【Campus Voice】第3回 UTokyo Women’s Zoom Caféイベントレポート

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一歩踏み出す。その先にあるものを共有しよう。第3回UTokyo Women’s Zoom Caféは、学生たちからの質問に答える形でゲストの先生方を囲んで開催されました。お招きしたのは東京大学大学院医学系研究科の細谷紀子先生と農学生命科学研究科の中西もも先生です。また、理科二類、三類の学部1、2年生のTAの方々も参加しました。

第3回 UTokyo Women’s Zoom Café

世界を揺るがすCOVID-19の影響は、本格的な研究生活に入る前の一般的な大学生らしい生活が出来るほんのひと時を難しいものにしましたが、参加の学部2年生は1年生を気遣い、励ます姿が印象的でした。東京大学では、伝統的に1,2年生合同のオリエンテーションや、同期クラスやサークルでの親睦を深めるための大学祭などが催されてきましたが、他大学同様開催が見送られてきました。そのような中で進振りや将来のことについて考える上で、普段はなかなかお話を伺うことができない東京大学の先生方との懇談を持つことはとても有意義な時間でした。


2020.9.29
リポート/学生ライター
奥村 有紗(大学院理学系研究科博士課程1年)

ゲスト教員紹介

  • 細谷先生スライド

細谷先生は、東京大学の教養学部時代のゼミが楽しかった思い出があり、黒田玲子先生との出会いが研究者という道を選ぶきっかけとなったそうです。2年生の秋からは医学部での生活が始まり、鉄門卓球部での活動も行いながら様々な専門の勉強に取り組むようになったとお話されました。現在、研究室では、DNA損傷に対する生体の応答の制御メカニズムの解明の研究を手掛けられています。大学時代の人との出会いや思い出は、現在の研究・教育活動の原点になっているそうです。また、学生へのメッセージとして、「本質的なことをやりましょう、情熱を傾けられることをやりましょう、そして、自分の強みを生かせることをやりましょう。」という励ましの言葉を贈ってくださいました。
  • 中西先生スライド

中西先生は東京大学農学部・大学院農学生命科学研究科にて、胎盤のもとになる栄養膜幹(TS)細胞と胎児本体を形成する胚性幹(ES)細胞を用い、哺乳類の初期発生に関する研究をされました。博士課程修了後は、ポスドクとしてカナダの研究所へ赴任され、研究を続けられました。カナダではメープルブッシュを訪れて採れたてのメープルシロップを味わうなど、楽しい思い出もお聞かせいただきました。現在は環境問題に資する人材育成のための社会連携プログラムに携わるなど、色々なことに挑戦するバイタリティーを持つ先生です。

グループディスカッション

先生方の自己紹介が終わった後、3回のグループセッションが行われました。

1回目は理科二類と理科三類の2グループに分かれ、科類内でのアイスブレイクが始まりました。それぞれ専門課程の進路も考慮して、理科二類のグループには中西先生、理科三類のグループには細谷先生が入って進行してくださいました。
理科二類のグループでは、農学部に進学するきっかけやその後の展開の仕方などに関する質問が集まりました。
それに対し、中西先生は、動物が好きであることや大局的に動物と触れ合うことができる学問であることなどを挙げられました。また、大学院に進学すると深い知識や経験が身につくことによって専門性が高くなる一方、進路選択の方向性も狭まると思われがちだが、自分が何をしたいかを見つめて周りの人たちと話してみることで可能性が広がる場合があると言われました。そして、研究やそれ以外の活動を通して知り合う人も重要な財産であるとおっしゃいました。
理科三類のグループでは、医学部医学科では学生が自発的に鉄門のオンライン交流会を行っており、女子学生が中心となってワークライフバランスなどに関するセッションなども催されているので興味があったら参加してくださいとの呼びかけや連絡先交換などもありました。また、学年を越えて学部全体の交流もあるので楽しい学科であると細谷先生も紹介していらっしゃいました。

2回目のグループセッションでは、科類や学年を越えてメンバーをシャッフルし、中西先生のグループ、細谷先生のグループで話し合いました。
中西先生のグループでは、with COVID-19の生活についてが主な議題となりました。例えば、屋内で競技を行う運動部では、通常共有して使用するものを感染対策のために数を増やしたり、貸与に制限があったりするため、練習や大会などにも影響が出ているようです。また、例年と異なるオンライン授業形態によって、出席しやすい一方毎週の課題などについてのクラス内でのディスカッションに変化が見られ、上級生からの今までのサポートに工夫が必要ではないかと1年生を気遣う姿が見られました。中西先生は、授業の担当の先生へも、メールで質問するなど積極的にコミュニケートすることなどをアドバイスされました。
細谷先生のグループでは、理科二類と三類の進学選択の重要性について触れられ、グループの中には既に明確な目標のある人もいたようでしたが、色々な出会いや研究室訪問などを通して自分の適性を見つけていくことが必要だと述べられました。実際に体験しないと分からないこともあると述べられ、そのようにできる機会を逃さずにガイダンスなどを利用して相性などを確かめてみることが有用だと思うことができました。
Zoom Caféを主催されている先生方も、東京大学の特徴ある進路選択について、大学での勉学を行ってから自身の興味のある分野や得意とするものを見極めることができるので、色々な研究を積極的にリサーチして自分の進路に生かしてほしいとおっしゃっていました。2年生のSセメスターは時間的にも余裕があるので、オープンキャンパスなどを利用し研究を見に行く機会を是非持ってほしいと話されました。

3回目のグループセッションでは、趣味の話などにもおよび、コミュニケーションも円滑に行われました。オンラインで歌のアンサンブルをするなど新鮮な経験を話してくれる人や、街歩き、和楽器や国際交流など多彩な活動に耳を傾けました。オンライン上でのコミュニケーションに自信がないといった声も聞かれましたが、新しい時代を乗り切るツールとして思い切り飛び込んで楽しんでみようと励ます声もあり勇気づけられました。運動の記録などを同級生と共有して、医学部の実習などで体力を取り戻す努力をしているというアイデアもあり、それぞれが一生懸命過ごしていることがとてもよく分かりました。医学部では授業カリキュラムが立て込んでいますが感染防止策を率先して身につけ、対面も含めて積極的に授業や研究に取り組んでいくということを先生方と共有しました。また、細谷先生から、「体験の中で興味のあること、熱中できることを見つけたらそれを逃さずに色々なやりたいことを見つけていってください。」と励ましのお言葉も贈られました。

学生へのメッセージ

最後にゲストの先生方のメッセージをいただきました。

細谷先生は、「大学生活が始まってまもない時期にCOVID-19の流行の影響で様々な活動の制限があり大変だと思いますが、人生は長いですから、希望をもって頑張ってください。色々な可能性を考えて自分からも動いていくこと、また、授業を通した教員やクラスメートとの交流にも積極的に参加してみてください。今日はワークライフバランスに関する質問も出るかな、、、と思って参加しましたが、1つも出なかったですね(笑)。東京大学の女子学生はとても真面目な人が多いので頼もしいですが、少し遠慮がちかな、と思うこともあります。思いっきり行動しても良いと思います。」とおっしゃいました。もっと色々なお話を聞くことができる機会があれば是非質問をしてみたいですね。

​中西先生は「入学からずっとオンライン授業の1年生と昨年度は普段通りの大学生活を経験している2年生とでは、生活にはかなりの違いがあることが分かりました。1、2年生の交流の場も、上級生や先生方との交流ももっと活発にできると良いと思います。今日のZoom Cafeでは楽しい時間を過ごすことができました。勇気を持って一歩踏み出すことがその次に繋がっていくことだと思います。」と話されました。海外経験など豊富なお話をまた是非お聞かせいただきたいと思います。

また、受験生の皆さんは本年度の大学受験はCOVID-19禍での初めての試みなので準備など大変かと思いますが体調に気を付けて頑張ってください。東京大学には新規性や独自性に溢れた素晴らしい研究がたくさんあります。在校生一同応援しています。

UTokyo Women’s Zoom Caféへのまたのお越しをお待ちしています!