
6月10~11日に行われた駒場リサーチキャンパス公開2022。 本部広報課のTとAが会場にお邪魔し、様々な展示や催しを拝見しました。190超の企画全部に触れるのは到底無理ですが、各々が遭遇して「いいね」をつけたくなったものについて感想成分多めの会話風原稿で紹介します。
T●駒場リサーチキャンパスを回ってみて印象的だった企画を紹介していこう!
A●1は初日のオープニングセレモニーのひとコマ。両所長の挨拶の後、生研の岩船由美子先生と先端研の河野龍興先生によるカーボンニュートラルがお題の講演で今年のリサーチキャンパス公開の幕が開きました。2は音響実験室。3次元音場再生システムを使って特徴的な環境の音響が再現され、まるで花火大会の会場にいるような迫力サウンドには子どもたちが歓声を上げていました。私もですが。
T●音を吸収する壁がかっこいいね!


模型かと思ったら生体!
A●3は実験室をバリアフリー化する試みの紹介。シンクが上下したり蛇口に触らなくても水が出せたりと車椅子の研究者でも使いやすい水回りを探っているそうです。4はサイボーグ昆虫で有名な神崎研究室のカイコガ。模型かと思ったんですが、メスのフェロモンを嗅がせると動き出して……びびりました。


T●よく見るとなかなかかわいいかも♡
A●5は痛みを感じずに薬が注入できるマイクロニードルパッチ。体の状態を把握するセンサーにもなるそうです。6は自動航行しながら南極の氷の裏まで計測する自律型海中ロボット(AUV)MONACA。ウミガメを自動追跡するAUVもあるそうです。7は「再生可能燃料のグローバルネットワーク」のイベントで展示されていた、電解液から水素を取り出す装置。水素燃料電池搭載車MIRAIの展示もありました。



T●11日には数学科卒のピアニスト中島さち子さんのHydra Quartetによるライブもあったよ。「水素でつなぐ四重奏」!
A●8は振動で発電する微小電気機械システム。仕組みは理解できませんでしたが、板が動いて小さい粒々が光っていました。9は航空機の構造部材に埋め込んだ光ファイバーをセンサーにして損傷を検知する研究の紹介。模型はボーイング787です。10は研究者と来場者が描く未来を記した紙を吊るす樹木。学術版の七夕かも?



T●11は、土や地盤の挙動を扱う研究室による、地層を模したサンドアート体験の様子。小・中・高生で賑わうなか、入口には21年度卒業生の寄贈による手作り桑野玲子先生像が。師弟愛がひしひしと伝わった! 12は、先端研と連携している自治体の出店ブース。石川ブースには北陸を代表する「ビーバー」あられが並び、熊本ブースでは先端研の研究員であるくまモンが得意の体操を披露。福島のフラおじさん、軽井沢のルイザちゃんも会場入りして愛想を振りまいていたよ。


A●今回、コロナ禍のために会場全体で飲食が禁止となり、各自治体の名物などが食べられなかったのは残念ですね。
職人が作るガラスのバネ
T●13は熟練職人の三澤徹さんがガラスを熱して極細スプリングを作る様子。その細さと軽さと柔らかさにびっくり! 工作機械横では挙動を食い入るように見つめる小学生がいて、説明役のお兄さんも嬉しそうだった! 入口に展示された工作物は、左に回すと普通に回り、右に回すと途中で逆回転になるオブジェ。底面の精細加工の成果らしいけど、不思議!

A●14は総長補佐の岩本敏先生の研究室ですね。ビーカーの底が消えてません?

T●そう! ガラスとサラダ油は屈折率が近いので両者の境界では光が屈折せず、消えたように見えるとのこと。ほかにも光に関係する不思議現象の実演があり、従来の材料では困難な現象を可能にするフォトニック結晶という人工光学材料構造の世界に参加者を誘っていたよ。
A●15は何ですか? 赤い毛糸くず?

T●健康状態を表す爪先の毛細血管をスキャンした画像で、形のパターンを音楽に変換して直感的に体の状態を知ろうという試みの一環。自分の血管の音色はぼーっとした低音だったよ。赤い切り株みたいなのは研究室のマスコット、Vessy!
A●16はレーシングカーですかね。

T●東京大学フォーミュラファクトリーというサークルが造っている車両で、学生フォーミュラ日本大会という学生のF1ともいえる大会に参加しているんだって。古島研究室の技術がボディのフロント部にある衝撃吸収材に結実しているそうな。
A●17は3Dプリンターで出力したジョイントパーツとアルミパイプと三角形のパネルを組み合わせた仮設建築のプロトタイプです。ユニバーシティ広場に設置され、休憩所として利用されていました。

T●18は、風船に入った酸素を液体窒素で冷やすと水色がかった液体酸素になり、磁石にくっつくことの実演。点灯したLEDを冷やすと色が変わる実演も。研究者にとっては当たり前のことでも、中学生や自分にとっては驚きの事実だった!

A●19のバギーはヒューマノイドロボット。離れた場所にいる操縦者がロボットのカメラ映像を見ながら手足を動かすと連動して動きます。たとえば災害時、人が行けない場所でも行って活動ができるかもしれません。イモムシを検知して農薬を発射するロボットもありました。

マントを着ると姿が消える!
T●20は入口の「自在化」電飾が妖しげな身体情報学の研究室。有名な光学迷彩を初めて体験したら、本当に透けて見えた! 光を一方向にだけ反射するマントを着てそこに背景と同じ画像を投影するんだって。ホッケーゲームは「Behind The Game」というもので、遠隔対戦時に発生する遅延を考慮し、リアルタイムに撮影された映像からパックの軌道を予測してロボットが操作を支援するとのこと。昔のテレビの「砂の嵐」のような画像は、新しく発見された錯視効果を説明するもの。上半分と下半分が左右に互い違いに画像が動くと下の画面が手前に見える!

A●百聞は一見にしかずですね。
T●21はビルが並ぶ都市空間における風の流れを説明しているところ。22はマグネシウム蓄電池の可能性について丁寧に説明してくれた学生さんと各種試料です。


A●23は風洞施設がある1号館の1階、RCAST STUDIOの入口を飾るアート作品「INAHO」。人が近づくと光が灯り、風に揺れる稲穂のように首を垂れます。

T●24はデザインと工学の融合で革新的な製品やサービスを目指す展示。自動運転バスの床に客に応じた情報を映し出す試みや、近づくとスマホの通信を遮断して対面の会話を促す指輪の発想が面白かった! 25は「S展」の作品群。脚でなく背骨の動きで走行を表現したRotebrate、「摺動歯列機構」で滑らかな輪郭を保ったまま変形するelastorso、触ると反応して形を変えるAirless Balloonが面白かった! 26はONGと連携する企業等による体験ブースの一つ。JX金属の人と銅の妖精の導きで諸金属の棒に触ってみることで銅の伝導率の高さを実感したよ!



A●銅で河童のカッパーくん……。