【Campus Voice】柏キャンパス「未来をのぞこう!ー女子中高生のみなさん、リケジョの未来のぞいてみませんか。ー」

森先生
今回、2019年10月26日(土)に開催された、女子中高生向け理系進路選択支援事業「未来をのぞこう!」に行ってきました。
 
柏キャンパスは、東京大学の21世紀における新たな学問の発展に向けた構想に基づいて建設された、本郷、駒場に次ぐ第3の主要キャンパスです。様々な研究科、研究所等が世界最先端の研究を行っています。
 
この日は、「東京大学柏キャンパス一般公開2019」の2日目が開催されているということもあり、柏キャンパスは多くの中高生や家族連れで賑わっていました。

今回のイベント「未来をのぞこう!」では、午前中、新領域創成科学研究科「柏の知の森:謎解きツアー」、物性研究所「チョコレイト・サイエンス」、大気海洋研究所「地球内部の宝石たち」の3つのコースに分かれて実験や研究現場を体験し、午後から全体企画として、「先輩リケジョのパネルトーク」、「先輩リケジョとティータイム」が行われました。


2019.10.26
レポート/ダイバーシティ推進課

チョコレートと物理?分子レベルで作り分けるクッキング!

  • 餅田円さん(東京大学物性研究所広報室)が教えてくれました。

物性研究所では、「チョコレイト・サイエンス」ということで、チョコレートのおいしい理由を物理の視点で、餅田円さん(物性研究所広報室)が教えてくれました。
 
最近の研究で、分子レベルの構造によってチョコの口どけや食感がかわることがわかってきたそうです。「食品物理学」っていう言葉があるそう。
 
「パリっとした食感」、「とろけるような口溶け」は、物理の視点で、すべて計算に基づいたものだったのだなーと改めて思いました。



参加者はグループに分かれ、エプロン・三角巾を付けて、クッキング!
冷やし方の違いによる、チョコレートの違いをみるクッキングを行いました。
チョコの良い香りが会場に広がります。幸せ。

参加者のみなさんが楽しんで実験している姿が印象的でした。

地球の内部に宝石?

  • 秋澤紀克助教(東京大学大気海洋研究所)が教えてくれました。

私たちが住む地球の表層は地殻から成り、地殻の下にはマントル、マントルの下には核があります。私たちは直接マントルの物質を手にしたことはありませんが、「間接的に手に入れることは可能です。」と説明してくださったのは、大気海洋研究所の秋澤紀克助教です。

今回、マントル上部を主に構成する岩石であるカンラン岩を実際手に取り触って感触を確かめ、さらには顕微鏡を用いてカンラン岩を観察しました。




カンラン岩を偏光板で挟んだ顕微鏡で観察すると、見事な極彩色のステンドグラスの世界が広がっていました。本当にキラキラ美しい「宝石!」です。
 
参加者の女子中高生の皆さんは、顕微鏡を覗き込んだり、顕微鏡に映る世界の写真を撮ったり、楽しそう。
 
参加者各自に、カンラン岩を構成する鉱物である、ペリドット(8月の誕生石)とガーネット(1月の誕生石)の小粒が配られ、好みの配分で小瓶に詰めました。
 
できあがった「宝石」の小瓶は、今回の講義の記念品として、参加者が持ち帰っていました。

午後は先輩リケジョのパネルトークとティータイム

実験の後は、それぞれのコースで、教員や大学院生とランチタイム。ここでも、女子中高生の皆さんは、先輩リケジョとたくさんお話しできたようです。
 
ランチの後は、3つのコースに分かれていた女子中高生の皆さんと保護者の皆さんが一同に集まり、社会で活躍する先輩リケジョや現役大学院生の先輩リケジョのパネルトークが始まりました。
 
まずは、物性研究所所長の森初果教授より、ご挨拶がありました。柏での女子中高生向け理系進路選択支援事業は、今年でちょうど10回目とのこと。
 
続いて、パネルトークが始まりました。
女子中高生の皆さんから事前にもらった質問の中で、特に多かった質問について、3名の先輩リケジョがそれぞれの経験から回答します。



ひとつ目の質問は、「大学生活について」。それぞれ部活に打ち込んでいたこと、授業を真面目に受けていたこと、アルバイトの経験などについて、楽しいエピソードを交えたお話でした。
次は「理系のお仕事について。仕事に有利なことは?」。印象的な回答は、「論理的な考え方は、どんな仕事をするうえでも役に立つ。」というお話。確かに。

他にも「海外留学について教えてください。」という質問には、「修士2年や博士になると、自分の研究で忙しくなるので、比較的時間がある学部や修士1年で、行った方が良い。」や「一人で海外に行く経験が将来の役に立つ。」、「価値観の違いが学べた。」、「留学のための奨学金がたくさんあるので、調べてみるべき」と海外留学をお勧めする回答がたくさん伺えました。



最後は、先輩リケジョとティータイム。いくつかのテーブルに別れて、大学院生と自由にお話しできます。ここでは、全体のパネルトークでは聞きづらかった女子中高生の皆さんの個別の疑問や質問もお話しできたと思います。
 
保護者の皆様も、森所長をはじめ、教員の方々と、楽しくお話していたのが、印象的でした。保護者目線の知りたいこともお話できたのではないでしょうか。

来年も参加したい!

朝10時から午後3時までのイベントでしたが、内容が盛りだくさんのうえ、たくさんの素敵な先輩リケジョや先生方も登場し、とても学びの多い1日でした。こんな風に、世界最先端の研究者と、世界最先端の研究施設で学べる機会があるなんて…。改めて、より多くの女子中高生の皆さんに参加してもらいたいなと思いました。
 
理系が好きな女子中高生の皆さんのみならず、理系に進むべきか、文系に進むべきか迷っている皆さんにもぜひ参加してもらいたい貴重なイベントでした。
 
そして、同時開催の「東京大学柏キャンパス一般公開」。こちらも2日間に渡って、内容盛りだくさん。幼児、小学生から楽しめるイベントがたくさんありました。ぜひ家族皆さんで参加していただきたいです。