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現代の広報に欠かせないツールを大学はどう活用しているのか #SNSと東大

プラットフォームごとの栄枯盛衰はありながらも、多くの現代人にとって欠かせないツールとなっているSNS。学内外のコミュニケーションを進めたい大学にとっても大きな意味を持つことは間違いありません。そこで、SNSの利用を始めて11年が経過した本学の公式アカウントが、これまでどのような発信をしてきたのか、現在どのような発信をしているのかをまとめて紹介します。SNSを日々活用している広報室副室長のインタビューとあわせてご覧ください。

現在、東京大学広報室が運用しているSNSは、Twitter、Facebook、YouTube、Instagram、LinkedInの5つです。最後の2つはまだ試用の段階にとどまっていますが、YouTubeでは動画の制作に応じて適宜発信を行い、TwitterとFacebookでは毎日何かしらの情報を発信しています。大学としてのメッセージや推進している取組みの情報、広報室界隈で制作した各種コンテンツを周知するほか、学内各部局から広報したい情報を募り大学として発信することも盛んに行っています。

2011年にSNS発信を開始

TwitterもFacebookも、2011年の使用開始からしばらくは、全学ホームページに掲載したお知らせやプレスリリース、イベント情報などの記事タイトルとURLを発信するという使い方で、投稿は基本的に文字だけでした。2015年の全学ウェブサイトのリニューアルでCMSを採用し、2016年からはホームページの記事公開と連動する形で記事のタイトルと文章と画像が自動投稿されるようになりました。その後、字数が140字に限定されるTwitterがより普及し、文章が尻切れトンボ状態で表示される自動投稿では訴求しづらいという分析から、2019年には適した文章を個々に用意して投稿する形に変更し、いまに至ります。近年では、ホームページで公開した記事の周知だけでなく、月別のテーマを設定して該当する情報を集めて発信したり(月別テーマ)、東大にまつわる過去の出来事をピックアップし出来事が起きたその日に発信する(「今日は何の日?」)など、SNSオリジナルの企画も展開しています。

コンテンツ管理システム(東大ではALAYA)

インプレッションは4年で6倍に

Twitterでは、2011年5月の利用開始から現在まで約7,700件の投稿を重ねてきました。遡れる範囲のデータを年度別に見ると、2016年度に465件だった投稿数は2021年度には1,586件へと増加。ユーザーがツイートを見た回数を示すインプレッション数も、2016年度の約526万が2021年度には約2,968万とおよそ6倍弱に伸びています。フォロワー数も順調に増えており、2016年度の約2.4万が、2022年3月現在では約6.6万を数えています。

直近の数字を見ると、2022年3月26日~4月20日の28日間で、ツイート投稿数は146本(1日あたり約5本)。インプレッション数は約262.2万件(同9.2万件)3,945件のコメントなしリツイート(同141件)、約1.2万件のいいね(同434件)を記録しています。日本語と同時期に開設した英語アカウントでも、2016年度と2021年度の比較では投稿数が310件から684件へ、フォロワー数が2,315から1.6万へ、インプレッション数も67万から160万へと大きく伸びています。

Facebook離れは東大でも

一方、FacebookではTwitterほどの伸びは見られません。2016年度と2021年度の比較では、フォロワー数は3.4万から3.6万へと微増にとどまり、ページのコンテンツを見たユーザー数を表すリーチは498万から150万へとかなり減っています。日本語アカウントよりずっと多いフォロワー数(10.5万)を誇る英語アカウントでも事情は似ており、リーチは442万から309万へと減少しているのが現状。昨今、若者を中心にFacebook離れが続いていると言われていますが、それも影響しているのかもしれません。

今後の課題はInstagramやTikTokなどの画像・映像系SNSを活用すること。次代を担う中高生への訴求を考えるならこの辺りが肝になりそうです。

東大広報室のTwitter発信バリエーション

◉今日は何の日?

農学部正門入った左にある「ハチ公と上野英三郎博士像」の写真が投稿されたツイート

X年前の今日に起こった東大関連の出来事を画像とともに紹介する企画。3月末までに26件を投稿し、東大公式アカウントの平均値を大幅に超える反響を得ています。中でも人気だったのは、ハチ公の命日、東京タワー完成、土星型原子モデル発表、ニホンオオカミの最後の捕獲、『国富論』刊行など。コロナ禍やウクライナ侵攻で重たいムードが世に漂うなか、癒しと知識の提供に触発された読者が、引用RTの形で自分の知っている情報を追記するというフローが生じています。

◉月別テーマ

バーナーに当てたガラスを持つ職人の写真が投稿されたツイート

月ごとに一つテーマを決め、あてはまる記事を全学から探して投稿する企画を2018年頃から日・英で続けています。たとえば左は2019年度11月の「技」というテーマの際に投稿したもので歴代最多となる9500ものいいねを獲得しました。2021年度のテーマは4月から順に「探検」「子ども」「土地」「海」「夏」「防災」「進化」「技」「伝統」「始まり」「喜怒哀楽・感情」「多様性」。2022年度は「多様性」「映画」「脳」「コミュニケーション」「気候」「虫」「神話」「季節」「宇宙」「笑い」「発明」「未来」となっています。

◉プレスリリースなど

「GLS1阻害による老化細胞の除去」と書かれたイラストが投稿されたツイート

プレスリリース、イベントの告知、研究者の受賞報告、各種のお知らせ、プロジェクトの紹介など、各部局・部署からCMSのALAYA経由でホームページのUTokyo FOCUSに投稿された記事内容の一部を、TwitterとFacebookの公式アカウントから発信しています。左は医科学研究所から投稿された記事のもので、歴代最多の181万ものインプレッションを獲得しました。学内の広報担当の皆様はUTokyo FOCUSへの投稿を積極的にご検討ください。

◉広報誌などの記事紹介

2匹の猫の写真が投稿されたツイート

広報室が運営している『学内広報』・『淡青』・UTokyo FOCUSといったオウンドメディアの記事内容を、発表した順にTwitterとFacbookで投稿してお知らせしています。左は2018年9月発行の「淡青」37号(猫号)に掲載した宮崎徹先生(医学系研究科=当時)の研究紹介記事。歴代最多となる4800ものRTを獲得して大きな話題を呼び、特集をもとにした書籍『猫と東大。』(東京大学広報室編、ミネルヴァ書房)が2020年11月に刊行されるきっかけとなりました。

東大のTwitter活用状況を他大学と比較してみた

◉国内

フォロワー数投稿数開始日
東京大学66,3017,6222011年5月
早稲田大学60,1568,6602011年2月
近畿大学48,08961,0002010年2月
京都大学42,6038,1832010年1月
立教大学38,4067,7932009年11月
大阪大学35,1077,7662010年2月
法政大学31,4879,5952011年5月
上智大学25,3274,6302013年11月
立命館大学25,3022,0182016年3月
明治大学23,8845,5152012年2月
東北大学22,34211,0002009年11月
関西大学21,8139,4152012年6月
東京工業大学18,6897,5882010年7月
慶應義塾広報室14,1178,8472011年4月
青山学院大学14,0411,0432013年5月
※2022年4月5日にカウント

日本の大学で最も早くアカウントを開設したといわれる敬和学園大学に遅れること4年、2011年に東大のTwitter史が始まりました。開設時期では旧帝大仲間である東北大学や京都大学や大阪大学にも遅れましたが、現在のフォロワー数では国立か私立かを問わずトップの位置にいます。投稿数では「おはようございマグロ」で知られる近畿大学がダントツの多さを示しています。

◉海外

フォロワー数投稿数開始日
Harvard University134.9万4.6万2009年5月
Massachusetts Institute of Technology120.1万2.1万2008年7月
Stanford University89.9万2万2008年12月
University of Oxford80.9万2.2万2009年6月
Cambridge University67.1万1.3万2009年4月
Yale University61.9万2.7万2007年5月
清華大学51.2万7,3882015年11月
Princeton University47万4.2万2007年5月
Columbia University44.1万3.2万2011年2月
北京大学32.3万4,7422017年4月
UC Berkeley22万2万2010年8月
Johns Hopkins University20.8万3.6万2008年4月
University of Melbourne11.4万3.9万2008年5月
University College London10.9万56422011年6月
California Institute of Technology10.5万8,9262008年10月
東京大学6.6万7,6222011年5月
※2022年4月5日にカウント

海外名門大学の多くは日本の大学よりずっと早くTwitterの活用を始めていました。フォロワー数も投稿数も日本の大学とは桁違いです。Twitterの発祥国であるアメリカの大学やその他英語圏の大学はもちろんですが、VPN経由でないと国内ではアクセスできないとされる中国の大学も、開始時期が比較的最近なのにもかかわらず、非常に多くのフォロワーを獲得しています。

東大広報室Twitterの歴代人気投稿20傑を調べてみた

◉インプレッション数

1GLS1阻害剤が加齢現象等を改善させることを証明(プレスリリース) 2021/1/151,810,644
2「不要(用)不急」(学内広報) 2021/5/111,368,160
3AIMでネコの寿命が2倍に!?(淡青) 2018/10/91,000,990
4COVID-19 の病態解明 / 予防・治療法の開発(プレスリリース) 2020/6/23748,595
5ウクライナ侵攻について(総長メッセージ) 2022/2/25639,248
6日本学術会議の会員任命について(総長メッセージ) 2020/10/9599,409
7入学者歓迎式典を挙行します 2021/4/16585,409
8本学学生を名乗るwebテスト代行について 2021/7/30474,557
9ロシアのウクライナ侵攻を読み解く 2022/3/30362,731
10東京大学卓越研究員(公募型)を決定 2021/3/5326,108
11歴史家ワークショップ「配信時代のアウトリーチ」 2021/9/2309,341
12東京タワーが完成(今日は何の日?) 2022/12/22309,304
13北斎の青とセルロースナノファイバーで被災地除染(UTokyo Research) 2017/10/13293,394
14藤井輝夫総長が就任 2021/4/1267,245
15延期になっていた入学者歓迎式典を挙行します 2021/5/31247,064
16理学系研究科と国立天文台の「重大な研究成果に関する発表会見」をライブ配信 2017/10/16244,379
17ハチ公の命日(今日は何の日?) 2022/3/7230,804
18「総長室だより」12回目を更新 2018/7/31223,328
19光量子コンピューター研究支援基金のお願い 2018/6/18221,065
20SAT大蔵経データベース研究会 2018/8/2219,476

◉リツイート(RT)数

1AIMでネコの寿命が2倍に!?(淡青) 2018/10/94,887
2東大唯一のガラス工房(月別テーマ)2019/11/124,211
3GLS1阻害剤が加齢現象等を改善させることを証明(プレスリリース) 2021/1/153,646
4「不要(用)不急」(学内広報) 2021/5/113,082
5COVID-19 の病態解明 / 予防・治療法の開発(プレスリリース) 2020/6/232,279
6ウクライナ侵攻について(総長メッセージ) 2022/2/251,710
7日本学術会議の会員任命について(総長メッセージ) 2020/10/91,566
8動物園と動物アニメは絶滅危惧種への関心を高める(プレスリリース) 2019/11/221,026
9ハチ公の命日(今日は何の日?) 2022/3/7779
10スーパーカミオカンデが12年ぶりに検出器のふたを開け改良工事 2019/4/18749
11光量子コンピューター研究支援基金のお願い 2018/6/18744
12理学系研究科と国立天文台の「重大な研究成果に関する発表会見」をライブ配信 2017/10/16644
13東京タワーが完成(今日は何の日?) 2022/12/22561
14農正門前路上の事件について 2022/1/15557
15入学者歓迎式典を挙行します 2021/4/16513
16在学中にデジタルハリウッドに通って技術を会得した卒業生・瀬尾拡史さん(淡青) 2019/12/24510
17東大オンライン授業の現在地(学内広報) 2020/8/4452
18スーパーカミオカンデ一般公開 2019/9/17405
19火災の発生につきまして(お詫び) 2021/8/15389
20佐渡島のキングギドラシリス(プレスリリース) 2022/1/20382

◉いいね数

1東大唯一のガラス工房(月別テーマ) 2019/11/129,507
2「不要(用)不急」(学内広報) 2021/5/117,746
3GLS1阻害剤が加齢現象等を改善させることを証明(プレスリリース) 2021/1/156,721
4AIMでネコの寿命が2倍に!?(淡青) 2018/10/95,654
5ウクライナ侵攻について(総長メッセージ) 2022/2/254,868
6日本学術会議の会員任命について(総長メッセージ) 2020/10/92,905
7COVID-19 の病態解明 / 予防・治療法の開発(プレスリリース) 2020/6/232,788
8ハチ公の命日(今日は何の日?) 2022/3/72,162
9在学中にデジタルハリウッドに通って技術を会得した卒業生・瀬尾拡史さん(淡青) 2019/12/241,691
10東京タワーが完成(今日は何の日?) 2022/12/221,503
11東大オンライン授業の現在地(学内広報) 2020/8/41,399
12動物園と動物アニメは絶滅危惧種への関心を高める(プレスリリース) 2019/11/221,337
13入学者歓迎式典を挙行します 2021/4/161,274
14スーパーカミオカンデが12年ぶりに検出器のふたを開け改良工事 2019/4/181,087
15農正門前路上の事件について 2022/1/151,037
16レヴィ=ストロースの70年来の謎を解明(プレスリリース) 2020/1/22921
17火災の発生につきまして(お詫び) 2021/8/15860
18佐渡島のキングギドラシリス(プレスリリース) 2022/1/20747
19延期になっていた入学者歓迎式典を挙行します 2021/5/31742
20高木貞治先生のノート(学内広報) 2021/7/6739

◉エンゲージメント率

%
1第3回イノチャンが終了しました 2020/8/1623.7
2当事者研究導入オンライン講座案内 2021/11/218.9
3教育学部附属中等教育学校で世界にチャレンジする6年生の受賞報告・壮行会を開催 2017/5/2913.5
4COVID-19 の病態解明 / 予防・治療法の開発(プレスリリース) 2020/6/2312.9
5高木貞治先生のノート(学内広報) 2021/7/612.5
6農正門前路上の事件について 2022/1/1512.2
7モデルナ社製新型コロナウイルスワクチンの異物混入に関する本学の対応について 2021/9/112.1
8日本学術会議の会員任命について(総長メッセージ) 2020/10/911.6
9前期日程試験第1段階選抜合格者発表 2022/2/1511.5
10ウクライナ侵攻について(総長メッセージ) 2022/2/2511.5
11火災の発生につきまして(お詫び) 2021/8/1511.5
12本学学生を名乗るwebテスト代行について 2021/7/3011.2
13COVID-19緊急対策のために(総長メッセージ9.8
14【お知らせ】研究アルバイトの募集 2017/8/219.7
15物理学専攻の大小田結貴さんがBBC「ことしの女性100人」に 2018/11/289.7
16キャンパスツアーをオンラインで再開 2020/7/229.6
17高機能自閉スペクトラム症の手指運動に見られる薬指優位 2019/2/129.6
18活動制限レベルを変更 2022/3/289.1
19活動制限レベルが「レベルB」から「レベルA」に 2022/3/288.9
20宇佐美圭司展覧会を実施(学内広報) 2021/6/28.8

2011年5月~2022年3月の人気投稿を4つの指標で振り返ってみたところ、ここ数年の投稿ばかりが並びました。フォロワーがまだ少なかった時代は、反応の数がいまとは比べものにならなかったようです。

インプレッションとRTといいねの3部門で上位に名を連ねたのは、加齢現象やCOVID-19治療に関する医科学研究所のプレスリリース、国民が不要不急の外出を控えた時期に書かれた文書館のコラム、ネコの腎臓病治療の研究を伝える記事、生産技術研究所の試作工場に残るガラス職人の紹介動画、重要な時事問題や事件に関する大学としてのメッセージなど。「今日は何の日?」企画では、東京タワー完成日とハチ公の命日の投稿がベスト20に入りました。春の式典は毎年多くの関心を集めますが、コロナ禍を受けて特別に企画された令和2年度入学者歓迎式典のお知らせはとりわけ多くの関心を得ていました。

インプレッションとRTといいねの数はもちろん連動していますが、動物アニメと動物園が絶滅危惧種への関心を高めると明らかにした農学生命科学研究科のプレスリリースや、CGクリエイターとして活躍する総長賞受賞者の卒業生を紹介した記事のように、インプレッション数がそれほど目立たなくても多くのRTといいねを獲得するものもあることがわかります。

いいね+RT+返信+フォロー+URLクリックの合計数をインプレッション数で割って算出されるエンゲージメント率では、イノベーションのアイデアを競う高校生大会の報告(工学系研究科)、東京大学エクステンションの研修プログラム、附属学校生の受賞報告と、他の3指標とひと味違う顔ぶれがベスト3に入りました。入試日の刺傷事件、ワクチンなどのCOVID-19関連、構内での火事など、命に関わる情報に閲覧者が敏感に反応している状況も窺えます。

SNSをフル活用している副室長に聞いてみた

情報学環教授/広報室副室長 渡邉英徳

私は主にTwitterを利用しています。フォロワー数は現在約6.5万人。カラー化した白黒写真をもとに対話の場を生む「記憶の解凍」プロジェクトの一環としてカラー化写真を投稿し始めてから数が急増しました。

今年4月12日、1945年の同日に知覧飛行場で特攻隊員を女学生が見送っている写真を投稿しました。すると、衣服の色が実際のものと違うはず、というコメントを『この世界の片隅に』の片渕須直監督からいただきました。このようにSNS上で様々な人の知識が集まり、色の精度が高まると同時に、写ったものの記憶が多くの人に共有される。こうしたコミュニケーションが生まれるのがSNSの醍醐味です。また、知り合い同士が繋がるFacebookと違い、Twitterでは直接繋がっていないユーザ同士もRTやいいねを通して「通電」することがあります。思わぬ繋がりと広がりが期待できるのです。

思いより事実の投稿に価値が

投稿の際、自分の意見・思いはなるべく控え、事実のみを淡々と書くよう心がけています。一見して「悲惨だ」と感じる写真でも感想は書かず、いつどこで撮られた、と単純に書き添えます。「素」の状態で届け、写真を見た人自身がことばを加え、情報の価値が高まっていく。そうした“フロー”を生むトリガーとなることを意図しています。意見の表明は論文や著書などで、という立場です。

考えを書きたくなるときももちろんあります。そんなときは、映画や小説などの作品から自分のことばを代弁してくれそうな台詞を引用し、投稿します。よく引用するのは『復活の日』『日本沈没』などの小松左京作品。コロナ禍や自然災害など、現在の状況と重なり合うからです。また、最近は「ウクライナ衛星画像マップ」の更新情報と同時進行で、太平洋戦争に関わるカラー化写真を投稿しています。タイムラインに二つの戦争の写真を時代を越えて並べることで視覚的にメッセージを伝えられます。情報デザインの研究者として、作品の発表、研究の実践の場としてSNSを活用しています。

海外名門大の例がヒントに

総長補佐を務めた昨年、東大公式アカウントの活用案を考えることになりました。他大の事例を調べたところ、ハーバードなどの有力大学が、大学のアーカイブをもとに、できごとが起きた日と同じ日に「○○年前の今日」として記事を投稿していました。フォロワーは過去のできごとの知識を得られ、大学に対する親しみやすさやイメージが向上する。こうした事例を参考に、教員・学生・職員でチームを組み、昨年12月に「今日は何の日?」企画を始めました。インプレッション数は他の投稿に比べて平均で8倍ほど多く、大きな反響があります。統計をみると、新規フォロワーの獲得にも貢献しているようです。一年経つとたいていのことは忘れられるので、投稿は翌年に再活用することもできます。

広報室で今後検討したいのは「今日のキャンパス」企画です。大学の主役はやはり学生。ワークショップ、実験、課外活動など学生が活き活きと活動する姿を発信し、楽しそうな場だと感じてもらうことが大切です。国内外の受験生・留学希望者にも効果的なはず。楽しませること、役に立つことを意識しながら、大学で「いま何が起きているのか」を発信できればと考えています。経験上、策を練って入念に仕込んだ投稿は、思惑が透けて見えるのか、それほど反響を呼ばない傾向があります。「素」のまま、受けようとしないことが肝要かもしれません。

自動色付け+手動補正したきのこ雲の写真が投稿されたツイート
渡邉先生のTwitterで反響がこれまでに最も大きかった投稿がこちら。いいねが約5万も!

◉東大SNSその他トピックス

スーパーカミオカンデジグソーパズルがTwitterで大ヒット

2017年10月3日、宇宙線研究所公式アカウントが一本のツイートを投稿しました。「そういえば、スーパーカミオカンデのジグソーパズルを作りました。激ムズです。光電子増倍管だらけで……。正直、最後まで完成できるかわかりません」。このツイートは担当の「想像を絶する反響」を呼び、RTは1.6万、いいねは1.8万まで伸展しました。当初は柏キャンパス一般公開での限定販売でしたが、東急ハンズや東大生協での販売、通信販売へと拡大し、ピース数を増量した第2弾も発売。あまりの人気に転売ヤーが跋扈する事態ともなり、「高く買わないでください」と担当者が訴える一幕も。東大SNS史に残る大ヒットとなったパズルは現在も販売中です。

記念すべき1回目のTweetは?

東大公式アカウントのTwitterデビューは2011年5月31日のこと。一番最初のツイートとなったのは、18時17分に投稿された「Topics: 東日本大震災に関する救援・復興支援活動をとりまとめました(5/27版)」というもの。3件のRTを得ましたが、いいねは0件でした。この日はほかに4件の投稿があり、最もRTを得たのは「2010年ノーベル文学賞受賞 マリオ・バルガス=リョサ氏講演会(人文社会系研究科・文学部))」で10件でした。

非公式アカウントのチャレンジ!?

4月20日現在、全学ウェブサイトのソーシャルメディアアカウント一覧ページには、公式Twitterアカウントとして55部局・部署が登録しています(日本語のみ)。公式ではなかなか攻めの投稿やゆるゆるな投稿ができないものですが、中には非公式アカウントを設定してそうした投稿を続けている組織もあります。非公式ゆえにここで詳しく紹介できないのが残念ですが、大学のSNS活用における一つのスタイルを示しています。