考えすぎないで。
道は自然と出来てくる

文学部
得能 摩利子
Mariko TOKUNO

得能 摩利子

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~自分の仕事・夢~

 全くの偶然(長い専業主婦時代を経て帰国後再就職を考えジャパンタイムズの週一回の求人欄で見つけたのがルイヴィトンの社長室スタッフ募集の記事でした。年齢制限も確か35歳であったと記憶しています。この時私はすでに39歳でしたが、歳は関係ない!と自分勝手に解釈して応募した結果運よく採用となりました。それまでラグジュアリーブランドには消費者として以外には全く興味がなかったのですが募集記事に‘何をするかは貴女の能力次第、キャリアの道はグループ内で無限’と書いてあったのでそのまま素直に信じて入りました。)で進んだラグジュアリー業界でしたがちょうど発展期で思いのほか面白くそのまま来てしまいました。

 昨年から引き受けている日本企業の社外取締役の職務は外資系企業で結果過ごすことにはなってもどこかにある日系企業に対する思い(口はばったいですがささやかでもいいから日本の企業、社会に貢献できたらという気持ち)が通じたのかなと思っています。

 実際兼務して分かったのはあたりまえですが企業経営の根本は外資、日系とか業務内容には関係なく共通であるということです。いずれはもっと日本の為そして特に次世代の為に時間を使えればと思います。

 これからのキャリアを考えている若い人には一言。考えすぎないでと言いたいです。その場その場で良いと思ったらそのまま突進してください。道は自然に出来てきます。

~大切にしていること~

 一番大切なのは家族です。夫が一人、息子が一人います。それぞれの道を歩んでいます。法学部出身バリバリの銀行員だった夫は2回にわたる海外赴任の後早期退職をして子供の時からの本当の志望だったインド哲学科に学士入学。博士課程に在籍、今は博士論文を執筆中です。西本願寺の企画諮問会議有識者委員も引き受けて忙しい(本人曰くです。私から見ると結構楽そうです。)毎日を送っています。

 息子は父親に倣ったのか同じく法学部に入りその後も法曹の道を目指して日夜努力中です。

 学んでいるものの性質からか最近とみに面倒くさい人間になってきました。家族がきちんとそろって食事できる少ない機会である休日の朝でもいったん議論になると食事を忘れて一家てんやわんやの大論戦となります。

 子育てをするにあたり唯一の目標は‘生きていて楽しいと思う人間、人生を楽しめる人間に育てること’でしたが御蔭様で沢山の素晴らしい友人に囲まれている姿をみていると結構うまくいったのかなと自負しています。もっとも息子は‘子供時代、僕は独りで生きてきた’なんていっているようですが。

後輩たちへ

~後輩たちへ~

 東大を卒業して一番良かった点は社会の皆さんが私の能力を過大評価してくれる事です。自分の本当の実力が少しでも社会が東大卒業生に対して持っているイメージに近づくよう常に意識して努力するようになりました。

 卒業生の数は余り多くありませんし、“群れない東大生”のイメージ通りあまり集団化しませんがその分同窓と分かった時の安心感は格別です。

 現東大生の皆さんには、これも言い古されていますが、学生として残された時間をとにかく勉学に励んでください。必ずあとでもっと学んでおけばよかったと強く思います。

 未来の東大生には、東大での学生時代が必ずや自分の人生の軸となるものを見出す場所となることを約束します。最高の環境です。

※写真は、東大ESS会。白地に黒の大きな水玉模様の洋服を着ているのが得能さん

プロフィール:
得能摩利子(Mariko TOKUNO)
(2014/7/1現在)

1978年卒業後東京銀行入社 1981年結婚と共に夫の勤務先が大阪であったことから退社
1984年長男誕生。
1987年から1993年まで夫のカナダ赴任に伴いヴァンクーバー在住。その間に州立ブリティッシュコロンビア大学でMBA取得
1993年帰国、1994年ルイヴィトンジャパン入社 2004年ティファニージャパンに転職(営業統括 ヴァイスプレジデント) 2010年クリスチャンディオールジャパン入社(代表取締役社長) 2012年末退社、2013年7月よりハピネット株式会社社外取締役就任。 同年9月よりフェラガモジャパン株式会社CEO兼任、現在に至る

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