「東大女子に聞く!大学選択ー東大女子ってどんな人たち?ー」

トークショーの様子

11月24日(日)9:00~13:30、駒場祭最終日に東京大学駒場キャンパスにて「東大女子に聞く!大学選択ー東大女子ってどんな人たち?ー」が東大女子キャン運営委員会(2020年2月1日に改称、現polaris)と東大ドリームネットにより開催されました。

2019.11.24
リポート/学生ライター
富原 花帆(教養学部前期課程2年)(前半)
明畠 加苗(教養学部前期課程1年)(後半)
 

イベント開催理由と概要

現在、東大の学生全体における女子比率は20%を下回っています。
原因の一つとして、「女子が東大に行ってどうする」「(地方だと)女子はわざわざ上京しなくても、地元の国公立大学に進学すれば良いじゃないか」「女子で浪人はダメだ」といったことを、みなさん聞いたことがありますか?
家族や友達、学校や塾・予備校の先生が口にしていたのを聞いたことがある人もいるでしょう。

そこで・・・

本当に、中高生は主体的に大学選択をしているのだろうか?
大学だけでなく、その後の社会人になってからのことも見据えて中高生は将来を考えたことがあるだろうか?
女子中高生に進路選択に関して大学生として助けられないだろうか?

といった思いでこの企画は作られました。

イベント主催団体
〇東大女子キャン運営委員会(2020年2月1日に改称、現polaris)
 ⇒東大の女子比率改善のための活動をしている団体
〇東大ドリームネット
 ⇒東大OB・OGと東大生を繋ぐ活動をしている団体

ライターは、東大女子キャン運営委員会(現polaris)で副代表をしていました。

<イベント内容>
1. 東大OGによるトークショーと質疑応答
2. 東大OG・現役東大女子との座談会

女子中高生限定のイベントで、延べ50人以上の女子中高生とその保護者の方が参加・見学されていました。
女子中高生は、「東大を目指しているから参加した」「友達に誘われて来た」と参加理由は様々でした。
 

東大OGによるトークショー

東大OGの方を6名お呼びし、各テーマについて少しずつトークをしていただき、最後に参加者との質疑応答を行いました。
OGの方は、社会人になって長く経験豊富な方、在学中に留学に行った方、現在女医として働かれている方、社会人1年目の方など様々な経歴の方がいました。

トークショーテーマは以下の通りです。
● 大学はどんなことができる場所?
● 大学での経験は社会人になってどう生きる?
● 東大女子の私生活
● 社会に出てから味わう挫折 どう乗り越える?
● 大学をどう選ぶ?
● 中学・高校時代にやるべきこと

この中から抜粋して、OGの方がお話しされていた内容をお伝えします。
大学はどんなことができる場所?
「東大」と言うとみんなから「すごい!」って反応されるけれど、それを自分のために生かしてほしい。東大だからこそ最先端の技術や最新の情報、いろんな「すごい」人に会える切符になる。
大学は、高校と違って様々な地域からいろんな人が集まってくる。しかも、自分の好きなことができる、広くて大きな環境が整っている。だから、自分の好きなこと(サークルでもバイトでも)をやってほしい。
社会に出てから味わう挫折 どう乗り越える?
学校では男女平等な点が多いが、社会に出てから「女性だから」という側面が現れてくる。また、優秀なのに結婚・出産で仕事を続けられない人もいる。そのジェンダー・ギャップに対処しなければならないのももちろんだけど、「女性だから」というある種マイノリティーを生かした強みもあると思っている。
社会に出てからすごい人に打ちのめされたり、嫉妬で優秀な人の足を引っ張る人を見たりする。だけど、世の中には様々な評価軸があるから、一つで失敗してもめげずに頑張った。


大学をどう選ぶ?
東大を選んだ理由は、周りの人に刺激を受けたいから。大学の友達は大事です。(志望しているときは)女子の比率は気にならなかった。
自分の選択肢は狭めなくて良い。大学のことをたくさん調べて、自分が今のタイミングで納得できるような答えを見つけてください。


中高時代にやるべきこと
勉強のために中高生活を犠牲にしないでほしい。勉強以外のことも頑張って、強みをつくろう。(世間一般で考えられる)「東大生っぽくない」=頭が良い+α に当てはまる東大生はたくさんいる。
目指したい気持ちを大事にして、できるだけ将来の選択肢を広げられるような行動をしていこう。


質疑応答
参加者とOGの方が質疑応答をする時間がありました。
その中でも、ライターが『東大を目指す中高生に大事にしてほしいな』と共感できた質問をご紹介します。

「東大志望を反対されたり、東大を目指す友達がいなかったりする場合はどうすれば良いのでしょうか?」
気にしないで。強い気持ちを持って、粛々と勉強してください。

感想

ライターが中高生のときは、目の前のことで手一杯で将来のことを考える機会がありませんでした。ですが、参加していた中高生は皆真剣に自分の将来を考え、OGの方のお話を聞いていました。「自分も中高生だったらこういうイベントに参加したかったな?」と思えるような充実したイベントで、大学生にもためになるお話を聞けました!

(ここまでは富原 花帆がリポート)




 

東大OG、現役東大女子との座談会

イベントの後半部分では、東大OG、現役東大女子との座談会を行いました。前半部分で登壇した東大OG、東大ドリームネットと東大女子キャン運営委員会(現polaris)に所属する現役の女子学生、参加者の中高生が数人ずつの班に分かれて対話しました。中高生にとっては、東大女子・OGと直接話すことができる貴重な機会となったようです。
座談会では、どの班でも積極的に質問をする中高生の姿が見られました。熱心にメモを取りながら質問をする姿がとても印象的でした。「入学したときには入りたい学部を決めていましたか? 大学生活を送る中で希望する学部は変わっていきましたか?」「印象に残っている東大の授業はどの教授によるどんな授業でしたか?」「東大を卒業して社会に出てから、東大出身で良かったと思ったことはありますか?」といった質問がありました。筆者は現役の女子学生として座談会に参加していましたが、大学での学びや卒業後のキャリアについて真剣に考え、具体的に知ろうとしている中高生の姿勢に驚き、嬉しく思いました。
ほとんどの班で、20分・2回(計40分間)の座談会の間じゅう話が途切れることなく盛り上がっていました。
  • 座談会の様子

振り返りタイム

座談会終了後にはワークシートを記入する時間をとり、大学選択において何を大事にしたいかについての優先順位とイベントの感想を書きました。イベントを通して大学選択を考える上での視点が増えたようで、じっくりと考えながら優先順位をつける様子が見られました。
書いた感想を共有する時間には、東大生に対するイメージが変わったという声が多くあげられました。「イベントに参加する前は、東大生は真面目で堅苦しいイメージでした。でも、話してみると優しくて親しみやすい人が多く、東大生が身近に感じられるようになりました。」「東大は、大学在学中も社会に出てからも周囲の人からの刺激を受けられる素敵な環境だと分かりました。東大に行きたくなりました。」「これからの高校生活や大学進学後のビジョンがはっきりしました。」「OGの方や現役の学生から様々な話が聞けて、世界が広がりました。」といった感想が出ました。
 
  • 振り返りタイムの様子

東大OGからのメッセージ

イベントの最後に、OGの方から中高生に向けてメッセージをいただきました。「大学選択は大きなライフイベントだけれど、長い人生のほんの一部です。その時その時を大事にしてください。」「今日の話を『すごいなあ』で終わらせるのではなく、家に帰るまでに何か小さいことでも目標を決めてみてください。」ほんの一言のメッセージからも、OGの方々の生き方が垣間見えた気がしました。

イベントが始まったときは表情がやや固かった中高生でしたが、最後に撮った集合写真では笑顔が見られました。また、イベント終了後も会場に残ってOGや現役東大生に質問をする中高生も多くいて、卒業生のところには長い列ができていました。
 

筆者の感想

座談会を通して東大女子を身近に感じられるようになった、という声を中高生から聞くことができたのを嬉しく思います。特に女子にとって東大は遠い存在に思われがちですが、実は意外と近い存在なのです。東大生としては、「大学生活や卒業後のことも考えた上で主体的に大学を選んでもらえたら、そして主体的な大学選びの結果として東大を受験してもらえたら」と思っています。私たち大学生がその助けとなれたなら幸いです。

(ここまで明畠 加苗がリポート)