東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙の中央に街の風景の絵画

書籍名

リーガルベイシス 民法入門 <第二版>

著者名

道垣内 弘人

判型など

768ページ、A5判、上製

言語

日本語

発行年月日

2017年6月

ISBN コード

978-4-532-13468-6

出版社

日本経済新聞出版社

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リーガルベイシス 民法入門

本書は、法律を初めて学ぶ人にも理解できるように、基礎的なことをていねいに説明した民法の入門書である。「基礎的」とか「入門書」とかというと、レベルが低いと思われるかもしれないが、そうではない。そのことを説明するためには、なぜ、私が本書を書きたいと思ったのかという理由にさかのぼる必要がある。
 
理由の根本は、他学部生が、法学部の学生というのは、法律の条文を覚え、裁判所の判例を覚え、ともかく、いっぱい覚えているのだ、と考えていることにある。そのように覚えるだけであるならば、法学が中世から学問の1つであるわけはない。
 
世の中には、いろいろな出来事があり、人々の間を調整しなければならない。その調整の方法は、時代によっても変わってくる。現在の方法というのは、長い時間をかけて、徐々にできあがってきたものである。それでは、現在ではどういう調整の仕方をとっているのだろうか、それはなぜなのだろうか、たんに歴史的にそうであったというだけの古めかしい方法なのか、合理性をもった調整方法なのか、そういったことを考えていくことによって、私たちの社会の仕組みを知り、それを相対化する、というのが、法学なのである。
 
そのような調整のルールの中で、民法というのは1つの分野にすぎない。しかし、様々な方法の基本となる重要なルールを定めるものだと理解されている。そこで、民法という分野について、上記のような説明を施してみたいと思った。具体的には、「なぜそうなっているのか」を日常の言葉でていねいに説明することを試みたのである。これまで、入門書と銘打った本でも、こういった説明が不十分なものが多く、「民法にはこんな条文があります。民法を適用するとこういう解決になります」という知識ばかりを羅列したものが多かった。これを何とかしたいと思った結果が本書である。
 
最初に述べたように、本書は入門書である。したがって、本書に記されているルールを覚えておけば、いろいろな紛争に対処できるというものではない。しかし、これまでの説明が不十分であるところの説明をていねいに行ったため、本書には、通常の教科書類には書かれていない叙述も多い。そして、既存の制度を当然のもののように語らず、そのような制度になっている理由を突き詰めて考えていくことは、新たな制度理解を生み出す。その意味で、十分に学問的な内容ともなっていると自負している。
 
本書によって、法学が社会科学であり、社会科学とは、私たちの社会を分析する学問であることがわかってもらえれば、著者として喜びである。
 
なお、本書の前身となる『ゼミナール民法入門』は、2002年に出版された。その後、改訂を続けてきたが、このたび、2017年に成立した民法改正法に合わせ、内容を全面的に見直し、さらには、これまで省略していた親族法・相続法についても説明を施した。とりわけ、親族法・相続法の分野では、統計などを用いて、現在の家族の様子を明らかにするようにした。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 道垣内 弘人 / 2017)

本の目次

第1章 民法を学ぶ前に
第2章 原則としての契約自由
第3章 いろいろな契約1
第4章 いろいろな契約2
第5章 契約の履行
第6章 契約の不履行と履行の強制
第7章 不良債権の回収
第8章 物権とその取得
第9章 各種の物権
第10章 不法行為など