから、沢山の分野の人を繋いで新しい可能性をつくっていくこと、そして、日本からもより多くの人が宇宙に行ける時代をつくっていくことが今の夢です。

~大切にしていること~

 迷ったとき、悩んだ時には、「どの道を歩くかよりも、その道をどう歩くかの方がきっと大切。」「平坦な道だけがいいとは限らない。」と思っています。どの道を歩くかは自分だけでは決められないこともありますが、その道をどう歩くかの方は自分で決められますから。そして、その心構えの方が、長い人生の中で大きな影響を与えると思うのです。また、宇宙へ行くまでの道のりは、訓練期間11年と長いものでしたが、また途中にスペースシャトルの事故があったりと決して平坦なものではなかったですが、そうした、山あり谷あり、回り道ありの様々な経験の一つ一つが、後の確固とした土台になってきます。迷ったらチャレンジングな道を行く、守りに入らない、ということも試行錯誤しながらですが心がけていきたいと思っています。
そして、日々、たくさんの人との出会いから、また、成長していく二人の娘の姿からも、多々気づきや学びがあります。感性を大切にし、そうしたご縁の一つ一つに感謝したいと思います。

(C) NASA
(C) NASA

~後輩たちへ~

 学生時代の指導教官であった田辺徹先生は、いつも「システム」という言葉を使われていました。世の中、全てのことが有機的に結びついていて、システムとして捉えないといけないと。その思考は後の仕事にも通じています。また、同じく指導教官の中須賀真一先生からも、「工学とはmake it happen、アイディアを練り、実際に実現させていくことに醍醐味がある。」と教わり、それを励みにしてきました。国際的に世の中の動きも技術の進歩も速くなっている中、工学的なアプローチは多くの分野に応用がききますので、いろいろな課題を識別して解決していく際に役立てていって欲しいと思います。広い視野をもって、これからの未来を築いていってください。応援しています。

プロフィール:
山崎直子(Naoko YAMAZAKI)
(2014/05/30現在)

東京大学工学部航空学科卒業、東京大学大学院航空宇宙工学専攻修士課程修了。1999年JAXA宇宙飛行士候補者に選ばれ、2004年ソユーズ宇宙船運航技術者、2006年スペースシャトル搭乗運用技術者の資格を取得。2010年4月、スペースシャトル・ディスカバリー号で宇宙へ。宇宙教育活動に力を入れている。著書に「宇宙飛行士になる勉強法」、「夢をつなぐ」、「瑠璃色の星」など。

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