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全ての学生の国際化を支援する「コンシェルジュ」 グローバル教育センター発足矢口祐人 グローバル教育センター長 副学長、Sneha Kumarさん USTEP 学生 Swarthmore College、吉村航汰さん 経済学部4年 2021~22年にThe University of British Columbiaへ留学、Tito Akindele グローバル教育センター特任講師

2023年4月1日に発足したグローバル教育センター(Center for Global Education / GlobE)。学生の国際化をサポートするための学内共同教育研究施設として創設されました。約30名の教員と200名以上の全学交換留学生(USTEP生)が所属しているこのセンター。全ての学部後期課程と大学院の学生が受講できる、SDGsに関することを英語で学ぶ「グローバル教養科目」を提供するのが大きな特徴です。センター長、授業を担当する教員、そして二人の学生に、GlobEの概要、留学や多様な学生との交流などについて語ってもらいました。

学生のためのコンシェルジュ

矢口 GlobEは、全ての学生の国際性を高めることができるようなプラットフォームを作りたいとの思いから発足しました。国際化に関連する様々な機能を担っていますが、その柱の一つが「グローバル教育コンシェルジュ」です。宿泊客のさまざまな要望に応えるホテルコンシェルジュのように、グローバル教育に関してのコンシェルジュとして全学生の国際化をサポートしていきたいと思っています。たとえば「留学に関心があるけど、どうすればいいか分からない」といった学生の問いに答え、支援をしていきます。この「コンシェルジュ」機能の基盤となるのが、国際総合力認定制度「Go Global Gateway」です。吉村さんはこの制度に登録し、カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)に留学されましたが、どうでしたか?

吉村 最高でした。UBCはダイバーシティに富んでいて、全学生の30%くらいが留学生だと聞きました。留学中は5人の学生とルームシェアしていましたが、出身国がカナダ、インド、中国、シンガポールそしてトルコと多様で、世界を縮小したような環境でした。

矢口 授業はどうでしたか?

吉村 大変でした。全部で6科目を履修しましたが、日本での授業と違ってディスカッションがとても多く、教授や他の学生からの質問に対する答えを準備しなければなりませんでした。質問も複雑で難解なものが多くて。でも皆とても親切で思いやりがありました。ディスカッションのテーマだけでなく、他の学生のことなど、とても多くのことを学べました。

矢口 そもそもなぜ留学しようと思ったのですか?

吉村 僕は2歳から5歳までの3年間、ドイツに住んでいたんですが、幼かったので記憶がないんです。故郷の岐阜に帰国してから友達に「英語やドイツ語しゃべってみて」と言われましたが、話すことができず、なんというか、それが残念だったんです。その経験から留学してみたいという漠然とした思いを持っていました。その後、大学一年生のときに、留学経験がある兄から、「留学するといろんな経験ができるし、日本にいては学べないことが学べる」と強く勧められ、決心しました。

交換留学生がGlobEに所属

矢口 SnehaさんはUSTEP生としてGlobEに所属していますね。東大に留学しようと思った理由は何でしたか?

Sneha 私が学ぶ米国のスワースモア大学では、約40%の学生がどこかの時点で留学します。私は歴史を専攻していますが、特にアジアの歴史に注目しているので、アジア地域に行きたかったというのがあります。もともとヒューストンという多様性に富む都市で育ち、インターナショナルスクールに通っていました。なので、アメリカ人以外の友達が多かったんです。そのような環境と比べると、大学は少し多様性に欠けていたので、海外でいろんな経験をして、新しい人達と出会いたかったんです。

矢口 東大での留学生活はどうですか?

Sneha 素晴らしいです。東大のキャンパスで他の学生と知り合いになって、ランチに行ったり都内のさまざまなところに出かけたりしています。FGAというインカレ軽音サークルにも入って、この前の週末は山中湖に行き、旅館に泊まってきました。日本人の学生とも知り合うことができてとても良い経験でした。

University-wide Student Exchange Program

開所式の集合写真。中央やや右に藤井輝夫総長と林香里理事・副学長が座っている
4月3日、藤井輝夫 総長と林香里 理事・副学長出席のもと、発足式を行いました(@理学部1号館東棟)。グローバルキャンパス推進本部から改組されて発足したGlobEには「国際支援」「国際交流」「国際教育」「日本語教育」の4部門があり、従来の国際交流課と国際支援課を再編成した国際教育推進課が事務を担当しています。

「グローバル教養科目」とは?

矢口 GlobEのもう一つの柱が、英語で行われる「グローバル教養科目」です。後期課程と大学院学生を対象に4月に開講しました。1クラス20人までの小規模で、ディスカッションやプレゼンテーションなどアクティブラーニングに重点を置いています。工学や経済学、人文科学など、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が受講する場にしたいと思っています。今セメスターに開講しているのは全部で7科目。Tito先生も担当されていますが、授業はどうでしょう?

Tito 順調に進んでいます。私が担当している授業名は“Chemistry for a Sustainable World”ですが、11人いる学生のうち、化学専門の学生は3人。他の学生の専門は、機械工学、生物材料科学、生物学、データ・材料科学などさまざまです。それらの異なる専門分野と、私が教える内容がどう関連するのか。そのような点と点を繋げる手助けをしたいと考えています。もしかすると、化学専門の学生は「化学だけについての授業じゃないな」と思うかもしれない。でも他の学問の知識なしには、あなたが学んでいる化学は全くの時間の無駄なのだ、ということを理解してもらいたいです。

矢口 11人の学生は留学生ですか?

Tito 9人が交換留学生で、2人は日本の学生です。国内の学生も履修してくれたことをとても嬉しく思っています。グループに分けてディスカッションをしてもらう際には、この2人の学生は別々のグループに入れています。ここでの経験が、たとえば将来海外に行く時などの自信につながるのではないかと思います。

国際化に必要なもの

矢口 まさにそのような、東大の学生が交換留学生とともに授業を受けるような環境を増やしたいんです。特に後期課程に入ると、それぞれの学部の授業のみになってしまいがちなので、異なったバックグラウンドをもつ学生が集うような場所を作っていきたいと考えています。

矢口 GlobEで大切にしていることの一つが、学生や教員の声に耳を傾けることです。そこでお聞きしたいのですが、東大は学生のグローバル化を支援するために何をすべきだと思いますか?

吉村 留学に今一歩踏み出せないような学生の背中を押してほしいです。本部国際教育推進課で学生アシスタントとして働いているんですが、そこで感じたのは多くの学生が留学しようかどうか迷っているということです。英語に自信がなかったり、奨学金を得るのが難しかったりと、その理由はさまざまです。そういった心理的な壁を取り払うようなイベントや、留学に関心がない層にもアプローチできるイベントがあればいいなと思います。

Sneha 多くの交換留学生が日本人学生ともっと話したいと思っています。繋がりを持ちたいというんでしょうか。私はサークルに入ったので、日本人学生の中に入ることができてある意味ラッキーでした。だけど日本語が流暢ではない学生にとっては、それは結構難しいんです。約3万人の日本人学生がいる中でUSTEPの学生はたったの200人しかいないということを考えると、その垣根を越えて日本人の学生に話しかけて知り合いになるというのは結構ハードルが高いです。夕食に一緒に行くなどといった、私たちが交流できるようなイベントを大学が作ってくれるといいなと思います。

矢口 素晴らしいアドバイスですね。今もさまざまなイベントを開催していますが、その数を増やすことはできるかもしれません。5月末には大規模な対面での留学フェアを駒場で開催します。今後も留学生と日本人の学生が知り合うことができる場を作っていきたいと思います。

(4月27日、グローバル教育センターにて)

この座談会の動画はこちらから視聴できます! https://youtu.be/894yyggJX9o

グローバル教養科目

教員科目名
Tito AkindeleChemistry for a Sustainable World
Tomoko KamishimaAllocating resources in health care fairly
Anna BordilovskayaDiversity in Japanese Culture and Language
James EllingerDIY and Open Science
Manuel SennaUnderground and Clandestine Media
Raquel Moreno-PeñarandaThe "SDGs" Contested
Tom GallyThe Problems of English in Today's World

本年度Sセメスターに開講される「グローバル教養科目」。SDGsに関連する授業を7名の教員が担当しています。1クラス原則20人までと少人数制で、インタラクティブなディスカッションを中心に行われます。成績評価は優上~不可の5段階評価か、合格/不合格のみの評価かを、学生が選択します。Aセメスターからはもっと多くの科目が開講される予定です。

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旧帝大の七校が全43競技で争う総合体育大会 七大戦(ななだいせん)で優勝しよう!!

旧帝国大学の七大学が43の運動競技で競い合う全国七大学総合体育大会(七大戦)。第62回大会は、本学が主管校となってすでに始まっています。12回目の総合優勝を狙っている本学運動会。中でも注目の3部の主将に意気込みを聞き、運営を担う総務部の実行委員には見どころを聞きました。他大に負けるなど研究でも運動でも許せないですよね…? 応援しましょう。勝ちましょう。

女子ラクロス部 佐藤三千瑠さん(経済学部・4年) “御殿下で全勝優勝を果たして「ただ一つ」を歌います!” Lacrosse

部員数はスタッフを含め65人で、運動会の女子部では最大規模です。運動部出身は約半数でラクロス経験者はゼロ。私は兄の友人がラクロス部女子で楽しそうだったので入部しました。去年のリーグ戦では、13年ぶりに進出した1部との入れ替え戦で成蹊大に惜敗しました。終了まで8分の時点で追いつきながら4連続失点で9-13。悔しさが募る一方で、1部は遠くないとも感じました。3年生で唯一のスタメンだった私がやらないといけないと思い、今年度主将を務めています。スローガン「勝利の開拓者」には、今度こそ初昇格をという念を込めました。

リーグ戦の重要な前哨戦となるのが七大戦です。過去9回優勝しており、直近では2019年に勝ちましたが、前回は京大に敗れ、3位でした。優勝した名大と関西リーグで1部に昇格した京大は、今年も強敵になりますが、主管校として全勝優勝を狙います。

私たちが得意なのは、ボールを奪って相手の守備が整う前に攻める「ブレイク」。DFが球を奪って持ち上がる形を磨いています。もう一つは走り勝つこと。ラクロスは交代が自由ですが、東大は強豪に比べ人数が少ない。各人が最後まで走り切るため、ラン練習に励んでいます。

注目株は3年の中村キアラ選手です。長身のゴーリーで、関東ユースに選抜されています。私は去年のリーグ戦では13得点でしたが、今年はもっと取って昨年得点王になった先輩に続きたいです。ラクロスは得点数が多く、ルールを知らなくても楽しめます。七大戦の会場は御殿下。勝って「ただ一つ」をともに歌いましょう。

バドミントン部 古橋郁一さん(工学部・4年) “伝統の金髪揃えで力強く打ち込む姿を見てほしい!” Badminton

バド部は男女が一体となって活動しています。部員は全部で35人ほど。関東学生リーグは6部まであり、東大は男女とも4部で3部昇格を目指しています。リーグ戦は春季と秋季の二つ。24校が6ブロックに分かれ、各ブロックの1位同士で戦って上位2校に入れば3部下位との入れ替え戦に進めます。東大は十分ブロック優勝を狙える位置につけています。

七大戦では、1週間かけて7大学が総当たりで戦います。シングルス6本+ダブルス3本で、5戦取れば勝利です。前回は男子も女子も上位につけていましたが、途中でコロナ感染が広がって大会が中止になってしまいました。男女とも久しく優勝していませんが今年は主管校として優勝します。強敵の北大戦がポイントでしょう。

今年のバド部は感情を表に出す人が多いです。七大戦では試合に出ない人がコート至近から盛り上げてくれます。あと、理由は不明ですが、4年生が金髪にして大会に臨むのが伝統です。今年は4年生が18人。金髪が揃うのは見どころかもしれません。私もそろそろ金髪にします。

プレーでは、相手に大きく上げさせたシャトルをスマッシュして決めることを大事にしています。細かい技巧に頼らず、手打ちにならずにしっかり足を運んで打つということが昔から奨励されてきました。相手を動かして細かく打ち分けるのをよしとする大学もありますが、うちではシンプルに力強く打って決めるのが正義です。会場の文京区スポーツセンターで、私の金髪姿とともに確認してみてほしいです。

水泳部水球陣 川﨑祐輔さん(工学部・4年) “七大戦三連覇で引退します 水着をつかむ奴は蹴ります” Water Polo

私は高校で水球部にいて、大学でもマイナー競技のほうが活躍できると思って入部しました。水球陣のホームは第二食堂地下プール(水深2.5m)です。関東学生リーグ2部に属し、一昨年、去年と4位。もう少しで入れ替え戦に進める順位ですが、上位とは実力差が大きいのが現状です。1チーム7人ですが、現時点で選手は5人だけで、今年度は新しく入る1年生にかかっています。有望な選手が来れば3位も目指せますが、そうでない場合は4位が目標です。

七大戦では、一昨年、昨年と優勝しており、今回は三連覇がかかっています。ライバルは例年九大ですが、今年は東北大も強そうです。一日目にリーグ戦を行い、二日目にトーナメント戦を行うのが通例で、リーグ戦で上位になればシードされます。前回大会はリーグ戦が3位でシード外でしたが、トーナメントは全勝でした。決勝の相手は九大。5人の4年生とともに3年の自分も出場し、10対9という僅差での勝利をつかみ取りました。

水球では、前列中央にいる長身選手が相手DFを制しながらボールを落とし、それを周囲の選手が拾って打つのが得点パターンですが、東大はこのやり方を採りません。中に切り込んで打つのが得意な左45(2列目左)の笠間栄伸選手(3年)が得点源です。リーグ戦は5月中に終わり、4年生の引退試合となるのが七大戦。水球は8月26-27日ですが、会場は栃木なので応援に来てとは言えません。でもマネージャーがインスタグラムでライブ配信する予定なので、見てください。右45からミドルを突き刺すサウスポーがいたら、それが私です。

公式グッズが続々登場!※価格は税込

タオルマフラー

1,100円

「62nd七大戦」と書かれた東京大学の「淡青」色のタオルのデザイン

トートバッグ

1,300円

キャラクター「イチ公」の横に「NANA DAI SEN」と書かれたクリーム色のトートバッグのデザイン

A5リングノート

400円

キャラクター「イチ公」の外の円に「62nd NANADAISEN」と書かれた東京大学の「淡青」色のノートのデザイン

第62回七大戦の公式グッズには、主管校の東大で実施したコンペで選ばれたデザインが使われました。東大運動会のマスコット・イチ公があしらわれており(マフラー以外)、東大生協ほか参加大学の生協でも買えます。クリアファイルはキャンパス各所で配布中なので探してみて!

クリアファイル

配布品

「イチ公」の左側に「第62回全国七大学総合体育大会」と書かれたオレンジ色のクリアファイルのデザイン

本郷・駒場で応援するなら!~教職員向け七大戦試合情報

本郷の御殿下グラウンドではラクロスが行われます(男子・6/17-18、女子・6/23-25)。御殿下体育館では卓球(9/6-10)が、御殿下記念館では空手(7/9)とハンドボール(8/20)が、駒場体育館では少林寺拳法(7/1-2)とフィールドホッケー(8/21-26)が、文京スポーツセンターではバドミントン(8/10-15)が、駒場テニスコートでは軟式テニス(8/26-30)が、安田講堂では総合開会式(7/8)と応援団演舞会(8/20)が、山上会館では総合閉会式(9/20)が観られます。詳細はwww.7univ-nanadaisen.jpで!

実行委員会の4人に聞きました

競技局長 梅津貴一さん(文学部・3年) ゴルフ部、副委員長 竹内誠一さん(農学部・4年) アーチェリー部、委員長 松尾一輝さん(工学部・4年) ヨット部、広報局長 竹下潤さん(理学部・4年) 馬術部

竹内 冬競技では、アイスホッケー部と航空部が優勝し、スキー部は4位でした。現在、東大は勝ち点22で首位。阪大が14点で2位につけています。

梅津 7校参加の競技の場合、1位10点、2位8点、3位6点……というふうに勝ち点が入ります。

竹内 東大は主管校を務めた第55回で優勝しました。基本的に主管校が強く、主管校以外が優勝すると「主管破り」と特筆されます。56・57・58回と主管破りを果たしたのが東北大です。コロナで中止になった2大会を挟み、主管の61回も優勝。今回5連覇がかかりますが、絶対に阻止しないといけません

松尾 前回、1位だった競技は東大が6種目で東北大が4種目。最下位は東大が5種目で東北大は1種目。これが明暗を分けました。優勝候補でなくても3~4位を取る競技が増えれば……。

梅津 前回は航空部、男子ラクロス、ハンドボールなど東大が強い競技が途中で中止になりました。これらが復活する今回、総得点は伸びると読んでいます。

竹下 運動部以外の学生も巻き込みたいと思い、今回は七大戦グッズのデザインを学生に募りました。審査で選ばれたデザインを使った商品を6月から販売します。ビラを学生デザインサークル(designing plus nine)に頼んだのもその一環でした。

松尾 3万枚を参加校の新入生に配布し、近隣の高校にも配っています。未来の東大生に七大戦を知ってもらい、入学したら運動部に、という意図です。

竹内 現在、運動会入会率は3分の2程度。運動部に入部する学生は1学年600人程度です。

竹下 私は2020年度入学ですが入学後にコロナでずっと大学に来られないなか、運動部のつながりは心の支えでした

松尾 確かに。もしコロナがなかったら他にもやりたいことが増えて迷っていたかもしれませんね。大学から始めた競技で七大戦に出て活躍する人は結構います。皆が同じ条件でスタートできるのがいいところです。

竹内 予算規模は3000万円ほど。エントリー費を各大から集め、企業の協賛も集めて回しています。メイン協賛は学士会です。大塚製薬、アース製薬、白元アースからは、スポーツ飲料や感染症対策グッズや虫除けなどの物品を提供いただきました。今回は、田中貴金属から各競技のMVPにトロフィーをいただけることにもなりました。

松尾 今大会のスローガンは「原点に返り、深化させる」です。過去2大会が中止になり、前回も不完全な形だったので、まずは全競技の確実な実施を取り戻す。そして、一層応援される大会にする。プロとの連携と独自配信をあわせ開会式と5-6競技のウェブ配信を行う予定です。

梅津 4年生の引退試合となる競技もあり、各大学応援部の演舞もあります。応援部が行く競技を狙うのも楽しいかも。

竹下 広報局では各競技の結果をいちはやくTwitterで発信していきます。@nanadaisenのフォローをぜひお願いします。