女子高校生のための東京大学説明会「リアル東大女子★未来の東大女子」

ポスター掲示
2019年8月8日(木)、東京大学男女共同参画室進学促進部会の主催により「女子高校生のための東京大学説明会」が、本郷キャンパス法文2号館31番教室にて開催されました。この説明会は、東京大学における女子学生比率向上のための取り組みとして、2006年より毎年開催されています。

2019.8.8
レポート/学生ライター 大鐘 亜樹(人文社会系研究科文化資源学研究専攻 修士1年)

教員から東大の教育プログラムを具体的に説明

松木理事・副学長の挨拶

 10時から始まった午前の部には、女子高校生と保護者約90名弱が集まり、休憩後のグループディスカッションには、約40名が参加しました。
 まず、男女共同参画室長である松木理事・副学長より、開会の挨拶がありました。
「社会変革を駆動する」「知のプロフェッショナルを育成」という五神総長の言葉を引用しつつ、本学の教育プログラムそしてすぐれた仲間と切磋琢磨することによって、その実力をつけるには最高の環境であることの説明が行われました。また、公正な入試を行っているにも拘らず、女子学生の割合が2割に満たないのは異常であるとして、特に地方に残る、女性に高い教育は必要ないという古い考え方は、世界では通用しないことが強調されました。「東大には奇人変人が多い」と言った俗説について、「奇人変人が多いというイメージはマスコミが作り出したもの。意外と普通です」と、ユーモアをもって反論されたのに対して、会場内からは笑いも漏れ、雰囲気がぐっと柔らかくなりました。

バラエティに富んだ教育プログラム

 続いて教員より、学生生活や、女子学生に対する支援の内容、教育プログラムの詳細等についての説明がありました。
 教育学研究科の高橋美保教授からは、東大における女性の受け入れについて、初めて女子学生が卒業してから70年と、東大の歴史140年のうちちょうど半分の期間であること、1970年に初めての女性教授、2019年に初めての女性学部長の誕生等、着実に進んできているけれども、まだまだ途上にある現状について説明されました。教育の環境や住居・キャリア形成に関する様々な支援や、また大学院における教育内容についても、教育学専攻を例に、具体的に紹介されました。
 
  • 髙橋先生講演の様子

 総合文化研究科の加藤英明准教授からは、初年次ゼミナールや体験型の学習、グローバルリーダー養成プログラムや留学制度等、座学に限らないバラエティに富んだ教育プログラム、推薦入学を含む入試制度について、詳細に説明がありました。特に学部・学科等が決まる前の前期課程において重視される3つの基礎力、また「Liberal Arts, Late Specialization, Early Exposure」について、広く浅くではなく、多くの機会に触れて深く学ぶ可能性を探る重要性について強調されました。

先輩東大女子による体験談を基にしたプレゼンテーション

 次に、法学部・農学部・教育学研究科に在学中の女子学生3名により、それぞれ「世界を照らす女性たれ」「『東大ならでは』を活用する」「東大で学ぶ意義と魅力」と題したプレゼンテーションが行われ、海外留学や国際学会などの経験を含む、具体的な学びについての紹介とともに、「大きな夢に出会えたのは東大に入ったからこそ」「東大では体験を通じた学びを得られる」「東大生は普通だけど普通じゃない」「なれる自己、なりたい自己それぞれを広げていける」等、東大の魅力について語られました。
  • 女子学生の講演の様子

初企画・グループディスカッション!

 休憩をはさんだ後は、グループディスカッションです。
 受付時に配布された紙片によるグループ分けに従って、4名から7名程度のグループが8つ設置され、それぞれに学生ファシリテーターがついて、まずは自己紹介、そして自分の興味を持っていること、東大に質問したいことなどを自由に話し合う時間が、約30分設けられました。
 こうした対話型・対面型による説明会は、今年が初めての企画とのことで、最初は少しぎこちない雰囲気が見られましたが、ファシリテーターからの働きかけにより、だんだん女子高校生たちも口がほぐれてきて、勉強の方法や一人暮らしへの不安など、率直な発言が聞かれるようになりました。

 保護者の皆さんも、高校生とは別に3つのグループに分かれ、こちらは教員がファシリテーターとなって、質疑応答が行われました。こちらは、専攻の決定方法や留学制度について、活発に質疑が行われ、多くの保護者が熱心にメモを取っていました。
  • グループディスカッションの様子

グループディスカッションで活発な質疑応答

 各グループで挙がった質問は、ディスカッション終了後、グループ毎に発表され、その中から、全体で議論すべきと判断されたものについて、教員4名が登壇してパネルディスカッションの形で、それぞれの立場から議論や回答が行われました。取り上げられた質問は、[1]文理選択について、[2]卒業後の進路について、 [3]数ある国立大学の中で何故東大か?の3点でした。1つ目については、あまり絞り込まずに柔軟に考えることへのアドバイスに加え、大学としての情報の伝え方についても、考えていかなくてはならないという発言もありました。最後の質問に対しては、設備・研究費の豊かさに加え、すぐれた人たちの中で切磋琢磨できる点が、異口同音に挙げられていたのが印象的でした。

今回イベントに参加しての感想

 先生方による学びの環境やプログラムの紹介に加え、生き生きとキャンパスライフを送る先輩たちの姿が伝えられ、率直な意見交換も行われたこの説明会によって、出席された女子高校生の皆さんの入学に関する不安が少しでも解消され、果敢に挑んでくださることを期待したいと思います。

11月4日(月)開催 『第2回女子高校生のための東京大学説明会2019』受付開始しました。