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「世界の誰もが来たくなる大学」になるためのビジュアルアイデンティティ(VI)確立へ 4月から東大のロゴマークがちょっと変わります

2024年度から東京大学のロゴマークが変わります。どのように変わるのか、なんのために変えるのか、なにを目指しているのか。学内に検討チームを立ち上げ、大学の活動指針のもとで議論を重ねてきた岩村水樹理事に、今回のリニューアルにかけた思いを語ってもらいました。構成員が使用する際のガイドラインの要点とともに紹介します。

1948年 東大マーク(旧)、2004年 東大マーク(現)、2013年 英語略称をUTokyoに、2024年 UTokyo Logotype A

東大マーク(旧)は特別な場合のみ使用が認められる場合があります。

岩村水樹
理事 岩村水樹

広告、外資のコンサルティング、ブランド企業、大学教員などを経てグーグルアジア太平洋・日本マーケティング担当バイスプレジデント。2021年4月に本学理事(総長ビジョン推進担当)に就任。著書に『ワーク・スマート』(中央公論新社/2016年)ほか。本学教養学部卒。

東大のブランド価値を可視化する

2021年に理事に就任した当初から、東大にはビジュアルアイデンティティ(VI)の確立が必要だと感じていました。VIとは、ブランドの価値を可視化して伝えるデザイン要素全般のことです。2021年に発表した「UTokyo Compass」では、大学への支持と共感の増進という目標を掲げ、「新たなブランド確立のためのマネジメントシステム構築」を行う旨を記しました。検討チームを立ち上げ、複数部署の教職員とVIを考えるワークショップを行うと、各々が感じる東大の誇らしい部分として、世界の公共に貢献しようと高い志を持って研究に邁進していることなどが挙がりました。一方、多様性に富む学生や教職員が進取の気性を持って新しいことに取り組んでいるのに、それがあまり社会に伝わっていないとの指摘もありました。

現状では、印刷物でもウェブでも、組織やプロジェクトごとに違うスタイルの発信がされています。それらを見ても東大という一つの組織から出たものとは思えません。「世界の誰もが来たくなる大学」になるには、国外に伝わることが大事だと思いました。また、一貫したVIにより、国内では大変に強い東大というマスターブランドの強さを構成員のだれもが活用できるのはチャンスだとも考えました。

よりModernでFriendlyなロゴに

VIの軸となるロゴマークの検討では、世界の多くの大学の事例を集めて分析したところ、modernかtraditionalか、friendlyかformalかという2軸で整理することができ、東大の現状のものはtraditionalかつformal の象限に位置づけられることがわかりました。デジタルでの発信が主となる現代では、どのデバイスからアクセスしてもシンプルで直感的にわかりやすいことがデザインの基準となっています。私がバイスプレジデントを務めるGoogleのロゴ変更(2015年)もその流れに沿ったものでした。紙が主だった時代にできたものとデジタル時代にできたものとでは自ずと作り方が異なります。Googleが2014年に発表したマテリアルデザインの考えが現在は主流となっています。情報のやりとりの主流はモバイルであり、小さな画面で見る際の視認性の高さが重要です。それを踏まえて、formalよりfriendlyを、伝統より未来を志向するVIを、と決めました。

ロゴの文字部分は、黒色だと厳格で権威的な印象につながると考え、明るくオープンな姿勢を示すためにスクールカラーの淡青色に変更し、黄色と淡青色の組み合わせを強調。フォントも現代的なものに変更しました。一番のポイントは、メインのロゴを「UTokyo」とすることです。世界に開かれた大学のシンボルとしては、読める人が限られる漢字よりも多くの人に伝わる可能性がある英字がふさわしいと判断しました。

これは大きな変更でした。「UTokyo」は「University of Tokyo」の一般的な略称ですが、浸透しているとは言えず、私自身も理事に就任するまで知らなかったぐらいです。一方、海外で「東京大学」と示しても「Todai」 と伝えても、わかる人は残念ながら限られます。世界の公共性に奉仕する大学であるために、まずは存在を知ってもらうことが必要と判断し、思い切って舵を切りました。場面に応じて使ってもらえるよう漢字・英字併用のロゴも用意し、構成員向けのVIガイドラインも制定しました。ルールに沿えばだれでも使える、東大コミュニティにとってアクセシブルなVIですので、積極的に使ってほしいと思っています。

UTokyo Logotype C(Secondary)

FormalとFriendly、TraditionalとModernからなるポジショニングマップ
世界の主要大学のロゴマークを集め、検討チームで配置したポジショニングマップ。東大は、よりfriendlyに、よりmodernな位置へとシフトします。formal ⇄friendly は、subtle⇄boldと考えてもおかしくないでしょう。東大のほかが何大なのかは想像してみてください。

“UTokyo時代”の始まりです

UTokyo Logotypeは、変化が大きい時代のなかで、東大が世界の誰もが来てくれる場であるためのシンボルです。学会発表でもプレゼンテーションでも打ち合わせでも、何か学外の人とやりとりする際には、所属部局・部署のロゴと組み合わせてどんどん使ってください。“UTokyo 時代”の始まりです。未来の世界を見据えて新しい東大に向かおうというこのムーブメントにぜひ参画してください。

そのロゴがついたTシャツを自分で着たいかどうかという「Tシャツテスト」を考えると、新しいUTokyo Logotypeなら私自身も着て外に出たいと思えそうです。理事就任時、本誌で「Unlock the Potential!」というメッセージを出しましたが、今回のロゴがそのためのスプリングボードになることを期待しています。

VIガイドラインの要点

※詳しくはUTokyo Portalに掲載のVIガイドライン本体でご確認ください

◉部局・部署のロゴや名前と組み合わせて使えます

「UTokyo」と組織のロゴがある場合の配置を示した図 「UTokyo」と組織のロゴがない場合の配置を示した図
組織のロゴマークがある場合は、区切り線を入れ、左にUTokyo Logotype、右に組織ロゴを配置する形で使えます。組織のロゴマークがない場合は、UTokyo Logotypeと組織の英語名称を組み合わせる形で使えます(指定フォントの使用が必須です)。

◉推奨フォントと推奨カラーがあります

セリフ体として「Tiempos Headline」「ヒラギノUD明朝」「Noto Serif JP」、サンセリフ体として「National」「ヒラギノUD角ゴシック」「Noto Sans JP」の6種類のフォントを示した図 「UTokyo Yellow」「UTokyo Blue」「White」「Black」「UTokyo Green」「UTokyo Red」「UTokyo Purple」「UTokyo Light Blue」の8種類のカラーを示した図
VIガイドラインでは、コミュニケーションの場面に応じて3つの方向性を持つ8つのブランドカラーを使うことを推奨しています。また、セリフ体とサンセリフ体の推奨フォントとして6つのフォントを定めています。

◉本学構成員(教職員・学生)は審査不要で使えます

従来は広報課へのメール申請→審査→許可→データ提供というフローでしたが、今後はフォームから申請→データダウンロードという流れに変更。本学構成員ならロゴを使いたいときにすぐ使えるようになります。校友会、共同研究などの使用の際は従来同様に審査が必要です。

詳しくはVIガイドラインでご確認ください

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※閲覧にはUTokyo Accountが必要です。
UTokyo Portal→本部広報課→2 ロゴマーク

問い合わせ:内線22031 kouhoukikaku.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp

「UTokyo Portal」のQRコード
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4年ぶりに開催された古本リサイクルイベント ぴあサポ本祭り

2024年1月24日、総合図書館ライブラリープラザで「ぴあサポ本祭り」が行われました。ピアサポート(仲間による支援)活動に携わる学生たちが、不要になった古本を学内で集めて配布したイベントです。「支え合いのキャンパス」を目指す一環で4年ぶりに行われた取り組みを、集まった本の内訳とともに紹介します。

❶❷ 篠原咲希音さん 教育学部3年 ぴあサポ学生代表,渡邊陽基さん 文学部3年 ぴあサポ本祭り担当 ❸ ❹ ❺ ❻
❶ライブラリープラザの入口には本チームのメンバーが手がけた看板が。❷会場入口ではマスコットの手作り人形が出迎え。❸学生を中心に286人のお客さんが来場しました。❹棚の右端に見えるのは『1回で受かる! 普通免許問題集』(成美堂出版)。入試に比べれば簡単に思われる試験でも準備万端で臨もうとする東大生気質の表れか?❺オールドファンには懐かしいパラフィン紙(グラシン紙)カバーの岩波文庫も多数並んでいました。昔は新潮文庫や角川文庫のカバーもパラフィン紙でした。❻豪華な装幀の箱入りエンデ全集(岩波書店)。「目をつけていましたが、すぐに捌けてしまいました」(渡邊さん)

相談支援研究開発センターのピアサポートルームでは、学生ボランティアのピアサポーターを組織しています。研修を経て認定されたピアサポーターたちは、各々の興味や得意分野に応じてチームに分かれ、日々活動しています。20ほどあるチームのなかで、本好きの学生が集まる「本チーム」が運営するのが、「本祭り」。不要になった本を集め、必要な人に向けて配布する取り組みです。

本チームの担当者・渡邊さんによると、2018年と2019年に実施した後、本祭りはコロナ禍により休止。おすすめ本をウェブで共有する「ぴあサポ本棚」や、「雨の日に読みたい本」「卒業シーズンに読みたい本」などのテーマを決めて語り合う「ブックサロン」といったオンライン活動に注力してきましたが、機が熟した今回、4年ぶり3回目の開催となりました。

1700冊中1500冊が新天地へ

ポスターやウェブ、SNS、UTASなどで呼びかけた募集期間は、12月18日から1月22日。総合図書館の協力を得てライブラリープラザ入口に回収箱を置くとともに、各部局の図書館や研究室に協力を募って台車で本を回収する作業を重ねた結果、約1700冊が集まりました。「前回は800冊だったので倍以上です。たぶん1200冊程度は研究室からの寄贈です。特に社会科学系の先生がたくさん出してくれてうれしかったです」と渡邊さん。

1月24日、10人ほどの有志でプレハブ研究A棟のピアサポートルームから本を運び入れ、壁の棚に並べました。おおむねサイズごとに揃え、外国語の本はまとめたものの、あとはほぼランダムな配列。「想定以上に数が多くてそうするしかなかったんですが、宝探し感覚で見てもらえるかなとも思いました」(渡邊さん)。

12時に会場が開くと、お客さんが次々に訪れ、本は飛ぶように捌けました。なかには持参した紙袋いっぱいに本を詰める人も。3時間のうちに約1500冊の本が新しい持ち主を見つけました(残った本は東大基金の「Books for NEXT」へ)。

❼ ❽ ❾ ➓
❼❽会場には広報チームがカラープリンターで手作りしたしおりとブックカバーが提供されていました。❾教育学部で心理学を学んでいる篠原さんがマークしていた本。「ほかにも検査に関する本がたくさんありました。残ったら引き取ろうかな……」(篠原さん)➓持ち主による付箋や書き込みを目にすることがあるのは古本の一つの醍醐味。手に取った人にとってはgood bookかもしれません。

目指すは支え合いのキャンパス

当日は台車で本をピストン輸送する係だった学生代表の篠原さんによると、ピアサポートルームには、㊀心身の健康、㊁居場所づくり、㊂人とのつながり、㊃役に立つ情報の交換、㊄自己理解の深化、㊅多様なものの見方の獲得、という6つの目標があります。本祭りは主に㊃に沿う活動ですが、㊄や㊅にも関わりそう。ただ、目指す「支え合いのキャンパス」づくりは実際には難しく、構成員の協力がぜひとも必要だと学生代表は訴えます。

「体調が悪そうな人を見たら声をかけるとか、ちょっとした支え合いが日頃から生まれる環境が理想ですが、もちろん私たちだけではできません。学生同士の交流が自然に生まれる空間をつくれるよう、力を貸してもらえたらうれしいです」

「学生がふらっと立ち寄れる場をつくりたい」と願うピアサポートルームですが、知名度は約半数はあるものの、イベントへの参加者はまだまだ少ないとのこと。どこかでもぐらのマスコットを見かけたら、一歩一歩ピアサポート活動を広めている彼らのことを想像してください。

◉出版社別冊数

出版社名
1岩波書店163
2講談社63
3新潮社54
4中央公論49
5東京大学出版会47
6白泉社34
7文藝春秋31
7有斐閣31
9筑摩書房27
10角川書店24
11ミネルヴァ書房19
11日本評論社19
13勁草書房15
14早川書房13
15小学館12
15信山社12
17未来社11
18集英社10
18成美堂出版10
18双葉社10
18朝日新聞出版10

●著者別冊数

著者名
1美内すずえ34
2池波正太郎14
3郷田マモラ8
4カズオ・イシグロ7
5東野圭吾7
6佐々木毅6
7佐々木倫子6
7佐藤博樹6
7村上春樹6
10ミヒャエル・エンデ5
10伊坂幸太郎5
10加藤周一5
10山口定5

配布開始時点で棚にあった本の背を撮って広報課員が書名を読み取り、1700冊中の1000冊を数えてみると…。◉出版社別では岩波書店がダントツの1位(新書90冊+文庫45冊+その他28冊)。ほかにも新書と文庫を擁する老舗の版元各社が上位に入りました。6位の白泉社はすべて美内すずえ先生の名作漫画『ガラスの仮面』です。社会科学系の部局からの出品が多かったことは、有斐閣、ミネルヴァ書房、信山社といった版元の顔ぶれからも見て取れます。●1位のほか、3位(『モリのアサガオ』)と7位タイ(『動物のお医者さん』)に漫画家が入りました。2位は『剣客商売』シリーズ作が多数出品された時代小説の巨匠。4位は2017年ノーベル文学賞受賞者。5位、7位タイ、10位タイに現代日本文学の人気作家が入り、6位の第27代総長、7位タイの社会科学研究所名誉教授と、本学ゆかりの研究者の名も見られました。

ぴあもぐ
ピアサポートルームのマスコット「ぴあもぐ」。本誌次号に登場予定!

本祭りだけじゃない! 「支え合いのキャンパス」を目指すピアサポートルームの多彩な活動

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⓫8月、総合図書館前広場が縁日会場に。音を出せないため、「アイドル」「東京音頭」といった曲をFM電波で飛ばして参加者がバッジ型受信器で受信し、イヤホンで聞きながら踊るシステムを採用。暗闇の中、ワークショップで作った団扇や提灯を手に無言で踊る群れが、傍目には異様ながらも羨ましく見えたはず!⓬様々なアートを通じて人とつながり新しい自分を見つけるためのワークショップ。作品の数々は12月に総合図書館の展示スペースで披露されました。⓭11月にはキャンパスで独特な香りを放つ銀杏の実を掃除する取り組みを実施。⓮簡単なものづくりをしながらゆったりおしゃべりするのがぴあサポラウンジ。9月にはライブラリープラザでエコバッグとしおりを作りました。