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2022年10月15日、矢口祐人・東京大学副学長(グローバル教育推進担当)が司会を務め、シンポジウム「東京大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言制定記念シンポジウム~多様性の現在地と未来~」が開催されました。
冒頭、藤井輝夫・東京大学総長は開会挨拶で「「多様性と包摂性」は、本学の運営に欠かせない原動力であり、本学の構成員全員がダイバーシティへの理解を深めることが重要です」と述べました。
第1部「D&I宣言と本学におけるデータの紹介」では、まず相談支援研究開発センターの高野明教授から、「ダイバーシティ&インクルージョン宣言の説明」で宣言発出の経緯と盛り込んだ理念についての説明がありました。
続いて、男女共同参画室副室長である小川真理子情報学環特任准教授からは、東京大学について、女子学生比率、女性研究者比率、外国人比率などの面で他国のトップ大学等と比べ、低水準にとどまっていることとデータで可視化することの重要性が説明されました。
第2部では、中野円佳・男女共同参画室特任研究員がモデレータをつとめ、多様な立場や経験を持つ東大関係者がパネルディスカッション「D&I宣言の実現に向けて ~多様な立場と経験から学ぶ~」を行いました。
駒場キャンパスでの英語教育プログラムPEAKを担当するWoodward, Jonathan・総合文化研究科教授は「日本人教員と外国人教員がいる場で、日本語で会議をしたときと英語で会議をしたときに、内容が全く変わってくる。お互いに、今話されている内容を完璧に理解している自信がないと話しにくいと感じてしまう」と外国人教員としての経験を語ったうえで、「日本には“根回し”文化があり、透明性の向上が必要」などの問題を指摘しました。
大学院生の時に来日し、今年4月に着任した李美淑・情報学環准教授は「学生のとき、女性、韓国出身というマイノリティ性により、存在していないかのように扱われることがあった」「多様性を推進する立場の人たちが(女性や外国人教員に多い)有期雇用ではモノを言いにくい」などの状況を訴え、「ソウル大では多様性委員会や人権センターがあるほか、学生の自治や教員のネットワークから声があがることもある」と事例を紹介しました。
障害のある児童生徒・学生の学習の機会等について実践や研究を手掛けている近藤武夫・先端科学技術研究センター教授は「障害者の参加が前提とされていない場では、本人側が声を上げて交渉しないといけない。でも、本人側からは組織側の文化やルール、慣行は見えてこないので、本人と組織の間で対話がうまく成立せず、本人が一生懸命声を上げていても組織側が耳を傾けてくれないことも多々ある。そこではアドボケイト、つまり本人と一緒に声をあげてくれる人が組織側にも必要」と語りました。
法科大学院を卒業後、LGBTQの学生向け就職活動支援を手掛ける株式会社JobRainbowを立ち上げ、取締役COOを務める星真梨子氏は、「たとえばLGBTのイベント等では日本では企業の協賛が中心で、海外で行政や自治体から寄付金が非常に出ているのと比べると企業に忖度したメッセージしか出ない可能性がある。東大には日本のダイバーシティ&インクルージョンに対して、ぜひ存在感を発揮して取り組んでもらいたい」と大学への期待を語りました。
相原博昭・東京大学理事・副学長は、まず現状の学生の構成比率について、「学部の入試のあり方が避けて通れない。男性教員が作る入試問題のバイアスもあるのではないか」「個人的意見では、学校推薦入試による選抜を今の100人から300人に増やす、また、学部外国人学生を全体の3割にまで増やすと東大全体がより多様で自由な雰囲気に変わっていくのでは」と入口の問題を長期的に考えていく必要性があるとの見解を示しました。
また、相原理事・副学長はパネリストの意見を受け、「大学としてD&Iの話を受け身ではなく、積極的にプロアクティブに把握し、解決していく方法を見つけていく。DEIの研究所を設置して、国内外のInstitutesと連携して、学内外にvisibleな存在とすることだと思います。もちろん、研究所設立のためには、人的、財務的リソースが欠かせませんが、東大の発展のためにもリソースを用意すべき」と述べました。
最後に林香里・東京大学理事・副学長が「女性や性的マイノリティの比率をあげること、外国人、障害者の比率をあげること。それだけではなく、私たちの身の回りには常にどこかに声を上げられないマイノリティがいる。そこへのセンシビリティをあげて、社会に共振し感度の高いキャンパスを作ること。一生懸命、アドボケイトやアライを作り、多様な知見をいかして東大を真の教養性あふれる大学にしたいと思います。そこから時代の最先端をいくものが、今以上に生まれてくると確信しています」と挨拶しました。
第1部「D&I宣言と本学におけるデータの紹介」では、まず相談支援研究開発センターの高野明教授から、「ダイバーシティ&インクルージョン宣言の説明」で宣言発出の経緯と盛り込んだ理念についての説明がありました。
続いて、男女共同参画室副室長である小川真理子情報学環特任准教授からは、東京大学について、女子学生比率、女性研究者比率、外国人比率などの面で他国のトップ大学等と比べ、低水準にとどまっていることとデータで可視化することの重要性が説明されました。
第2部では、中野円佳・男女共同参画室特任研究員がモデレータをつとめ、多様な立場や経験を持つ東大関係者がパネルディスカッション「D&I宣言の実現に向けて ~多様な立場と経験から学ぶ~」を行いました。
駒場キャンパスでの英語教育プログラムPEAKを担当するWoodward, Jonathan・総合文化研究科教授は「日本人教員と外国人教員がいる場で、日本語で会議をしたときと英語で会議をしたときに、内容が全く変わってくる。お互いに、今話されている内容を完璧に理解している自信がないと話しにくいと感じてしまう」と外国人教員としての経験を語ったうえで、「日本には“根回し”文化があり、透明性の向上が必要」などの問題を指摘しました。
大学院生の時に来日し、今年4月に着任した李美淑・情報学環准教授は「学生のとき、女性、韓国出身というマイノリティ性により、存在していないかのように扱われることがあった」「多様性を推進する立場の人たちが(女性や外国人教員に多い)有期雇用ではモノを言いにくい」などの状況を訴え、「ソウル大では多様性委員会や人権センターがあるほか、学生の自治や教員のネットワークから声があがることもある」と事例を紹介しました。
障害のある児童生徒・学生の学習の機会等について実践や研究を手掛けている近藤武夫・先端科学技術研究センター教授は「障害者の参加が前提とされていない場では、本人側が声を上げて交渉しないといけない。でも、本人側からは組織側の文化やルール、慣行は見えてこないので、本人と組織の間で対話がうまく成立せず、本人が一生懸命声を上げていても組織側が耳を傾けてくれないことも多々ある。そこではアドボケイト、つまり本人と一緒に声をあげてくれる人が組織側にも必要」と語りました。
法科大学院を卒業後、LGBTQの学生向け就職活動支援を手掛ける株式会社JobRainbowを立ち上げ、取締役COOを務める星真梨子氏は、「たとえばLGBTのイベント等では日本では企業の協賛が中心で、海外で行政や自治体から寄付金が非常に出ているのと比べると企業に忖度したメッセージしか出ない可能性がある。東大には日本のダイバーシティ&インクルージョンに対して、ぜひ存在感を発揮して取り組んでもらいたい」と大学への期待を語りました。
相原博昭・東京大学理事・副学長は、まず現状の学生の構成比率について、「学部の入試のあり方が避けて通れない。男性教員が作る入試問題のバイアスもあるのではないか」「個人的意見では、学校推薦入試による選抜を今の100人から300人に増やす、また、学部外国人学生を全体の3割にまで増やすと東大全体がより多様で自由な雰囲気に変わっていくのでは」と入口の問題を長期的に考えていく必要性があるとの見解を示しました。
また、相原理事・副学長はパネリストの意見を受け、「大学としてD&Iの話を受け身ではなく、積極的にプロアクティブに把握し、解決していく方法を見つけていく。DEIの研究所を設置して、国内外のInstitutesと連携して、学内外にvisibleな存在とすることだと思います。もちろん、研究所設立のためには、人的、財務的リソースが欠かせませんが、東大の発展のためにもリソースを用意すべき」と述べました。
最後に林香里・東京大学理事・副学長が「女性や性的マイノリティの比率をあげること、外国人、障害者の比率をあげること。それだけではなく、私たちの身の回りには常にどこかに声を上げられないマイノリティがいる。そこへのセンシビリティをあげて、社会に共振し感度の高いキャンパスを作ること。一生懸命、アドボケイトやアライを作り、多様な知見をいかして東大を真の教養性あふれる大学にしたいと思います。そこから時代の最先端をいくものが、今以上に生まれてくると確信しています」と挨拶しました。