【Campus Voice】高校生のための東京大学オープンキャンパス2020第一弾 「文系女子について語ろう-女子中高生とのオンライン交流会」

進学制度
イベントレポーター
教養学部前期課程 文科三類2年
髙山佳乃子
 

(1)イベント概要

「文系の東大女子ってどんなことを学んでいるの?」「東大女子の生活ってどんな感じ?」
そんな女子中高生や保護者の素朴な疑問に答えるオンラインイベントが、オープンキャンパス期間中に教養学部主催で行われました。当日は全国各地から多くの方々が参加してくださり、イベントは大盛況でした!

(2)当日の様子

当日は斎藤文子先生 (地域文化研究専攻教授、 文科三類入学、教養学部卒業、学芸大学附属高校出身)が進行役となり、教養学部所属の学生4名、卒業生1名、教員1名をパネリストに迎えて、参加者からの質問に答えていくかたちで進行しました。

[1]どうして東大を目指したんですか?
(福田那奈さん:文科三類2年、土佐塾高校出身)
数学や理科が苦手で理系という選択を諦めたことが大きかったです。元々医学部を志望しており地元で医者になることを目指していましたが、数学や理科が自分に向いてないと感じ、さほど勉強したいとも思いませんでした。しかし、当時の自分には医者以外にやりたい事が見つからなかったため、自分に向いていることが何なのか大学に入ってからゆっくり考えたくて、それができるのが東大だと学校の先生から聞き、高1の夏頃に文転して東大を目指すことにしました。だから、理系に進める可能性を残したかったことと、自分が本当に何をしたいのかを見極められる環境であることが東大を目指した理由です。
東大の教養学部では理系から文系まで幅広く学んだ上で進学先を決めることができ、何が自分に向いているか見極められる良い環境だと思います。
 
(多和田萌花さん:教養学科4年、文科三類入学、土浦第一高校出身)
自分は周りの環境にすごく左右されやすい性格だと感じていたので、優秀な人に囲まれた環境で自分を高めるために東大を目指しました。
きっかけは高1の頃に学内選抜でアメリカに行った際に、優秀な大学と生徒に触れて広い世界を知ったことです。「こういう人と話すとこんなに深くまで物事って見えるんだ」と感動し、ものの見方が広がりました。だから、大学は優秀な人が多いところに行きたいと思いました。実際東大でそのような経験ができて良かったと思います。
 
進学選択制度や優秀な学生など、東大の魅力に惹かれて進学を決めたんですね。東大では理転も夢じゃない!
 
  • 福田さん

[2]文一・二・三の科類をどうやって選んだんですか?
(由地莉子さん:教養学科4年、文科一類入学、筑波大学付属高校出身)
私は、国際関係論(後期教養学部のコースのうちの一つ)に行きたくて東大を選んだので、国際関係論に進学しやすい文一を選びました。たしかに文一・二からの進学人数枠は多いと言われますが実際は文三出身の人も多くいたので、国際関係論に進学するために特に科類を絞る必要はなかったかなと思います。文一・二の中では、文一では法律を勉強し文二では数学(経済)を勉強しますが、数学が苦手だったので文一を選びました。
 
(斎藤先生)どの後期課程に進学したいか、入学前に早くも決まっていたんですね。
 
(宮島智美さん:ドイツ証券株式会社 外国為替営業部、経済学部卒業、文科二類入学、静岡県立韮山高校出身)
私は逆に数学や数字が好きだったので、なんとなく文二にしました(笑)
 
(斎藤先生)数学が好きな人が文二に行く傾向があるんですかね。文一・二・三と分かれてはいますが、文一の人は必ず法学部に進学し、文二の人は必ず経済学部に進学するわけではなく、入学後の成績によっては進学先を割と自由に選べるので、実際のところ進学選択においては科類の垣根は低そうですね。
 
【進学選択制度の仕組みや各科類での必修科目については女子中高生向けの情報誌Perspectivesを参照】
  • 由地さん

[3]地方の高校から東京に出てくるハードルは高かったですか?
(高山泰子さん:文科二類2年、広島大学附属高校出身)
私は、同じ高校から東大に行く人が多かったのでハードルはあまり感じませんでした。それに県外の医学部への進学で広島を出る女の子も多かったですし。ただ、東京に来てみて広島になかなか帰れず大変だということには気付きました(笑)
 
(福田さん)
私の場合は結構難しかったですね。高知は関西と距離が近いので、東京に行くより関西に残って欲しいと親には言われました。関西に進学する友達も多かったですし。それに、東大を目指すと言うと「なんでそこまでいくの?」と言われたこともありました。東大文系は入試で社会を科目受験しなければならず特殊なので、一緒に科目の勉強をする友達がおらず、友達が下校するなか一人で7・8限に補講を受けなければならず寂しかったですね。そういう意味で地方から東大を目指すハードルは高かったです。
生活面では、なかなか帰省はできませんがあまり困ったことはありません。文三なので地方出身の友達も多く、一人暮らしの友達に相談したり気軽に泊まりに行ったりできますね。

(斎藤先生)なるほど。四本先生は宮崎のご出身でいらっしゃいますよね?
 
(四本裕子先生:広域科学専攻准教授、文学部卒業、文科三類入学、宮崎西高校出身)(専門は脳科学)
はい。私の場合、宮崎に大学がほとんど無いために大学進学はすなわち家を出て一人暮らしをすることだったので、進学で地元を離れることは当たり前だと思っていました。しかし経済的には、自分が三姉妹で全員が大学進学したので両親には多大な負担をかけたと思います。だから学生時代はすごくバイトをしました(笑)スーパーで冷凍食品を調理したり、塾講師をしたり、レストランのウェイトレスをしたり。その分いろんな経験を積めて面白かったですね。
  • 高山さん

[4]東大女子は嫌厭されませんか?
(宮島さん)
私の会社には東大出身者が多いので社内では感じませんが、取引先には東大出身であることをわざわざ言わないですし、驚かれることもあります。東大生は世に多くはいないので特別視してもらっていると感じることもあればレッテルを貼られていると感じることもあります。しかし良くも悪くも東大女子はマイノリティなので、すぐ顔を覚えてもらえます。
仕事以外では、子どもを保育園に通わせていますがそこは同じ地域に住んでいる親が集まるので、両親同士出身校を話すことは無く「知られたらどう思われるのかな」とは感じます。それは、東大出身という理由で特別視されたくないですし妬まれたら嫌だと思うからです。
 
(斎藤先生)社会に出てから「東大出身であること」を意識することは多いかもしれませんね。逆に由地さんはあまり困ったことは無いとおっしゃっていましたよね?
 
(由地さん)
そうですね。まだ学生だからかもしれませんが、逆に良かったこともあると思います。例えば東大の中で研修旅行に行くとなった時に、男女同数にしようとすると女子は母数が少ない分選抜されやすかったり、国として女性活躍が推進されている中で東大も理系女子のための研修プログラムなどを設けているので、女子のチャンスは逆に多いと感じます。
 
(斎藤先生)他の方々はどうですか?
 
(四本先生)
私は科学者として国際学会などで海外の研究者と話すことがありますが、そこで東大って別にすごくないんですよ。まあ東京って聞いたことあるし大きい大学なんじゃない?ってくらいで。むしろもっと有名な世界の大学の人たちと戦っていかなければならないので、東大ごときじゃ全然足りないと感じることもあります。
 
(斎藤先生)海外に目を向けることも重要ですね。一方で東大女子が入れない東大のサークルが問題になっていましたが、どうなったのでしょうか?
 
(四本先生)
そもそもサークルは学生の自治による活動であり大学側は基本的に口を出しませんが、学生のつくる学生自治団体の協議によって、そのようなサークルの学内での勧誘活動を認めず勧誘冊子にも掲載しないことを決めました。だからこれから状況が改善されていくはずです。
 
(斎藤先生)長年続いてきた状況がやっと改善されてきたのですね。
  • 宮島さん

  • 四本先生

[5]浪人することを躊躇しましたか?
(斎藤先生)高山さんは一浪して入学しましたよね。

(高山さん)
高校生のときは浪人はきついものに思われたので、1回目の東大受験で落ちる前は浪人しないと決めていました。でも入試の時に初めて駒場(駒場キャンパス:教養学部前期課程及び後期課程の学生が通う)に来て、その時の雰囲気で「どうしてもここに来たい」と思い、受験失敗後に浪人することを決めました。浪人しているときは「ここまでして東大に行く意味はあるのかな」と思うほど辛かったです。しかし1年間浪人する中で論理的に思考する力を養ったおかげで、大学では他の人の話をよく理解できるようになったので、そういう面でも浪人して入学できて良かったと思います。
 
(斎藤先生)高山さんは地方出身という面ではあまり浪人を躊躇しなかったのですね。高知県出身の福田さんはどうでしたか?
 
(福田さん)
私の場合、経済的に厳しいので浪人は親から反対されていました。もし東大に落ちたら後期試験で受かった大学に行くから、東大を受けさせてほしいと親を説得しました。
 
(斎藤先生)経済的に、浪人するという選択肢はなかったんですね。茨城県出身の多和田さんはいかがですか?
 
(多和田さん)
私の高校では浪人する人が多かったのですが、私自身はこの大変な毎日があと一年続くのは無理だと思っていました。だから、これだけ頑張ってダメなら別の大学でいいと思えるぐらい努力しました。
 
(斎藤先生)皆さん、地方に住んでいるとか女子だからという理由で浪人はしたくない、と考えていたわけではないのですね。
  • 多和田さん

(3)レポーターより女子中高生の皆さんへのメッセージ

東大受験は大変ですが、東大でしたいことをイメージしながら全力で頑張る時間は結果に関わらずきっと皆さんの財産になるので、受験を「様々なチャンスを掴む手段」と捉えて目の前のことに頑張ってみてください。
また、自分の夢を周りに伝えるのも大切です。地方の人は周りに東大志望者が少なく東大に行くことをイメージしにくいかもしれませんが、家族や先生はきっと支えてくれます。
そしてもちろん、中高生としての今の時間も大事にしてください。今のあなたにしかできないことがたくさんあるはずです。いろんなことを感じて、その先に広がる大学生活を有意義なものにしてくださいね。
最後に、東大女子が切磋琢磨する相手は世界です!広い視野を持って東大に挑んでみてください!
 
 
<もっと東大を知りたいあなたに。>
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