【Campus Voice】「UTokyo Women 研究者ネットワークを作ろう!2020」イベントレポート

utokyowomen2020

2021年2月24日(水)、東京大学男女共同参画室主催で『UTokyo Women 研究者ネットワークを作ろう!』が開催されました。
『UTokyo Women 研究者ネットワークを作ろう!』は、2014年度から開催されている、女性研究者のキャリア形成及びネットワーク形成支援のための企画です。現在は、大学院学生を含む若手研究者、男性研究者の参加を歓迎し、職種や性別にかかわらない大きな学内研究者ネットワークの実現を目指して展開しています。今年度は、コロナ禍により、オンラインでの開催となりました。


2021.2.24
リポート/学生ライター
鎌田寧々(人文社会系研究科修士課程2年)

イベントの概要

当日のスケジュール
14:00 開会・挨拶
14:05 講演「社会を変えるのは、能力より『自信』」 山本 佳世子氏
(日刊工業新聞社 論説委員 兼 編集局科学技術部編集委員)
14:35 グループディスカッション
15:05 全体会
15:25 閉会・挨拶

参加者の内訳
職名・身分別の参加者内訳は以下の通りです。文理の比率は、およそ2:3でした。
参加者内訳

「社会を変えるのは、能力より『自信』」山本佳世子氏

プロフィール

開会挨拶ののち、日刊工業新聞社の山本さんからは、女性のキャリアについて、「社会を変えるのは、能力より『自信』」というタイトルでご講演いただきました。



コロナ禍によるテレワークの普及により、長時間労働が評価される時代からイノベーティブな能力が評価される時代へと変わり、自律的に仕事とプライベートとの両立をできるようになりつつあることが説明されました。さらに、女性は失敗を恐れず自信をもってアクションを起こしていきましょう、という女性研究者を鼓舞するメッセージとともに、研究者として活躍する女性数名の体験談や関連する書籍が紹介されました。

自信を持つことの重要性については、本イベントの閉会挨拶で、吉江尚子男女共同参画室長からもご指摘がありました。私も、自分について振り返ってみると、山本さんや吉江先生が指摘されるように「うまくいかないのは能力がないから、うまくいったのは運が良かったから」と考えてしまう傾向があるように思います。過去の失敗などにとらわれず、自分の実力を正しく評価できるように努めていきたいと改めて思うと同時に、性別や年齢を問わず、誰もが自信を持って挑戦していける社会のために自分も貢献していきたいと感じました。

ディスカッション・全体会

ディスカッションは、各グループ7名前後の7つのグループに分かれて、以下のようなテーマで行いました。

・研究者のネットワーク形成で、参考にできそうな取り組みは?
・コロナ禍での研究室のコミュニケーションについて
・研究活動と育児・介護等の両立について
・博士号取得後のキャリアについて

私のグループでは、主にコロナ禍での研究や女性のネットワークなどが話題となりました。その中で、他の人がコロナ禍でどういう対策をとっているのか、情報を得るためのコミュニティやネットワークがないという意見が複数聞かれました。また、情報交換の場があったとしても、実際会って気軽に話し合うときに生まれるような雑談がしづらいということが問題点として挙げられました。

この「雑談」の大切さについては、ディスカッションのあとの全体会でも、多くのグループが言及していました。私も、オンラインでの交流が中心となった今、これまで研究室で先生とわずかでも直接お会いしてやり取りをしたり、友人と実際に会って他愛ない話をしたりすることがいかに貴重であったかを実感しています。

全体会では、研究室や知り合い同士で、いつでも会える場をオンライン上に作っておくと良いのではないかという意見も聞かれました。コミュニティを作ることの重要性に加えて、山本さんからは、そうした交流の場に積極的に出ていく勇気も大切であるとご指摘がありました。実際、このイベントに参加した研究者のうち希望する人の間で連絡先を共有し、zoomやspatial chatなどのオンラインのみならず、オフラインでもネットワーキングを継続していこうという動きが生まれています。
オンラインネットワーク

コロナ終息後も、自分からオンラインでの交流の場に飛び込んでいって、積極的に機会をつかんでいくことの重要性は強まっていくものと思われます。これに伴い、我々はネット環境の整っていない人など、オンラインコミュニティに様々な事情でアクセスできない人があることも意識する必要があります。その場に参加している人だけで、自分たちにとって快適な道を考えるだけでは、共同体の多様性は進みません。孤独を感じたまま取り残されてしまう人のないように、参加していない人を巻き込める仕組みを考えることが、共同体のさらなる多様性の実現につながるのではないかと思いました。

おわりにーイベント後のアンケートよりー

事後アンケートでは、参加した方々から様々なご意見をいただくことができました。
以下にその一部をご紹介します。

・なかなか日頃女性の先生方とお話しする機会がなく、身の回りにロールモデルがないと感じる中、出産育児と仕事の両立などの具体的なお話を伺うことができ、非常にためになりました。縦の繋がりを作る機会があまりないので、今後もぜひ幅広い年齢層と分野層の方が参加するネットワーク形成イベントを作っていただけたら幸いです。本日はありがとうございました。

・もっと自信を持つべきというご意見は大変共感しました。一方で、自信は持てと鼓舞されれば持てるものではないとも思います。自信は経験が育てます。ワークバランスは考慮しつつも、女性に責任ある仕事を任せることが重要だと思います。

・若い女子学生さんも参加されていて、彼女たちの悩みが聞けて、話合ができてよかったです。若い人を大切に育てたいと思いました。

・自分よりキャリアが上の教授や博士課程の方のお話を聞けて,自分の悩みが解決できたというわけではないですが,みなさんも日々の生活の中でいろいろあるのだなと雑談できたので楽しかったです。

アンケートからは、オンラインでのネットワーク作りにはまだ課題があることが明らかになりました。その一方で、縦のつながりができたことを評価する声も複数聞かれました。こうしたコミュニティ作りの企画を、今後も継続して行っていくことが大切なのではないかと思います。