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書籍名

福岡発! 資質・能力が育つ理科学習指導の展開と評価 ~若さあふれる理科教師のチャレンジ授業~

著者名

鳴川 哲也 (監修)、 日置 光久、 猿田 祐嗣、谷 友雄 (編著)

判型など

216ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2020年5月

ISBN コード

978-4-324-10795-9

出版社

ぎょうせい

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

資質・能力が育つ理科学習指導の展開と評価

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令和2年度から、全国の小学校で新しい学習指導要領による教育課程がスタートした。学習指導要領は概ね10年に一度のペースで改訂が行われてきているが、改訂に際して次世代の教育のキーワードが登場する。今回の改訂では、例えば主体的・対話的で深い学び (いわゆる「アクティブ・ラーニング」)、カリキュラム・マネジメント、プログラミング教育などがそれである。現場の教師たちは、これらの新しいキーワードに代表される改訂学習指導要領について勉強会を開き、それらの理解を深める努力を行う。そして、これまでの教育実践との関係性を明らかにし、自らの指導観を更新し、授業の改善を図っていくのである。
 
本書は、このような状況の中、福岡の先生方によってまとめられた理科の未来を創る次世代の現場教師へのメッセージである。なぜ、福岡なのか。それは、小学校理科教育の我が国最大の先生方の学習・研究団体である全国小学校理科研究協議会 (全小理) の全国大会が、令和2年度に福岡の地で開催される予定だったからである。そこをゴールに設定し、勉強会を重ね、その成果をまとめ、新学習指導要領に即した新しい理科学習指導の展開と評価を全国の先生方へ提案しようとしたのである。福岡の全国大会は、新型コロナの感染拡大の影響を受け残念ながら中止となったが、これまでの研究の成果が結実したものが本書なのである。
 
本書の内容は3部構成となっている。最初の「提言」は、現役の文部科学省教科調査官をはじめ、元文部科学省視学官、国立教育政策研究所基礎研究部長、全国小学校理科研究協議会元会長など、我が国の学習指導要領作成に中心的に関わったオーセンティックな人々による提言集である。
 
「理論編」は、福岡の先生方がこれまでの実践の継続の中で構築してきた「福岡の理科学習指導」を理論的にまとめたものである。問題解決を中心に据え、子供の学びに沿った理科学習指導を教師がどのように構想していけばいいのかについて、ここに一つの福岡の「解」が示されている。
 
「実践編」は、今回の改訂で新しく導入された「子供が働かせる見方・考え方」を明確にしたうえで、学習内容について指導案の提案が行われている。また、より深い学びの実現に向けて、いくつかの単元は「実践研究」というかたちでより詳細に論じられている。特筆すべきは、それが第3学年から第6学年までの全ての学習内容について行われているということである。

 

(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 特任教授 日置 光久 / 2020)

本の目次

まえがき
提 言 令和2年度第53回全国小学校理科研究協議解研究大会(福岡大会)の考え方
    新学習指導要領で小学校理科に期待すること
            2030年の社会と子供たちの未来
            これからの社会で求められる学力を育てる理科授業の在り方
            深い学びを生み出す小学校理科学習指導の実践課題
            小・中学校の接続を視野に入れた理科学習指導の実践課題
理論編 実践者としての理科学習指導の在り方
実践編 プログラミング教育について
            指導案
            実践研究
おわりに

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