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東京カレッジ「コロナ・フォーラムⅢ」総括シンポジウム・ダイジェスト コロナ危機を越えて

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コロナ危機とその後の世界を考える際に重要な6つのテーマを設定し、それぞれについて専門家同士が座談会形式で議論を繰り広げた、東京カレッジの連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」。各セッションでコーディネーターを務めた6人の先生と、東京カレッジ長の羽田正先生、東京カレッジの若手研究者、そして五神真総長も参加した総括シンポジウムが7月8日に行われ、YouTubeライブで配信されました。当日の模様の一端を抜粋して紹介します。

総括シンポジウムは安田講堂大会議室に用意された特設スタジオにて17時から行われました。最初にコーディネーターの羽田先生が会の概要と次第を説明した後、シンポジウムを開催した順に6人の先生がマイクを握り、各セッションについての報告を展開。「お一人8分以内で」という羽田先生の要請に応え、各90分のセッションをぎゅっと濃縮した6つの報告は、スケジュール通りに進行しました。

予定が少し狂ったのは、その後に行われた、東京カレッジに所属する2人の若手研究者が6人の大御所それぞれに質問を投げかける質疑応答パート。豊かな国際性を備えた2人が入念に仕込んだ鋭い質問を矢継ぎ早に繰り出したため、自ずと6人の大御所たちの応答も熱を帯びることとなったのです。羽田先生が討論を引き取ったときには残り時間が20分弱。満を持して発声した五神総長は、話に聞き入ってしまったこと、東京大学ビジョン2020を構想した際には話を大きくしすぎたかと思ったがいまはそれでよかったと思っていること、変化がかつてないほど大きい現在は知を活用するチャンスであること、グローバルコモンズをテーマにしたセンターを構想していることなどを紹介し、知を結集してコロナ危機を越えていく決意をあらためて表明しました。

最後に羽田先生が、今後も信頼できる情報を集めて分析し、東京カレッジで様々な発信をタイムリーに行う、と展望を述べ、2時間の内容の濃いシンポジウムに幕を下ろしました。

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シンポジウムの動画はYouTubeで閲覧できます

医学・疫学シンポジウム①6月17日

区別した情報開示でInfodemicを防ぎたい

日本感染症学会理事長の舘田一博先生、日本集中治療医学会理事長の西田修先生と私で議論しました。舘田先生からは、無症状のキャリアの存在が問題を難しくしている、市民のメリハリのある行動変容で感染症伝播を減らすべきだ、との指摘が。西田先生からは、日本の救命率は高い水準にあるが、医療現場はギリギリの状態であり、通常診療の縮小を余儀なくされて病院経営を圧迫している、との指摘がありました。セッションのまとめとして確認したのは、いわゆるInfodemicの問題です。Misinformation(誤報)とDisinformation(偽情報)が合わさって不確かな情報が伝染病のように広がってしまう。これを防ぐため、アカデミアとして正確な情報を提供するのはもちろん、科学的に明らかであることとそうではないことを区別して開示することが重要だと確認しました。

医学系研究科教授 南学正臣
南学正臣

暮らしと社会シンポジウム②6月23日

コロナ禍は暮らしを本来の姿に戻す好機

環境工学の小熊久美子先生、建築史の加藤耕一先生、公共政策大学院の大橋弘先生と、コロナ危機で暮らしと社会が得たものと失ったものについて、また、コロナ危機をいかにインクルーシブ社会形成に結びつけるかについて議論しました。まず、デジタル技術には、リモートでも生活や業務が継続できるといった「功」の部分がある一方、自分の欲するものしか見なくなるといった「罪」の部分もある、と整理。Diversity(多様性)とRedundancy(冗長性)をどう考えるかという文脈では、With-の期間が長いコロナ禍が、社会システム全体のリデザインのチャンスとなるとの指摘がなされました。階層や所得に基づくDistancingの克服に向けては変動要因に対応できるagileな計画が必要であり、コロナ禍は労働や子育てや寝ることに単純化した戦後社会の暮らしを本来の姿に戻す好機になるだろうという話に帰着しました。

工学系研究科教授 横張 真
横張 真

価値シンポジウム③6月25日

「良き統治」で民主主義のアップデートを

私たちは、17世紀のペスト、20世紀の第一次世界大戦とスペイン風邪、現在のCOVID-19を通して、価値の問題を考えました。総合文化研究科の武田将明先生は、デフォー『ペストの記憶』を訳し始めた2011年と現在の状況がよく似ており、この本は正解が見えない状況での人の振る舞い方を示している、と指摘。経済学研究科の小野塚知二先生は、個人の行動を監視する技術が進み、安寧な生が保証されるかわりに人権・自由・私権の価値が形骸化している、とCOVID-19の世界史的位置付けを概観。社会科学研究所の宇野重規先生は、緊急事態においてなお民主主義が機能しうること、疫病を通じて行政権と生命を管理する政治権力が拡大し、安全・経済・自由のトリレンマがあることを報告。無責任の体系に陥ることのない「良き統治」で民主主義のアップデートを進める必要があることを確認するセッションとなりました。

東洋文化研究所教授 中島隆博
中島隆博

経済シンポジウム④6月26日

生命と経済の両立のためにデータが重要

経済学研究科の渡辺努先生と岩本康志先生、社会科学研究所の川田恵介先生、一橋大学の宮川大介先生と、コロナ危機で何が起こっているのかを議論しました。消費はコロナ禍の前と後でそれほど変わっていない可能性が高い、グローバル化や機械化の影響を受けにくかった業種でも雇用が失われている、生命と経済のトレードオフがかつてない規模で問われているといった現状を確認。現状把握にも政策立案にもタイムリーなデータが必要であること、民間のデータも使用して分析することが必要であること、プライバシーの配慮と活用を両立する上で大学の役割が大きいこと、生命と経済の両立のための施策でもデータとエビデンスが重要であることなどを、今後の課題として整理しました。経済学モデルが他の分野より遅れているのはデータ不足が要因だとの指摘もあり、データの価値をあらためて感じたセッションでした。

経済学研究科教授 星 岳雄
星 岳雄

SDGsシンポジウム⑤6月30日

いまこそ利他性や公共性が重要

コロナ危機は社会の脆弱性を突いており、その克服を目標としたSDGsとポストコロナの関連が私たちの論点でした。国連大学の沖大幹先生は、コロナ禍をSDGs未達の言い訳にするな、グローバル経済下で一蓮托生の各国は感染症に強靭な世界を作るために協力せよ、また、自国主義の台頭でワクチンを全世界に公平に提供できるかが試練と主張。教育学研究科の北村友人先生は、教育に関するゴール4をコロナ禍が脅かしており、平等・公正な教育を超えた包括的教育、社会変革に寄与する柔軟な学びが必要と指摘。新領域創成科学研究科の福永真弓先生は、誰も取り残さないというSDGsの理念の実現には、科学的根拠や数字になる前の個別具体の物語が必要と訴えました。以上の議論の根底にある利他性や公共性がいまこそ重要なことが指摘され、SDGsを目標ごとに分断すべきではないこともコロナ禍を通じて示唆されました。

東京カレッジ特任教授 味埜 俊
味埜 俊

情報活用と管理シンポジウム⑥7月3日

データ利活用とガバナンスは車の両輪

私たちはデータに集中して議論しました。医学系研究科の大江和彦先生は、感染症の早期症例データ収集システム整備とリアルタイムレセプト収集、電子カルテと接続して経過を追跡するなどの施策を提案し、医療データ利活用への期待を報告。工学系研究科の和泉潔先生は、駅の密集度と経済の関係や院内感染など、細かい空間でのモニタリングとシミュレーションが可能になっていると紹介し、予測のアナウンスが人の行動に影響する可能性も指摘。法学政治学研究科の宍戸常寿先生は、パーソナルデータの活用に際し、プライバシーvs公衆衛生の安易な図式に逃げ込んではいけないこと、行政や医療サービスの面で国民にメリットが還元される仕組みであるべきことを紹介。討論では、外縁がはっきりせず多義的な特徴を有するデータの特性を踏まえ、データ利活用とガバナンスは車の両輪と捉えるべきであることなどを確認しました。

大学執行役・副学長 渡部俊也
渡部俊也

若手研究者との一問一答

赤藤詩織
東京カレッジ特任助教
赤藤しゃくどう詩織
東京カレッジ特任研究員
フラヴィア・バルダリ
フラヴィア・バルダリ

バルダリ たとえば無症状感染者の情報など専門家の異なる意見が社会を混乱させる場合もあります。専門家はどう行動すべきでしょうか。

南学 確実にわかっていることとおそらくこうであるということを、きちんとわけて説明するのが大事だと思います。メディアはどうしても単純化してしまう。専門家の側が注意しながら情報を出すべきでしょう。

赤藤 オンラインでのつながりが増えたいま、ウィズコロナ社会のなかで対面で会うことの価値はどう再定義すればよいでしょうか。

横張 オフラインでは不得意なことや嫌いなことにもめぐり合います。そして、そこにこそ創造性に関わるヒントがある。予定調和的でないこと、偶発的なことに接する可能性の高さが対面の価値だと思います。

バルダリ 民主主義のアップデートとはどのようなものでしょうか。

中島 思い返せばPandemicとは「全ての民衆」の意。中央集権型の民主主義、分権型の民主主義など、いくつかの姿を踏まえた上で、全ての民衆が現前するPandemic Democracyが一つの答となるでしょう。

赤藤 経済学では家事労働のデータが抜け落ちているようです。たとえばGDPにも反映させるべきだと思いますがいかがでしょうか。

 実は家事労働の側面を含めた経済理論もあり、アメリカでは20年ほど前からデータに取り入れてきています。ただ日本ではこれから。家事労働がデータ化できていないのは大きな問題だと私も思います。

赤藤 個別の具体的な物語はどうすればデータ化できますか。無理やり数値化すると抜け落ちるものが出るのではないでしょうか。

味埜 福永先生の言葉を借りると「不確実性のなかで透明性をもって確実性を追求する」。客観的状況に基づき文脈を判断する、複数の話から共通項を選ぶなどにより、質的情報の本質を見抜く必要があります。

バルダリ データを理解するということについて、どうすれば専門家は一般の人々とコミュニケーションをうまくとれるのでしょうか。

渡部 一言では答えられない難しい質問です。データの全体を理解するのは常に困難ですから、目的を限定するというのが一つのやり方。専門家が使う目的を限定して説明することがまずは有効だと思います。

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コロナ禍における学生同士の支え合いとは? ピアサポーター座談会2020

https://ut-psr.net

2015年度に始まった東大のピアサポート活動。学生有志の皆さんが、講習を経てピアサポーターとしての認定を受け、仲間(Peer)同士による支援活動に携わっています。これまでに積み重ねてきた活動の様子と、コロナ禍における最近のオンライン活動の現状を、4人の現役ピアサポーターに集まってもらい、Zoom座談会で聞きました。青と黄色のジョウロにこめられた想いとは?

法学政治学研究科 貞村真宏さん
法学政治学研究科
専門職学位課程2年

貞村真宏さん
情報理工学系研究科修士課程2年 山本 周さん
情報理工学系研究科
修士課程2年

山本 周さん
教養学部文科三類2年 田村 天さん
教養学部
文科三類2年

田村 天さん
教育学研究科博士課程3年 河 美善さん
教育学研究科
博士課程3年

河 美善さん

――順番に自己紹介をお願いします。

貞村 私は困窮している人のところに出向いて問題を解決するような弁護士を目指していまして、学生同士で支え合う活動の考え方に共感して参加しました。今年2月から活動を始め、7月から代表を務めています。

単位も欲しくて参加しました

山本 私は2015年12月から活動していて、現メンバーでは最古参ですね。もともと人の話を聞くことに興味がありましたが、シラバスで東大のピアサポート活動を知り、講義を取って認定を受ければ単位をもらえるのはいいな、と思って始めました。専攻ではスパコン関係で性能向上の研究を行っています。

田村 去年受けた心身の実践科学の授業にピアサポーターが来て活動を紹介したことがあります。その後は忙しくて忘れていましたが、1月に必修の単位を取り終わって時間ができました。それでぴあサポを思い出し、会話能力を磨きたいと思って2月から参加しました。

 私は博士課程から東大です。前の大学の修士課程で指導教員がピア・サポート学会の理事で、私もピアサポートの研究をしていました。東大に来てオリエンテーション冊子で知り、2018年6月から活動しています。

――現体制と活動内容を教えてください。

 現在96人が登録しています。ぴあサポラウンジ、ストレスチェック、本祭り、よもやま語らいゼミ、メルマガ、相談機関ガイド、東大生支援ニーズ調査、広報など、プロジェクトごとのチームがあり、ほかに柏、駒場とキャンパス別のチームもあります。

山本 ぴあサポラウンジは、ライブラリプラザに集まって、エコバッグやブックカバーなどのものづくりをしながらおしゃべりする企画です。ちょっとした居場所を提供しようという趣旨で、2019年6月から行ってきました。ものづくりといっても、既成品にスタンプを押したり絵を描いたりする軽いものです。

ぴあサポラウンジの様子。大人になるとあまり使わなくなる文房具類を使ってものづくりをするうちに話が弾み、やすらぎの時間が到来するという寸法
「東京大学ピアサポートルーム」ののぼりが掲げられたライブラリプラザ内のラウンジ

哲学の学生が「よゼミ」を発案

 歴史が長いのは、唾液アミラーゼの測定機で判定するストレスチェック活動。本郷では2017年10月から法文1号館前にテントを設営して年に1~2回行っています。一番参加者が多いのは、総合図書館と連携して2018年から年1回行っている本祭り。不要な本を募り、ほしい人に無料で配布していて、前回は800冊ほど集まりました。昨年度始めたよもやま語らいゼミは、話題を設定して語らう場です。たとえば、飲めない人は飲み会でどう振る舞うか、田舎に住むか都会に住むか、将来の計画はたてたほうがいいか否か、など。哲学専攻のサポーターが発案しました。

山本 予備校になじみがある東大生を意識して「よゼミ」と呼んでいます。

貞村 私は、学内の各種相談機関の紹介を学生目線でつくる相談機関ガイドチームと、月に一度メルマガを発行するチームで活動していますが、4月からすべて活動はオンラインです。この2つについてはコロナの前後でそれほど活動内容は変わりませんが、ぴあサポラウンジはオンライン談話室へと姿を変えました。マイクのON/OFF、ビデオのON/OFFも自由のZoomミーティングです。

山本 オンライン化の際は、Zoom荒らしなどの懸念もあり、東大生だけが安心して参加できる仕組みが必要でした。アカウントの問題はもちろん、匿名での誹謗中傷を避ける工夫とか、話に詰まったときの対処も含めて。

 4月に白熱した議論をしましたね。オンラインだと私たちが場の雰囲気をつくるのにも限界があるので、参加者ポリシーを定めました。誹謗中傷はしない、録画録音はしない、というような約束に同意した人だけにZoomのURLを教えるという手順にしたんです。

貞村 深刻な話になった場合、対面だと学内の相談機関につなぎますが、オンラインの場合にはどうするのかという話もしましたね。

 サポーター同士で役割を決めて話す練習もしました。参加者が陽気な人ばかりで入りづらいという状況を設定したりして。

田村 私が活動している駒場チームは、以前は1・2年生向けに活動していましたが、前期課程だとサークルやクラス活動が盛んということもあり、あまり活動できていませんでした。今年度から後期課程の人や駒場Ⅱの大学院生も対象に広げ、新企画として始めたのが「あつまれ駒場の部屋」です。面白いオンラインのアクティビティを持ち寄る場です。

法文1号館前に設置されたストレスチェック会場。ストレスを受けると交感神経系の直接的作用の一つとして唾液アミラーゼが分泌すると考えられます
イベント用テントに設けられたストレスチェック会場

――アクティビティというのは、ゲーム?

Zoomで盛り上がる遊びを探索

田村 第一回では「リレー小説」をやりました。主人公の性別や年齢などの設定を決め、一文ずつ皆がZoomのホワイトボードに書いてつなげていくというものです。このときは、大学生が朝、学校に行くのがだるい、親に会うのも面倒で……という内容になりました。あと、検討したのは「専門用語しりとり」とか「イカ東おえかき」とか。本祭りチームでは、参加者が好きな本を紹介しあうVirtual Book Festaという企画もやっています。

――新型コロナにともなうストレス調査というのもやっていましたよね。

田村 学生目線でアンケートを取ることがストレス改善につながる、とストレスチェックチームが5月に調査を実施し、260件の声が集まりました。1年生では対人交流がしたいという声が大きかったです。理系だと受験も本郷なので駒場に来たのは手続きの一回だけという人も多く、入学の実感がわかないようです。ストレス発散法を訊ねる質問では、運動が27%と最多で、緊急宣言後に始めたことを訊ねる質問でも1位は運動。コロナ禍で運動を始めた東大生が多かったようです。

ストレス調査の結果はテキストを統計的に分析して表示するフリーソフト(KH Coder)なども用いて視覚的にまとめられています。https://ut-psr.net/2020/07/07/stress02/
ストレス調査の結果を項目毎に割合で示したグラフ

――ピアサポーターとして話すときに気をつけていることは何ですか?

田村 相手の意見を阻害しないようにしています。あと、内輪ネタにならないようにも。

貞村 個人の属性に関わることは、本人が話したがらない限り深入りしないようにしています。争いの起きにくい話題、たとえば食べ物の話などはよくしますね。食べ物つながりなら出身地の話などにも広がります。

田村 研究の話もよく弾みます。知らない分野を知ることができて自分もお得ですね。東大生であることが一番の共通事項なので、東大ネタを話題にするとスムーズです。オンライン授業の話とか、期末テストの話とか。

――ジョウロのマークにはどんな意味が?

貞村 以前、サポーターがつくった案をもとに投票をして選ばれたと聞いています。種類や育ち方の異なる互いの芽に水を注ぐような活動組織を目指すという意味がこめられています。多様性を受け入れた上で各々が支え合い、よりよい学生生活を送れるよう、ジョウロの水のような存在になりたいと思います。

ジョウロを志して活動理念を策定

 昨年度、活動理念を定めました。東大生が満ち足りた学生生活を送ることを大切にし、「1.心身の健康 2.居場所づくり 3.人とのつながり 4.役に立つ情報の交換 5.自己理解の深化 6.多様なものの見方の獲得」の6つに寄与することを目指すと明文化しました。

山本 何か新しい企画を考える際に判断の基準となるものとして定めたんです。

――では、現在の課題は何でしょうか。

田村 まだ認知が低いことです。参加のハードルもある。相談なんて必要ないと思っている人も多いでしょうが、不安があるから来る、じゃなくていいんです。相談事がなくても気軽に参加できる場と認識してもらいたいです。

 私たちが目指す支え合いのキャンパスでは、困っている人を助けるだけでなく、困る前からつながりを持っておくことが大切です。

田村 たとえばサークルだと何かをやるという目的があり、その目的を取るとコミュニケーションが進みにくいでしょう。でもピアサポート活動は交流自体が目的。そこに、私たちならではの支援のヒントがある気がします。

貞村 特に困っていなくても、自分がさらに満ち足りるために使ってほしい。そういう場として知ってもらいたいと思っています。