【Campus Voice】高校生のための東京大学オープンキャンパス2020「リガクル♡ミラクル ~女子中高生のための質問コーナー~」イベントレポート

理学部

リガクル♡ミラクル ~女子中高生のための質問コーナー~

2020年9月22日(火)9:00~16:30、理学部のオンラインオープンキャンパスにて「リガクル♡ミラクル ~女子中高生のための質問コーナー~」が理学部10学科(数学科、情報科学科、物理学科、天文学科、地球惑星物理学科、地球惑星環境学科、化学科、生物化学科、生物学科、生物情報科学科)の教員と女子学生によって開催されました。

2020.9.22
リポート/学生ライター
安東 梢(理学部生物学科4年)
 

イベント概要

毎年開催されている本イベントですが、今回は初のオンライン開催でした。10:00~12:00,13:00~15:00,15:00~16:30の3回のセッションに分かれて開催されました。参加者の女子中高生は、Zoomのメインルームに入った後、希望の学科の大学生・大学院生がいる個別のルームに移動しました。各ルームでは、1つの学科につき1人の女子学生が待機しており、各自が用意したスライドやPDFをもちいて様々な話をしました。その後、中高生のスライドに関する内容や大学受験についての質問に答えるという内容でした。特定の分野に興味が定まっている参加者は一つのルームだけを訪問するというケースもありましたが、多くの参加者は複数の学科を訪問していました。

一今回ご協力いただいた、地球惑星環境学科と生物学科の学生をご紹介します。

地球惑星環境学科の学生(学部4年)
中高時代:高校時代から好きだった。地球惑星物理学科の存在を知っていた。
前期教養(学部1~2年)時代:理科一類に入学。地球惑星環境学科と地球惑星物理学科で迷ったが、フィールド調査が多い地球惑星環境学科に惹かれ、進学を決意。
進学後の授業内容:学科では高校理科でいう「地学」に近い勉強をしている。 対象範囲は非常に広く、地震、火山、大気海洋、気候、岩石、地球史、地球内部、太陽系、地形など。普段は講義を受けたり、実習・実験で顕微鏡を見たり、演習林に出かけたり、雲を作ったり、プログラミングしたり、ドローン飛ばしたりなどをする。フィールドワークへ行って現場で実際に観察 や試料採取などを行うことが重視されているのが地球惑星環境学科の大きな特徴。
卒業研究:気候モデルシミュレーションをやる予定。地球は複雑なシステムであるため、気候変動や地球温暖化の将来予測のためにまずは過去の気候のメカニズムを解明し、再現することをめざす。モデリングと数値実験がメイン。

生物学科の学生(学部4年)
中高時代:中高一貫の女子高出身で、部活(バスケットボール部)に明け暮れていた。英語が好きだった。生物への興味はほぼなかった。大学受験は物理・化学の二科目で受験した。
前期教養時代:ある授業を受けて進化や適応度と行動の関連に興味をもったため、入学当初は考えていなかった理学部生物学科への進学を決意した。
進学後の授業内容:生物学について基本的な内容から最先端の研究まで網羅的に学ぶことができて、座学と実験・実習を並行しながら興味を深めていった。
卒業研究:神経生物学をやる予定。大学院にも進んで記憶・学習のメカニズムを調べる研究がしたい。

ほかにも「人数が少なく仲良くアットホームな雰囲気」「その分野に関しては世界的権威の先生がいらっしゃる」など自分の学科のいいところを宣伝したり、「実験結果がでないときがつらい」など避けては通れない研究のつらいことを話している学科もありました。

中高生から大学生への質問と大学生の回答

  • 天文学科の個別ルームの様子

実際に参加者から出た質問の例を紹介します。(()は質問が出た学科を示す)

理学部と工学部の違いは?(物理学科)
理学部は原理の追求、工学部は世の中を良くするための研究をしているイメージがある。

物理学科はひたすら机にむかって計算をしているのか?(物理学科)
3年次は機械を使って実験をすることも多い。研究室は実験系のラボと理論系(計算をする)ラボに分かれている。

天文学科など実習が多い学科ではコロナ禍の影響は?(天文学科)
今までに取得したデータの分析を行っている。

いわゆる「進学校」に通っているわけではないため、都内の有名進学校との学業面の格差に焦っているのだが、どうやって勉強すればいいか?(天文学科)
モチベーションの維持のために勉強仲間を見つけることが大切だと思う。今の時代だったらオンラインでほかの東大受験生とつながることもできるからそういうのを活用するのもありかもしれない。

部活が忙しくて勉強との両立が難しいが、どういうふうに勉強していったらいいか(生物学科)
東大受験生は部活やりながら勉強している人が多いから特別焦る必要はない。(この後各科目の具体的な勉強法について話し合っていました)

生物系の学科というのはいろいろあると思うが、生物学科、生物化学科、生物情報科学科、農学部でどういう違いがあるのか(生物学科)
生物学科はマクロ・ミクロどちらの生物学も幅広くやれるイメージで、生物化学科は生化学寄り、生物情報科学科は情報寄り。農学部は研究室に所属すれば基礎研究をやるが、授業自体は応用的なことも学ぶ。

大きく分けると「大学受験の勉強法」と「東大の後期課程で学科ごとに具体的に学べること」の二つに大別される質問が多かったように感じます。皆さん積極的に質問をしていて、和気あいあいとした雰囲気でした!

参加した大学生側の思い

今回先輩として参加された女子学生にイベントの感想をインタビューしました!一部紹介させていただきます。

「中高生の段階から将来についてまじめに考えている子がとても多くて驚いた」
「皆さんたくさん質問してくれてうれしかった」
「地方在住の子が多かった印象。オンライン開催ならではの特徴であり、とてもよかったと思う」

皆さん中高生の真面目さに感心したようです。また、「思ったより人が来なくてさみしかった」という声も一部ありました。来年はさらに多くの中高生が参加してくれることを祈っています!

参加した中高生の声

参加してくださった中高生にも参加後の感想をインタビューしました!一部意見を紹介させていただきます。

「地方在住で東大生と接したことがなかったため参加前はとても緊張したが、学生の方が親身に相談に乗ってくれてよかった。」
「質問に答えるだけじゃなくて、将来の夢を持ってる方の話が聞けて良かった。今はどうしても受験のことだけを考えてしまうが、大学生になって勉強できることを垣間見ることができてよかった。」
「大学で学べることの紹介にとどまらず受験勉強のコツなども相談にのってくれて良かった。」

オンラインでの開催ということで、例年通りオフラインで開催されていたらなかなか来ることが難しかったであろう地方から参加した中高生が多かったことが印象的でした。

また東大に関する知識があまりない参加者のみならず、すでに東大の進学選択のシステムを熟知していてその上で特定の学科への進学難易度を聞いている高校生もいらっしゃいました。このようなかなり具体性をもった質問に対しても、すべての学科の女子学生が揃っていたことですべての参加者の二―ズに答えられたのではないでしょうか。

筆者の感想

オンライン開催はネットワーク環境やセキュリティの問題など様々な不安な点が考えられましたが、結果として地方に住む高校生が参加できる、周りの目を気にせず気楽に参加できるなどのメリットのほうが大きかったのではないでしょうか。直接一対一で現役の東大理学部に所属する女子学生に話を聞くことで、東大に限らず理学部への進学に対するより具体的なイメージがわいていてくれたら筆者としてもうれしいです!