第2回女子高校生のための東京大学説明会

法文2号館
2019年11月4日(月)、東京大学男女共同参画室進学促進部会の主催により、「女子高校生のための東京大学説明会」が、本郷キャンパス法文2号館31番教室にて開催されました。この説明会は、東京大学における女子学生の比率が低いという現状の打開のための取り組みとして、2006年より毎年開催されています。

レポート/学生ライター 渡邊 開斗(教養学部前期課程 理科一類 1年)

リアルな東大を知る説明会

等身大の東大生を知る

10時に始まった午前の部には、全国から集まった女子高校生とその保護者約400人が参加しました。
はじめに、男女共同参画室長である松木 則夫理事・副学長より、開会の挨拶がありました。『「実力」をつける』をテーマに、東京大学には互いに高め合えるすぐれた仲間や、教育プログラムがあり、自分の力を高めるには最高の環境であることの説明がありました。また、公正な入試が行われているにも拘らず、元々の受験者が少ないために女子学生の割合が2割にも満たない現状にも言及しました。巷で聞かれる、「東大に入ったら結婚できない」という偏見に対しては、結婚できるか否かは本人の選択もあることだし、学歴は関係ないと強調されていました。また、東大生に奇人、変人が多い、というのはマスコミが作り出したイメージであり、みんな「普通」の学生であると説明されました。
 

自分を高める教育プログラム

続いて、東大の入試制度や入学後の学生生活、教育プログラムについて説明がありました。
推薦入試を含めた入試制度、進学選択や入学後の各科類からのおおよその進学状況などの詳細な説明が行われました。
次に、初年次ゼミナールやトライリンガルプログラム(TLP)、グローバルリーダー養成プログラム、通称伊豆ゼミと呼ばれる体験型ゼミなどの独自の教育プログラムの紹介、奨学金や海外留学支援プログラムなどにも言及されました。
 
  • プログラム説明

先輩東大女子の体験談を聞く

続いて、ヤンセンファーマ株式会社(ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門)にお勤めの脇村由香さんが登壇され、東大在学時代から現在の仕事まで幅広く話されました。

まず話されたのは、前期教養学部時代の進学選択や学部進学後の研究室選択などの進路選択について。入学後もさまざまな選択肢から進路を選べる、東大ならではとも言えるお話に参加者も興味津々でした。そして、修士課程に進んでから、“実験の楽しさ”と“研究の楽しさ”は違うということに気づいたという話や、就職してから実際に新薬の開発に携わり、少しでも患者さんの役に立てたという実感や、やりがいを感じられたという、大学で勉強したことを活かせたというエピソードもありました。
最後に、これからの時代に大学で何を学ぶべきなのかをテーマに、自分の興味があることをやる、後悔はしないようにしっかり考えて選ぶ、間違えたと思ったら怖がらずにすぐに修正するという3点を強調されて終わりました。
 

在学東大女子によるプレゼンテーション

続いて農学部推薦入学の川瀬さん(理科二類)、経済学部内定の中西さん(文科三類)、工学部内定の好永さん(理科二類)、文科三類から医学部に進学した(筆者はだいぶ驚かされました)横山さんがそれぞれの実体験を話されました。
受験生時代に苦労した話や、入学後に東大の体験活動プログラムで留学したエピソード、自分で立ち上げた活動について話、オリ合宿や五月祭といったクラス活動で女子の友達もしっかりできるという女子ならではの目線の話もありました。

生の東大生の声を聞く~グループディスカッション~

最後に行われたのがグループディスカッションです。受付時にあらかじめ振り分けられた18のグループに分かれ、1グループにつき一人の現役東大生のファシリテーターがついて自由に話す機会が設けられました。
中でも、東大に入って良かったことや入学前のイメージと全く違った東大の実情といったもの、進学選択で文系から理系、理系から文系に転向するのがどれくらい大変なのか、上京して一人暮らしを始めてみて何が大変なのか、といった話題が多くみられました。
また、ファシリテーターが移動している間には、参加している女子高生同士で会話する姿も見受けられました。
  • グループディスカッション

このセッションでは、保護者の皆さんもいくつかのグループに分かれて、教員がファシリテーターとなって質疑応答などを進めました。こちらでは入試に関する話や入学後のさまざまな教育プログラムについての話などもあり、数多くの保護者の方がメモを取られていました。

参加者インタビュー

今回、参加された女子高校生の方5名、保護者の方1名にインタビューを取らせていただいたので紹介したいと思います。

Q.1:今日の説明会はどこで知ったのか?
−夏にオープンキャンパスに参加し、その際に登録したメールアドレスに連絡が来た。
−知人の紹介。

Q.2:参加してみたきっかけは?
−同学年の高校生の声や現役東大生の話を聞いてみたかった。
−東大に興味はあったが、HPなどを見てもよく分からなかったから。
−高1の娘が受験に向き合うきっかけになればと思った。

Q.3:参加してみた感想は?
−頭いい人ばかりで、雲の上の存在かと思っていたが、意外と普通の人ばかりだと分かった。
−(大阪から参加されて)東大の情報が少なかったので貴重な話をたくさん聞けてよかった。
−憧れだったので今日来られただけでとても嬉しい。
−東大の学生はみなさん努力を重ねてきた人たちだと分かった。

今回取材してみた感想

筆者自身は都内の中高一貫男子校出身で入学時にすでに知り合いがいたこともあり、東大をそこまで特別なものとして捉えてはいなかったのですが、参加者の声を実際に聞いてみると、東大なんて雲の上の存在という声や、いわゆる進学校出身者はみんな勉強ができて怖いイメージを持っているという声も聞こえ、地方と首都圏のギャップを強く感じました。
しかし実際のところ、クラスの仲は出身高校にかかわらず和気藹々としていますし、部活やサークルに入ればすぐに友達も増えるので変に怖がる必要はないかと思います。(筆者のクラスでは、むしろ地方から来た人の方が成績が良く、我々が教えてもらっているほどです。)

筆者もインタビューをした際に参加者の皆さんに自身の経験や考えを伝えさせていただきましたが、今回の説明会が、特に地方の女子高校生の皆さんにとって東大を目指すきっかけとなったことを願っています。