【Campus Voice】高校生のための東京大学オープンキャンパス2020「東⼤⼯学部をのぞいてみよう!」イベントレポート (前編)


皆さんこんにちは!この記事では、2020年9月22日にオンラインで開催された高校生のための東京大学オープンキャンパス2020「東大工学部をのぞいてみよう!」についてルポします。

このイベントは、工学部の女子学生が少ないことを踏まえ、「女子にも工学に興味を持って欲しい!進学先として考えて欲しい!」という趣旨で開催されました。4連休の最終日でしたが当日は男子学生も含め約250名の学生が参加してくれました!
内容自体は男女関係なく役立つと思うので、参加できなかったみなさんにぜひ読んでいただけると嬉しいです!

2020.9.22
リポート/学生ライター
礒貝桃子(工学部都市工学科4年)
目次
1.挨拶(工学系研究科長 染谷隆夫先生)
2.趣旨説明(工学系男女共同参画委員会委員長 石坂香子先生)
3.講演1「知覚に合わせた照明デザイン」 建築学科 小﨑美希先生
4.講演2「計数工学科ってこんなところ」 計数工学科 白鳥帆香さん(後編で紹介)
5.講演3「「誰かの役に立ちたい」そんなあなたこそ工学部へ!」システム創成学専攻 石田美月さん(後編で紹介)
6.談話会

挨拶(⼯学系研究科⻑ 染⾕先⽣)

はじめに、⼯学系研究科⻑の染⾕先⽣より⼯学という学問の特徴と⼥性の参⼊についてお話がありました。

”現代社会が直⾯する問題は、差別や貧困、気候変動、社会の超⾼齢化、そしてCovid-19 をはじめとするウイルス感染症など複雑さと困難さを増しています。⼯学は、⼈類の福祉、健康、安⼼・安全のために新しいモノやコトをつくる学問体系であり、このように困難さを増している社会へと還元することが可能です。(中略)これからは⼯学においても男⼥が互いに理解し、協力して活躍することが期待されており、近年では⼥性でも⼯学系の学問・仕事に進みやすいような⽀援や環境整備が多く⾏われています”
趣旨説明(工学系男女共同参画委員会委員長 石坂香子先生)

次いで、男女共同参画委員会委員長の石坂先生より、「東大工学部をのぞいてみよう!」のイベント趣旨について説明がありました。

これらのことを念頭に置きつつ、⼯学の分野で活躍されている⼈の⼥性の⽅のお話を伺ってみましょう!

講演1「知覚に合わせた照明デザイン」 建築学科 ⼩﨑美希先⽣

講演⼀つ⽬は、建築学科の⼩﨑美希先⽣よりこれまでの経歴や研究内容について紹介がありました。

⼩学1年⽣まではアメリカに、中学⾼校ではインドネシアはジャカルタのインターナショナルスクールに通うなど、インターナショナルな経歴を持つ⼩﨑先⽣。数学、物理、美術が好きなこと、またNHKで⾒た建築家・隈研吾の作品紹介に感銘を受け、建築学科を志望します。

学部では意匠系(デザイン)を、修⼠・博⼠では環境系(光環境、視環境)について学び、お店の⼊り⼝が⼈々に与える印象を調査したり、研究室が主導する産学連携プロジェクトで看板のデザインの研究をしたりしたそうです。この中で、「作ったものが実現し、社会の諸問題に対する解決策の提⽰ができるのが楽しかった」と⾔います。染⾕先⽣もおっしゃっていましたが、やはり社会と密接に関係した学問である、というところが⼯学部の魅⼒の⼀つだと⾔えそうです。

専⾨の環境⼯学の⽬的は⼈々の快適性の向上であり、環境と⼈との関係性を対象にする学問だそうです。⼩﨑先⽣は光環境の分野がご専⾨ですが、視覚全般に関わることなので⾊彩や空間認知も対象としているようです。奥が深いですね!
  • スライド01

また、講義中は以下のようなクイズも出題していただきながら、私たちにわかりやすく「光の奥深さ」についてお話しいただきました。
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ほとんどの⼈が「右のほうが明るい」と感じると思いますが、エネルギーは左の⽅が⼤きいそうです。この差は、左は床⾯を多く照らしているのに対し、右は私たちがよく⾒える奥の壁を強く照らすことで、「省エネでも明るく感じる」を実現しているそうです。

教員になられてからの産学連携の⼀例として、駅ホームの照明改修についてお話しいただきました。ただ「明るくすれば良い」のではなく、どの⾯を照らすか、いかに省エネかつ明るく⾒せるか、隣接する住宅街への光害を最⼩限にすること、運転⼿の眩しさを最⼩限にすることなど、実に多様な要件があり、そこにデザイン性や印象というものを上塗りしなければなりません。この時は、従来のグローブとLEDスポットライトのいいとこ取りをできる、下向きの照明器具と半透明グローブ球を組み合わせたものを使⽤し、すりガラスの加⼯や凹レンズの挿⼊により光が拡散し、キラキラして⾒える⼯夫を施したそうです。そう思って街を⾒てみると、本当にたくさんの⼯夫が散りばめられていますよね!!

談話会

最後にブレイクアウトルームに分かれて、中⾼校⽣の質問に教員と学⽣TAが答えました。想像以上に質問がチャットに寄せられて、満⾜いただける内容になったのでは、と思います!

私のチームに寄せられた質問の中から、他の皆さんにもためになりそうなものやHP には載っていないユニークな質問をご紹介します。学科の詳しい説明などは東⼤工学部のHP を確認してみてくださいね!

Q. 東⼤は1年半の教養学部時代がありますが、そのメリット・デメリットは?
A. 専⾨分野については他⼤学と⽐べ短い期間での研究となってしまいますが、教養で学んだことは⾃分の専⾨に⽣きることも多く、⼊学前に進路が決まっている⼈でも教養学部時代があるのはプラスに働きます。教養学部時代は特に専攻に縛られず⾊々な授業をとれるので、もし⾏きたい学部があっても、「この学部も⾯⽩そうかも…!」といった新たな発⾒があるかもしれません。今⽇講演されていた石田さんもそのようにして⽂科三類からシステム創成学科に進んだらしいですよ!

Q.⼥⼦が少ないということで、不利だなと思うことや逆に有利なところはありましたか?
A. 良くも悪くも目立ち、先生に覚えられること!

Q. 勉強のモチベーションの保ち⽅は?
A. 意識の⾼い⼈と話して刺激をもらうこと。また、「模試の成績が上がった」などの成功体験を⼤切にすること。

Q. 部活との両⽴はどのようにしていた?
A. ⾃分がどの科⽬の習得にはどれくらいかかるかを理解し、計画的に勉強すること。
筆者も週6で部活がありましたが、部活の時や⼤会の前後は部活に全⼒を注ぎ、他の時間は勉強する、というスイッチの切り替えが⼤切だと思います!

Q. 絵が苦⼿なんだけどパースや図⾯の作成は⼤丈夫…?
A. ⼤丈夫です!描いているうちに上達するし、最近はパソコン上での作成も多いです。
現に、筆者も苦⼿です。ただ、苦⼿でも「嫌いじゃない」というのは⼤切かもしれません!

Q. ⽂系の知識は使える?
A. もちろん使えます!
筆者の学科(都市工学科)では1/4 くらいが⽂系から理転してきます。何度も話に出てきているように、⼯学は社会、つまり⼈の暮らしと密接に関係することなので、歴史、⾔語、⼈⽂…なんでも知識を持っていればいるほどプラスになります。ただ、学科によってはプログラミングや数学・物理等の知識が必要なので、学科に⼊ってから頑張って勉強する必要があるかと思います。

Q. ⼥⼦が少ないけれど、⼥⼦の友達ができる機会はある?
A. ⼼配しないで!東⼤では⼊学直前に⼥子学生の友達を作るためのオリエンテーションがあるなど、様々な⼥⼦限定イベントがあります。また少ないからこそ⼥⼦の連帯感は強く、体育会に所属していたり授業が⼀緒になったりするだけで友達になることも多いです。

いかがでしたか?このイベントや記事が、少しでも皆さんのお役に⽴てたら幸いです。

また、10 ⽉にも以下のような⼥⼦中⾼⽣向けの各種イベントが開催されます!

■「東京大学柏キャンパス一般公開2020同時開催イベント「未来をのぞこう!」(大学院新領域創成科学研究科・物性研究所・大気海洋研究所)
開催日時:2020 年 10 月 25 日(日)10:00~11:50
リアルで最先端な理系の現場体験や、“先輩リケジョ(理系女子)”たちとの交流を通して、女子中高生のみなさんの理系進路選択を応援するイベントです。「理系に進もうか迷っている」「理系に進んだらどんな生活になるのか聞いてみたい」など、悩んでいるみなさんのお力になれれば幸いです。
対象者:女子中高校生(既卒生含む)とその保護者、教員
イベントホームページ:https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kashiwa-rikejo/index.html

■「女子中高生の理系進路支援イベント」(大気海洋研究所)
開催日時:2020 年 10 月 25 日(日)14:00~15:20
東京大学大気海洋研究所によるオンラインによる女子中高生の理系進路支援イベントです。
先輩女性大学院生等が「どうして理系を選択したか」、「現在どんな研究をしているか」などを紹介し、その後、皆さんからの質問、相談にお答えします。
対象者:女子高校生(既卒生含む)
イベントホームページ:https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/education/girls.html

<東京大学柏キャンパス一般公開2020(オンライン開催)>
開催期間:2020年10月17日(土)~31日(土)
詳細は以下をご覧ください。
東京大学柏キャンパス一般公開HP:http://www.kashiwa.u-tokyo.ac.jp/opc2020/


今回参加できなかった皆さんも、参加できた皆さんも、ぜひ気軽に参加してみてくださいね!
最後まで読んでくださりありがとうございました。