○東京大学研究用微生物安全管理規則
平成11年11月16日
評議会可決
(目的)
第1条 この規則は、東京大学(以下「本学」という。)において、教育、試験研究その他の科学上の利用に供する微生物の所持、保管、使用、輸入、運搬、滅菌等(以下「取扱い等」という。)を行う場合に、安全確保及び環境保全の観点から適正に行うことを目的とする。
2 この規則の具体的な実施事項については、東京大学研究用微生物安全管理マニュアル(以下「マニュアル」という。)に定める。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 「微生物」とは、原核生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、原虫、寄生虫及びプリオンをいう。
(2) 「病原性」とは、微生物が何らかの機構により、生物に危害を及ぼすことをいう。特にことわりがない限り、哺乳動物等(哺乳綱又は鳥綱に属する動物をいう。以下同じ。)に対する病原性を意味することとする。
(3) 「病原微生物」とは、哺乳動物等に対して病原性を持つ微生物をいう。
(4) 「バイオセーフティレベル」(以下「レベル」という。)とは、微生物の危険度の評価による分類をいい、1から4までに分類される。なお、バイオセーフティとは、病原微生物等へのばく露等を予防することをいう。
(5) 「指定微生物」とは、レベル3及び4の微生物をいう。
(6) 「実験室等」とは、微生物の使用、保管、滅菌等を行う実験室及び関連する室をいう。
(7) 「指定実験室」とは、指定微生物の使用、保管、滅菌等を行う実験室をいう。
(8) 「微生物管理区域」(以下「管理区域」という。)とは、指定実験室及び指定微生物の安全管理に必要な室を含む特定の区域をいう。
(9) 「微生物使用保管等従事者」とは、実際に病原体等の取扱い等に従事する者をいう。
(対象)
第3条 この規則は、本学の実験室等で教育、試験研究その他の科学上の利用に供するために取扱い等を行う微生物(附属病院又は病原微生物の検査を行っている部局で業務に伴い取扱い等を行う病原微生物を除く。)を対象とする。
2 微生物のうち、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114 号。以下「感染症法」という。)に定める特定病原体等の取扱い等については、この規則の定めるもののほか、別に東京大学感染症発生予防規程によるものとする。
3 微生物のうち、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)に定める監視伝染病病原体の取扱等業務については、この規則に定めるもののほか、別に東京大学家畜伝染病発生予防規程によるものとする。
(総長の責務)
第4条 総長は、微生物の取扱い等について包括的に責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 部局の長から申請のあったレベル4の微生物の取扱い等について承認するか否かを決定すること。
(2) 部局の長から申請があった事項について第6条第1項に規定する東京大学研究用微生物専門委員会に諮問すること。
(3) 微生物の取扱い等について、改善の勧告、変更、一時停止及び承認の取消しを行うこと。
(4) その他微生物の取扱い等に関わる安全確保及び環境保全に関する基本的事項を定めること。
(部局の長の責務)
第5条 部局の長は、当該部局における微生物の取扱い等について直接責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 第6条第2項に規定する部局研究用微生物委員会の委員を委嘱すること。
(2) 微生物の取扱い等に関する部局の内規等の制定及び改廃を行うこと。
(3) 第9条に規定する部局微生物安全管理主任者を委嘱すること。
(4) レベル4の微生物の取扱い等を承認するか否かの決定を総長に申請すること。
(5) レベル3の微生物の取扱い等を承認するか否かを決定すること。
(6) レベル2の微生物の新たな取扱い等の届出を受理すること。
(7) レベルが決定されていない病原微生物のレベルの分類の判断を総長に申し出ること。
(8) 指定微生物が内在しているおそれがある試料等の取扱い等を承認するか否かを決定すること。
(9) 管理区域を指定すること。
(10) 微生物の取扱い等について、改善の勧告、変更、一時停止命令及び承認の取消しを行うこと。
(11) 微生物の安全管理に関して、マニュアルで定められた事項について総長に報告すること。
(12) その他微生物の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関して必要な事項を実施すること。
(研究用微生物委員会等の設置)
第6条 本学における微生物の取扱い等に係わる安全確保及び環境保全のため、東京大学研究用微生物専門委員会(以下「専門委員会」という。)を置く。
2 微生物を取り扱う部局に、原則として、部局研究用微生物委員会(以下「部局委員会」という。)を置く。
(専門委員会)
第7条 専門委員会は、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、これらの事項に関して総長に対し報告するとともに、必要に応じて助言又は勧告を行う。また、これらの事項に関して、専門委員会は、必要に応じ、部局の長に対し微生物の安全管理に関する報告を求めることができるものとする。
(1) マニュアル等の立案
(2) レベル4の微生物の取扱い等の科学的妥当性及び法律等への適合性に関する事項
(3) 前号以外の微生物の取扱い等のこの規則及びマニュアルへの適合性の判断について、総長から要請のあった事項
(4) レベルが決定されていない病原微生物のレベルの分類に関する事項
(5) 微生物の取扱い等に係る教育訓練及び健康管理に関する基本的事項
(6) 事故又は災害時における措置に関する基本的事項
(7) 感染症法に定める特定病原体等の取扱い等に関し、東京大学感染症発生予防規程に定める事項
(8) 家畜伝染病予防法に定める監視伝染病病原体の取扱等業務に関し、東京大学家畜伝染病発生予防規程に定める事項
(9) その他微生物の取扱い等に係わる安全確保及び環境保全に関する重要事項
2 委員会は、委員長及び委員若干名をもって組織する。
3 委員長は、委員の互選による。
4 委員は、次の各号に掲げる者に総長が委嘱する。
(1) 微生物学を専門とする教授又は准教授 若干名
(2) 微生物を用いた実験に携わる教授又は准教授 若干名
(3) 予防医学に携わる教授又は准教授 若干名
(4) 安全確保又は環境保全に携わる教授、准教授又は学内の専門家 若干名
(5) 前各号に定める者のほか、総長が必要と認めた者
5 委員長は、専門委員会を招集し、その議長となるとともに会務を総括する。
6 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する。
7 委員の任期は、2年とし、その補欠の委員の任期は、その残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
8 第1項において、軽微な追加若しくは変更に係る事案又は特に迅速な審議を要する事案は、委員長の判断で迅速審議を行うことができる。
9 前各項に定めるもののほか、専門委員会の運営に関し必要な事項は、専門委員会の定めるところによる。
(部局委員会)
第8条 部局委員会は、部局の長の諮問に応じ、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、これらの事項に関して部局の長に対し助言又は勧告を行うとともに、微生物使用保管等責任者又は微生物管理区域責任者に対し微生物の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関する報告を求めることができるものとする。
(1) 部局の内規等の立案及び作成に関する事項
(2) 微生物の取扱い等のこの規則及びマニュアルへの適合性に関する事項
(3) 指定微生物が内在しているおそれがある試料等の取扱い等の科学的妥当性及び法律等への適合性に関する事項
(4) 管理区域に関する事項
(5) 微生物の取扱い等に係わる教育訓練及び健康管理に関する事項
(6) 事故又は災害時における措置に関する基本的事項
(7) その他微生物の取扱い等に係わる安全確保及び環境保全に関する重要事項
2 部局の長は、部局委員会の組織及び運営に関する規則等を定めるものとする。
(部局微生物安全管理主任者)
第9条 部局内で指定微生物若しくは感染症法に定める特定病原体等の取扱い等又は家畜伝染病予防法に定める監視伝染病病原体の取扱等業務を行う部局の長は、任務を補佐する者として、部局微生物安全管理主任者を指名する。
2 部局微生物安全管理主任者は、当該部局の教授又は准教授に、部局の長が委嘱するものとする。
3 部局微生物安全管理主任者は、マニュアルに基づいて次の各号に定める任務を果たすものとする。
(1) 微生物の取扱い等の安全性について、部局の長に対する助言又は勧告
(2) 微生物の取扱い等の安全性について、微生物取扱従事者及び微生物管理区域責任者に対する助言又は指導
(3) その他微生物の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関する必要な事項
4 部局微生物安全管理主任者が、前項各号を実施できない場合は、部局微生物安全管理主任者が指名した者が実施するものとする。
(微生物使用保管等責任者)
第10条 微生物使用保管等従事者のうち、個々の微生物の取扱い等について責任を負う者を微生物使用保管等責任者とする。
2 微生物使用保管等責任者は、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 微生物の取扱い等に際しては、この規則及びマニュアルを十分に遵守し、実験全体の適切な管理・監督にあたること。
(2) 微生物使用保管等従事者に対して、安全確保及び環境保全に関する教育訓練を行うこと。
(3) 微生物の取扱い等を行う場合は、マニュアルに定める書類を部局の長に提出すること。
(4) その他微生物の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関して必要な事項を実施すること。
3 指定微生物の微生物使用保管等責任者が、当該指定微生物の取扱い等を行う管理区域の微生物管理区域責任者と異なる場合は、その任務を果たすに当たり相互に十分連絡を取り、指定微生物の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関する必要な事項について、マニュアルに基づき部局微生物安全管理主任者及び部局委員会に報告するものとする。
(微生物管理区域責任者)
第11条 個々の管理区域について、責任を負う者を微生物管理区域責任者とする。
2 微生物管理区域責任者は、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) マニュアルに基づいて当該管理区域及び関連する設備を整備すること。
(2) 当該管理区域の利用者に対して、適正な微生物の取扱等を行うよう指導・監督にあたること。
(3) 当該管理区域について、マニュアルに定める書類を部局の長に提出すること。
(4) その他微生物管理区域に係る安全確保及び環境保全に関して必要な事項を実施すること。
(異常事態発生時の措置)
第12条 異常事態を発見した者は、直ちに微生物使用保管等責任者及び微生物管理区域責任者に通報しなければならない。
2 微生物使用保管等責任者及び微生物管理区域責任者は、必要に応じて緊急措置をとるとともに直ちに部局の長及び部局微生物安全管理主任者に通報しなければならない。
3 部局の長は、緊急措置を講じた場合には、すみやかに異常事態発生の状況、応急措置の概要等を総長に報告しなければならない。
(他の規則との関連)
第13条 微生物の取扱い等が他の規則(東京大学遺伝子組換え生物等の使用等実施規則東京大学研究倫理審査実施規則東京大学動物実験実施規則等)の適用を受ける場合には、微生物使用保管等責任者及び微生物管理区域責任者はそれぞれの規則、実施要項等を遵守しなければならない。
(庶務)
第14条 専門委員会の庶務は、本部研究倫理推進課において処理する。
附 則
この規則は、平成12年1月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成16年12月17日から施行する。
附 則
この規則は、平成19年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成19年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成21年2月5日から施行する。
附 則
この規則は、平成21年10月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成23年11月29日から施行する。
附 則
この規則は、平成26年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成30年4月1日から施行する。