1.はじめに
2020.10.3
リポート/学生ライター
小川眞生(教養学部文科一類2年)
2.青木佳子先生~「まち」を舞台に研究展開~
青木先生は加太への移住をきっかけに船舶免許を取られ、魚料理に挑戦しているそうです。研究と生活の両方を楽しんでいらっしゃる姿が印象的でした。建築意匠の知見を活かし、「まちづくり」の場で生き生きと活躍する、女性研究者の様子を垣間見ることができたのではないでしょうか。
図1-1:活動事例
図1-2:いろいろな建築分野
3.小田尋美さん~デジタル社会で理系は活躍する!~
図2-1:仕事例
図2-2:理系として学んだこと
4.佐久間涼子さん~理系の視点で広がる世界~
大学、大学院では図3-1、図3-2のような生活を送っていらっしゃるそうです。大学院生になってからは授業が大幅に減り、自分で何をいつやるか考えて生活します。研究は結果や成果が出る時間が固定的でないことから研究室はいつ行ってもよく、研究に没頭することができるんだとか。現在は新型コロナウイルス対策として自宅でできる作業は自宅でするように変わってきているそうです。
図3-1:大学生、修士課程時代のスケジュール
図3-2:現在(=コロナ下の博士課程)のスケジュール
佐久間さんはこの大きな可能性を持ったパッシブ型テラヘルツ近接場顕微鏡をさらに便利にしたパッシブ型の近接場分光顕微鏡を作る研究をなさっています。パッシブ型テラヘルツ近接場顕微鏡は一つの波長しか取れないため観察できる物質が限られるという欠点があります。そこで複数波長を取れる(分光)ように改良し、絶対的な電磁波の分布の計測などを可能にしようと取り組んでいらっしゃいます。分光には回折格子に当てる入射角度を変えることで計測できる波長が変わる性質を利用しているそうです。CDの裏面も凹凸があり、光が当たると虹色に光りますよね。原理はこの身近にある現象と同じなんだそうです!
図3-3:佐久間さんの研究の概要
5.全体質疑
イベント終盤の全体質疑で寄せられた質問の一つに他の大学ではなく東京大学(大学院)で学べてよかったなと思うことは?というものがありました。自分の分野以外のプロに話を聞きやすいこと、色々な分野の図書館が充実していること、自分の専門分野以外に世の中で活躍する友人ができることが魅力だとおっしゃっていました。中でも佐久間さんは研究設備が整っていることに魅力を感じられるようです。研究で用いる液体ヘリウムは通常念入りにプランニングして思い切って使うものらしいのですが、東大では研究計画に応じて柔軟に用いることができ研究を進めやすい環境が整っているんだとか! また、スランプに陥ったときは上司や同僚、後輩、友人、家族などと会話したり映画やあつ森(あつまれ どうぶつの森)、睡眠などで休憩したりして、気分転換をするそうです。なんだか親近感が湧きますね。
6.中高生の皆さんへのメッセージ
理系にフォーカスしてまいりましたが、最後に文理関係なく、中高生の皆さんへのメッセージをご紹介します。
青木先生より
建築は文理が曖昧な総合的な学問で、文系的な知識を持つ人も重宝されます。中高生の皆さんは他の人に比べて自分がどういう方向に興味があるのか強いのか、どういう人になりたいかを考えてみてください!自ずと 進むべき道が見えると思います。
小田さんより
中高生のころは与えられた問いに正答を出すことを訓練すると思います。その訓練を経て、正解のない社会の問題に立ち向かっていくためには、解くべき問い、今の自分と周りの人に解ける問い、解いて価値のある問いなどを選び解決策を考える能力が求められていきます。その際には文理を問わず生かすことができるそれぞれの知識や経験を持っていることが大切です。情報処理の中でプログラミングももちろん大切ですが、AIやコンピュータとの互換性が高い能力よりも、出てきたデータを見て解釈・意味付けを行う力を大切にしてほしいです。
自分の反省も含めてなのですが、「とりあえず目の前のテストでいい点をとる」だけでなく、その勉強は何のためなのかを常に考えてみてください。やりたいことに向かっていけると思います。
佐久間さんより
「目の前にあったら飛びついてしまう」ことを探してみてください!もし進路に迷っているなら、「好き」よりも「勝負できる」分野を見つけるのも手だと思います。そして得意なことあるいは好きなことを続ければ新し出会いがあり、次にやりたいことが見えてくると思います。
日本のように高校から文理別の教育を行うことは決して普遍的なものではなく、興味に従って分野横断的に学ぶ形式で教育を受けている若者も少なくありません。分野の枠にとらわれないでほしいです。
最後に、終始で柔やかな司会進行で、会を盛り上げてくださった川越准教授からのメッセージもご紹介させていただきます!
川越先生より
今の世の中には科学技術に問うことはできてもそれだけで解決できないトランスサイエンス問題があふれています。科学技術はもはや文系のものでも理系のものでもないと言えます。是非分野横断的な視野をもって、理系文系両方の素養を身に付けることを大切にしてほしいです。この理系的素養とは必ずしも算数が得意!というようなものではなく、自分の頭で考え組み立てる力を伸ばしていただけたらと思います。
ご覧いただきありがとうございました!
中高生の皆さんにとって大学は必ずしも近い存在ではなく、進路選択で悩んだり目標を持てなかったりすることもおありかと思います。登壇者の方々の言葉の中に、何か皆様の心に響くものがあり進路選択などの参考になりますよう願っています。東大では皆さんの進路選択などを応援する情報発信を随時行ってまいります。ご興味を持たれた方は男女共同参画室のHPやウェブサイト「キミの東大」などを今後とも是非ご覧ください。