第1108回淡青評論

七徳堂鬼瓦

教育学部附属中等教育学校で「芸術祭」を

夏休み期間を使って、教育学部附属中等教育学校で「芸術祭」を開催したいね、という話が持ち上がっている。まだ一部の教員が休憩時間に語りあう夢の段階であり、学校として正式な検討が始まっているわけではないが、校長を兼任している筆者は実現に向けてできる限り後押しをしたいと思っている。

折しも、広報誌「淡青」38号では「東大のアート、アートの東大。」という特集が組まれた。「芸術祭」を附属の生徒はもちろん、東大の学生、アーティストによる多様な芸術表現の場にし、さらには芸術に関わる研究発表やワークショップを開催してはどうだろう。教室を使ったインスタレーションは、本物のアーティストにとっても魅力的ではないだろうか。

実は、附属では美術部、管弦楽部、演劇部、書道部、写真部などの芸術系部活動が盛んだが、こうした部に参加していない生徒のなかにも、表現力豊かな「アーティスト」タイプが少なくない。東大生や本物のアーティストたちと共同して作品を制作したり、「芸術祭」を企画・運営するという経験から生徒たちが得るものを想像するだけで胸が躍る。

「芸術祭」の開催は、本学における高大連携推進という点でも一考に値するのではないか。高大接続研究開発センターによる小中高校における授業づくりを支援する東大リソースの提供など、すでに東大だからこそ可能な高大連携が行われ成果を収めているが、高大連携の実践、研究の場として身近にある附属にもっと注目してもらってよい。

附属では、いまでも教育学研究科だけでなく、医学系、総合文化研究科等の教員との連携・共同研究が行われており、総長・副学長による特別授業もあるが、アートという切り口での高大連携は斬新である。いますぐ「芸術祭」開催とはいかないかもしれないが、本学の高大連携を一歩進めるためにも、まずは「銀杏祭」(文化祭)などの機会に多くの東大の学生、教職員に附属を訪れて欲しい。

勝野正章
(教育学研究科)