現代は書物の形態も読書の方法もさまざまに変化しています。ウンベルト・ エーコは『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』で対談を行っていますが、書物を保存し継承することは、人々の記憶をどのように次世代に伝えていくかということでもあります。私はルリユールという工芸製本を習得した経験をいかしながら、かつての職人がどのように本づくりを行っていたのか、書物の文化的記憶を製本の綴じから探求しております。書物の歴史を過去・現在・未来との対話のうちに捉え直すことが課題です。