大学生活、新入生はどう過ごしてる? |『Stay Home, but our Heart is on Campus!』第7回

駒場

「大学生活、新入生はどう過ごしてる?」

新型コロナウィルスの流行により、大学生活にも様々な影響が及んでいます。特に新入生は、入学後の様々なイベントの中止、入学いきなりのオンライン授業など、戸惑うことも多いと思います。では、東大の1年生はどのように入学準備をし、大学生活を送っているのでしょうか。3人の女子学生の方にインタビューしてみました。東大を目指す受験生の皆さんもぜひ読んでみてください。

インタビュー協力者:Iさん(理科1類・三鷹国際学生宿舎で一人暮らし)、Kさん(文科3類・実家暮らし)、Nさん(文科3類・三鷹国際学生宿舎で一人暮らし)

2020.06.10
インタビュー/学生ライター
辻 優太郎(教育学研究科 修士課程1年)

入学準備はどうだった?

――― まずは入学準備からお聞きします。IさんとNさんは三鷹国際学生宿舎で一人暮らしということですが、住まいの準備にコロナの影響はありましたか。

Iさん:入居自体はスムーズで、特に問題はありませんでした。ただ、引越の手伝いに来てくれた家族と一緒に観光する予定だったんですが、外に出られなかったので家族は車でとんぼ返りでした。しばらく会わなくなるのに思い出づくりができなかったのは残念でした。おばあちゃんも来てくれていたので、感染したら…と思い心配でしたね。

Nさん:私も家族と一緒に来ましたが、公共交通機関を使いにくかったので、富山から車で東京まで来ました。深夜に出発して次の日のお昼前に着いた、という感じです。家族の健康面は私も心配でした。

――― オンライン授業に決まった後、受講環境の準備はどうでしたか。

Kさん:元々PCが必要なのは分かっていたのと、私は実家なので特に困ったことはありませんでした。ただ、同じ高校の人で誰が東大に行くのか知らなかったので、相談できる人がいなかったことは不安でした。

Iさん:私は高校までガラケーだったんですが、スマホを買う際に大容量のプランにして、テザリングで受講することにしました。元々PCが好きだったので、その点では特に困ったことはなかったです。

Nさん:皆さんと同じでPCは大丈夫でしたが、Wi-Fiに手こずりました。三鷹国際学生宿舎のWi-Fiが実際どうなのか気になっていたのですが、あまりインターネット上の情報がなく、聞ける友達もいなかったので。管理棟の方に聞いて少しは解決しましたが、少し大変でした。

Iさん:生協のWi-FiがどうなのかなどをTwitterで情報収集していたのですが、情報が錯綜していました(笑)。つながりにくいといった情報や、いやいや快適だという情報などが色々あり、どれを信用してよいのか…と思いました。

――― 確かに、通信環境は使ってみるまで分からない部分も多いので大変ですね。

大学の授業を受けてみて

――― 続いては授業についてです。まず、入学後大変なのは履修決めだと思います。普通ならオリ合宿で上クラ(注1)の人から教えてもらったり、逆評定(注2)を読んだり…とあると思いますが、どうしましたか。
注1:東大では入学時に、同じ第2外国語の中でいくつかのクラスが編成される。1クラスには2年生の1クラスが割り当てられ(=上クラ)、4月のオリエンテーション合宿(=オリ合宿、入学前に親睦を深める行事)を中心とした歓迎行事を主催してくれる。
注2:学内のサークルが発行している、授業に関する情報が掲載されている冊子

Kさん:逆評定の存在はTwitterで知りました。今年はオンラインで無料で提供されていました。

Iさん:私は受験期に、モチベーションを上げるために東大の情報を調べていた時に知っていました。

――― みなさん情報収集力がすごいですね(笑)。

Nさん:私の上クラは履修相談会をオンラインで開いてくれました。何人かのグループごとに、ZoomやLINE通話で履修について説明をしてもらい、質問する、という感じです。組んでみた時間割も見てもらえ、助かりました。

Kさん:私も上クラの人が相談に乗ってくれました。

Iさん:私は主にTwitterで上の学年の人に聞いていました。あと、UT-BASEというサークルが履修についての情報を発信していたので、それも参考になりました。正直不安でしたが、なんとかなっているかな…という感じです。

――― UT-BASEは私の入学時にはなかったサークルですね。上クラも在学生も、1年生のために工夫しているのを感じます。では、実際の授業の内容はどうでしょうか。

Iさん:高校とは授業の感じが違うので苦労しています。初年次ゼミナール(注3)のような授業は楽しいですね。ただ全般的に、どうすればいい成績を取れるのかがなかなか分からないです。一生懸命やっても手応えがない感じというか。
注3:1年生の必修科目で、問いの立て方や調査の方法など、研究の基礎を学ぶ授業

Nさん:高校時代と違って決まった答えの無い問題が多いので、課題は大変です。考えているといくらでも時間が溶けちゃう(笑)。

――― 課題をやるにあたって、図書館が使えない(注:現在は短縮開館中)のは大変ですよね。資料はどうしていますか。
 
Nさん:基本的にインターネット上で見られる論文を使ってやっていますが、制約が多くて大変です…。

Kさん:私の取っている初年次ゼミナールの先生は、テーマに関して自分が持っている資料を大量に送ってくれました。朝4時までかかったらしいです(笑)。

――― オンラインであることのメリット、デメリットはどうでしょうか。

Iさん:分からなかったところを後から見返せるので、録画があるのは結構良い点だと思います。ただやはりオンラインなので、質問がしにくいです。芸能人とかYouTuberぐらいの距離なので、ささいなことが聞きにくい(笑)。

Kさん:私は実家ですが、家族の声が入ることがあってそこはちょっと困っています。グループで議論している時に妹が話しかけてきたりして(笑)。

――― たしかに質問は少ししにくいですね。実家の環境は、友達から同じような声を聞きます。

授業以外の学生生活はどうしてる?

――― では、学生生活についてです。サークルの勧誘やオリ合宿がなくなってしまい、友達との交流が難しそうですが、そのあたりはどうしていますか。

Nさん:私はサークルに入っています。情報をTwitterで集めていたら、オンラインの歓迎会や説明会が頻繁に開かれていたので、それに参加して入るサークルを決めました。

Iさん:サーオリ(注4)とかオリ合宿とか、東大の文化がぜんぶ吹っ飛んじゃった感じがしてちょっと残念です…。
注4:サークルオリエンテーション。毎年4月に開催され、学内のサークルが新入生を勧誘する場になっている
 
Kさん:クラスの人との交流はZoomでしています。最初は上クラの人が開いてくれて、仲良くなってからはオリ長が開くみたいな感じで。

Iさん:わりとクラスによりけりだと思います。私のクラスは上クラが初めに1回だけやってくれたんですが、その後はそれほど頻繁ではないですね。週末にたまに「Zoomの部屋開けてるよ」という人がいて、数人集まるかな、というぐらいです。

――― 普段の生活はどうでしょうか。私の妹は今年大学1年生なのですが、ずっと家にいるので生活リズムの維持が大変そうです。

Kさん:1、2週間ぐらい前までは、父がテレワークで家にずっといたので家事をしてくれていました。生活リズムはなかなかメリハリがつかないですね。21時ぐらいから課題を始めて2時ぐらいに寝る感じです。

Iさん:一人暮らしなので寝たい時に寝よう、というのをしていたら生活リズムがぐちゃぐちゃになった時があって(笑)。メンタルが沈んでくるのを感じて、一度すっきり寝たら治りました。しんどい時こそ寝るのが大事というのを実感しました。

Nさん:私も一人暮らしで、家事を全部やるのが大変です。オンライン授業で課題も多くて、サークルの会議にも出なきゃいけない、となったら一日がハードです。一時期規則正しい生活ができていた時もあったけど、最近は寝るのが遅くなりがちですね。

――― やはりメリハリをつけるのは難しいですよね。息抜きはどうしていますか。

Iさん:広い世界を探索するスマホゲームをつい最近始めました。現実でなかなか行けないからこそ(笑)。あと、この前は多摩川まで行きました。外に出て体を動かすのも大事かなと思います。

Kさん:吉祥寺が近いので、最近はひたすら歩き回っています。井の頭公園とか。

Nさん:気分が落ち込む時もあるので、友達や家族とオンラインで話して気分転換します。あとはKさんと同じで、吉祥寺の本屋さんにもたまに行きます。

女子中高生へのメッセージ

――― ここまで色々お話を聞いてきて、大変ながらもみなさんが東大での生活を楽しめていることが伝わってきました。そんな東大ですが、女子比率の低さが近年問題として共有されつつあります。東大に行ってみたいけど迷っている…という女子中高生も多いと思うのですが、最後に新入生のみなさんからひとことメッセージをお願いします。

Iさん:地域によっては浪人してまで東大を目指さなくてよいのではないか、わざわざ遠くに出ていかなくてもよいのではないかと言われるという話を見たことはあります。ですが、そのような意見を持っている人ばかりではないし、ぜひ東大に出てきていろんなことを知ってほしいです。入学して約2ヶ月ですが、本当に優秀な人が世の中にはこんなにいっぱいいるんだ!というのが衝撃的でした。その世界にぜひ飛び込んでほしいし、そのために情報を集めてほしいです。

Nさん:同じ高校に東大を受ける人はいましたが、男子のほうが圧倒的に多く、話せる人がそんなにいなかったので情報集めに苦労した思い出があります。でも私も、入学して少ししか経っていませんが、クラスの人もサークルの人も人間的に豊かな人、色んな方面で自分よりも秀でている人がたくさんいるのを感じています。苦労をしてでも入る価値があるので、諦めずに頑張ってほしいと思います。

Kさん:私は女子校出身で、入学前から女子がすごい少ないというのは聞いていました。6年間女子としか喋っていかなったのでどうしようかとは思っていましたが、その分男女関係なく友達になり、深く関わることができると思います。もし女子の少なさで不安な人がいても、クラスや男女関係なく交流できるので、怖がらずに東大に来てほしいです。

――― 東大を目指す女子中高生がとても勇気づけられるメッセージだと思います。今日はありがとうございました。
 

インタビューを終えてみて

自分が新入生だったら…と思うととても大変な状況ですが、新入生の皆さんはそれぞれ工夫して大学生活を楽しんでいるようでした。特に最後のメッセージは、入学したばかりのこの時期でも、東大という環境の素晴らしさを実感している様子が伝わってきて、とても印象的でした。受験生の皆さんは不安なことも多いと思いますが、大学が発信する情報も集めながら、東大を目指して準備を進めてほしいと思います。