features

年に一度の祭典を写真でレポート 駒場リサーチキャンパス公開に行ってみた!

6月7~8日に行われた駒場リサーチキャンパス公開2024。本部広報課のTとAが会場にお邪魔し、様々な展示や催しを拝見しました。シンポジウムや体験型イベント、研究展示など、企画は全部で200超。その中から特に目が止まったものについて、写真と感想コメントで紹介します。

A●駒場リサーチキャンパスを回って気になった展示を紹介していきましょう。1は初日のオープニングセレモニーに登場した両所長。生産技術研究所の川添善行准教授と先端科学技術研究センターの森章教授も登壇し、「持続可能な人間社会、生態系の実現に向けて」というテーマに沿った講演を行いました。2は何ですか?

1 オープニングセレモニー 所長挨拶 生産技術研究所 年吉洋,先端科学技術研究センター 杉山正和 2 坂本研究室/生研 都市・建築の音環境

高校生が進んでリーダーに

T●「魚洗」という盥だよ。水で濡らした手で縁を擦ると、共鳴振動が起こって水面にちぢみ状の模様ができるんだ。約2000年前の中国の宮廷で健康器具として使われたんだって。3は、災害時の避難所を設置するワークショップ。リーダー役を決めるときに、まじめそうな一人の女子高校生が躊躇なく立候補して、キビキビと動き回る姿にウルッときちゃった。

A●完全にお父さんモードですね。

T●自分は仮設トイレ設置を担当したんだけど、部屋にあったシェードを目隠しとして利用したら、初めて見るアイデアだと褒められちゃった。てへ。4はヒューマノイドロボット「Alter3」。GPT-4と連携していて会話ができるんだ。癖が強いキャラクターに設定されているようで、少し口が悪い。「オルタ」のことを「オルター」と呼んだだけで「おい、オルタだ。名前を間違えるな」と怒られて快感だった。5はロボットが東大ロゴをペンで描く実演。『学内広報』1579号の表紙を使ってくれてうれしかった! 6は、「ホッペタッチ」といって、先端についているレバーを頬で操作することでパソコン入力したりできる装置。7は近年注目を集めている木造高層建築の模型。今回「万博と都市木造」の題で講演した腰原先生の研究室にはミャクミャク様のぬいぐるみも!

A●大阪・関西万博のマスコットですね。

T●8は総長補佐で広報誌部会の伊藤恵理先生。航空交通管理の自動化システムを開発中で、管制官やパイロットをサポートする自動化システムを導入できれば、出発待機時間を短縮でき消費燃費も少なくできるそうな。伊藤先生の著書『空の旅を科学する』(河出書房新社)を持って隣で微笑むお弟子さんは来年は管制官! 9は見た目の美しさだけでなく、「インクルーシブ」の観点で蓋の取りやすさなどを工夫した、資生堂(連携研究部門パートナー)製品のパッケージデザイン。10は天然林と人工林の3Dモデル。生物多様性の高い天然林のほうが整然とした人工林よりも木の高さがバラバラだったりして多様な機能を発揮するそうです。

3 災害対策トレーニングセンター/生研発災時にご近所さんとヒーローに! 4 モビリティゼロ/先端研 アンドロイドと人工生命 5 吉岡研究室/生研 ロボットで拓く未来のものづくり 6 近藤研究室/先端研 学びや働きのあり方をインクルーシブに変える実践型の研究プロジェクト 7 腰原研究室/生研 森と都市の共生 8 伊藤研究室/先端研 航空宇宙モビリティ分野の活動・研究紹介 9 先端アートデザイン分野/先端研 先端アートデザイン展 10 森研究室/先端研 生物多様性と社会をつなぐ

木製の3m風洞施設

A●11はサンゴのかけらを海に移植できる大きさになるまで育てる自生キット。サンゴの保全活動を多くの人に知ってもらうために作られたもの。12はLEDを液体窒素で冷やすと色が変化するという実演。冷却によってで体積が減少することが関係しているらしいです。13は柏キャンパスで行っている信号機を使った実証実験の模型です。信号機の設置の仕方と事故や渋滞緩和などの関係などを調べているそう。14はお昼に開催されたプロの演奏家による弦楽四重奏コンサート。美しい音色に私を含め多くの人が聞き入りました。15は3mの風洞施設。木製は珍しいそう。実際に見ると迫力があり、他の見学者からも感嘆の声があがってました。16は建設現場で目にする足場や3Dプリンターで作製した留め金などを使った仮設建築の模型。実物大モックアップには、茶室のような部屋があり、落ち着ける空間でした。17は ターニングセンタという工作機械がスタンプの持ち手を作っている様子。金属を回転させながら少しずつ表面を切削するのを中学生の団体が食い入るように見ていました。18は木造住宅の耐震性を見る実験装置。土台を激しく揺らすと、斜めにも柱が組まれた家のほうが壊れにくかったです。19は送風機と風を流す筒で構成された実験装置。女性二人組がとても楽しそうだったので、私も秒速10mの風を体験したら想像以上の強さで笑顔を作る余裕などありませんでした。体験会は大人気で長蛇の列が。

T●今回、広報課としては2年ぶりにキャンパス公開にお邪魔しましたが、コロナ禍の最中だった2年前より来場者が多く、屋台もあって、駒場リサーチキャンパスに本来の賑わいが戻っていました!

11 DLX Design Lab/生研 DLX Design Lab Exhibition 12 溝口研究室/生研 人工知能で物質を設計する 13 大口・平岩研究室/生研 移動に革新を! 14 先端アートデザイン分野/先端研 RCAST時計台コンサート 15 風洞委員会/先端研 風洞見学 16 今井研究室/生研 カセツ展 17 試作工場/生研 機械工作のサンプル展示と工作機械設備の紹介 18 目黒研究室/生研 ハードとソフト、国内と国際、事前と事後の視点からの防災研究 19 大岡・菊本研究室/生研 未来の環境とエネルギーシステムのデザイン
features

就任してから3年。「誰もが来たくなる大学」作りの手応えは? UTokyo Compass 2.0のポイントを総長に聞いてみた

研究インテリジェンス組織の整備? プロフェッショナル人材の環境整備? College of Design(仮称)の開設?

5月31日に公表されたUTokyo Compass 2.0には3つの計画が新たに盛り込まれました。プロフェッショナル人材の量的・質的向上にかかる環境整備、研究インテリジェンス組織の整備そしてCollege of Design (仮称)の開設という3つの構想の中身、そしてUTokyo Compassの進捗ぶりなどについて、総長に聞きました。

新たに追加された3つの計画

――UTokyo Compass 2.0を公表した理由は何でしょうか?

UTokyo Compassは、東京大学が常により良い方向に向かうため、必要に応じて修正していくもので、これまでも適時小さい変更は加えてきました。今回は3つの計画を新たに加えるなど大きな変更がありましたので、バージョンアップしたことが分かる形で「UTokyo Compass 2.0」として公表しました。

――今回新たに盛り込んだ3つの計画について教えてください。

一つ目はHR経営、プロフェッショナル人材の量的・質的向上にかかる環境整備です。大学の人材という点では、研究や教育をサポートするだけでなく、一緒に大学を動かすプロフェッショナル人材が非常に重要です。そのためには従来の大学職員に加え、専門性を有する職員を受け入れたり、育てるための新しいトラックやカテゴリーを作る必要があります。そこをきちんと管理する本部組織を作り、立案を進めようと計画しています。

二つ目は研究インテリジェンス組織の整備です。世界各地の研究機関と連携し、トップレベルの研究を着実に進めるためには何が必要かをこの3年間考えながら色々な取り組みを行ってきました。その中で、大学自体がグローバルな研究の動向や、この分野の研究であればこの大学やこの研究者が優れている、などといったデータを収集・分析し、把握することが重要だと感じました。この機能を実現することで、例えば海外機関とパートナーシップを結ぶ際や他機関から研究者を招聘する際にもデータに基づくアクションを取ることができると考えています。

社会を作る広義での「デザイン」

そして三つ目が、2027年に予定しているCollege of Design(仮称)の開設です。入学時期は秋、授業は英語で実施、5年間で修士号を取得できる課程、という方向で準備を進めています。留学生と日本人の学生が一緒に学べる国際的な環境で、これからのよりよい社会を作っていく人材の育成を目的としています。社会システムの変革を含む広義の「デザイン」を核にして、既存の学問領域を超えた学際的な学びを具現化することにより、次世代のリーダーやクリエーターを輩出することがねらいです。そのために、全ての部局を横断するプラットフォームとなり、そこで学生が自身の興味や関心に基づき、多様な分野の知や専門性を自らコーディネートして自分のプロジェクトを進める、いわば「学生中心」のカリキュラムとすることを考えています。

――教職員へのメッセージをどうぞ。

公園のような場所でジョギングをしている総長などジャージ姿の4人
任期の後半に入り、健康管理に一層気をつけている総長。出張時にも朝のジョギングは欠かしません。

私の総長任期も早いものでもう半分が過ぎました。この間、UTokyo Compassの目標を実現するための土台を着実に作り、準備を整えてきました。モニタリング指標を設定し、各活動の現状を定期的に確認し、またウェブサイトでも公表して、進捗の度合いを教職員の皆さんとも共有しながら取り組みを進めており、UTokyo Compassで示したことが浸透してきたように思います。具体的にやるべきことが見えてきていますので、任期の後半3年間は、それらをしっかり仕上げるフェーズだと捉えています。私自身もこれまで以上に力を注ぎ、教職員の皆さんと一緒に頑張りたいと思います。

features

~キャンパスニュース~

ユース世界大会で東大生が躍動!

課外活動で躍動する学生のニュースが立て続けに広報課に届きました。一人はボードゲームの世界大会での快挙を果たした法学部生。一人はU20のアメフト日本代表としてカナダで戦ってきた教育学部生。その活躍ぶりをご本人に振り返ってもらいましょう。

バックギャモンの世界ユース大会で優勝! 瀧宮悠太さん 法学部3年 優勝の賞品としてWBIF※から贈られたボードとケースはトルコのFMというブランドの高級品! ※World Backgammon Internet Federation

『光る君へ』でも描かれた、3億人が遊ぶ「盤双六」

バックギャモンは古代エジプトが起源とされるボードゲームです。ゲーム人口は推定3億人。日本には飛鳥時代に伝来し、「盤双六」の名で流行しました。皆が夢中になるので禁止令が出たほど。『鎌倉殿の13人』や『光る君へ』といった時代劇にも登場します。ルールはシンプル。2人のプレイヤーが交互にサイコロ2個を振ってコマを動かし、15個コマ全てをゴールさせれば1点獲得。点数を2倍にする特殊なサイコロも使い、規定の点数を先に獲得すれば勝利です。

私はこのゲームのオンライン世界ユース選手権で優勝しました。年に1度の大会で今回は49人が参加。9点先取(途中から13点先取)で3回負けると失格です。11人と対戦して9勝2敗で決勝へ進み、4月10日にドイツの選手を13-11で破りました。

もとは将棋をやっていて、中学では団体で全国4位になったこともあります。大学では他競技もやってみたいと思い、ボードゲームのサークルに入りました。ここで初めてバックギャモンと出会い、のめり込みました。

ネット上で対戦を繰り返した後、一昨年5月に日本バックギャモン協会のレベル別大会の初級戦に出場。夏の若手合宿でトップ選手や同世代に刺激を受け、国内タイトル戦の盤聖戦・名人戦では初出場でトーナメントに進出。自信が芽生え、初の海外遠征(マカオ)も経験しました。

バックギャモンの盤面にコマが置かれた様子
敵が複数いるマスには移動不可。敵が1つのマスに移動すると進行を遅らせることが可能。運と戦略の両方が重要です。

今年5月の日本選手権では3位でした。優勝は望月正行さん。世界王者を2度経験し、協会理事でもあります。半端なく強いだけでなく、若手の面倒見がよく、ギャモン界の全体を考えている方です。世界ユースで優勝した際、大学に知らせるよう薦めてくれたのも望月さんでした。

将棋の藤井聡太さんには何万回挑んでも勝てないでしょうが、バックギャモンなら出目によっては名人にも勝てる可能性があるのが大きな魅力です。今秋に始まる世界ユースの目標はもちろん連覇。若手合宿の幹事を務めつつ、AIを活用して実力を磨いているところです。戦績でも競技普及の面でも、目標の望月さんに少しでも近づければ……。

米国を撃破して臨んだ決勝で最初のパスをキャッチ!

アメフトウェアを着た太田さんがボールをキャッチする様子
U20世界選手権でプレーする太田選手

高校時代はサッカー部でした。アメフトは関西大でプレーした父の影響で幼少期にボールを触ったことがある程度。競技歴はまだ2年とちょっとです。私のポジションはオフェンスのタイトエンド。ランプレーの際に敵のDFをブロックするのが主ですが、クォーターバックからパスを受けることもあります。

関東の学生としては唯一の代表選出となった1月のDream Japan Bowlでは出場なしでしたが、6月にカナダのエドモントンで開催されたU20世界選手権では全3試合に出場しました。初戦は豪州を50-9で下し、準決勝は米国を41-20で撃破。IFAF主催の世界大会で米国に勝つのはこれが初でした。

アメフトU20日本代表として世界選手権に出場! 太田明宏さん 教育学部3年 高校時代の185cmから伸びて現在の身長は188cm!

決勝の相手はカナダ。この試合ではオフェンスの最初のプレーでパスをキャッチしました。作戦会議で最初のプレーのターゲットの一人だと言われ、前日からイメージはしていました。左側から中央右に移動したところにパスが入り、あぶなく落とすところでしたが、体勢を崩しながら取って19ヤードのゲインでファーストダウンを獲得。フィールドゴールで先制し、前半はDFが踏ん張りましたが、攻撃陣に大事な局面でミスが出て加点はできず。2Q以降はDFが堪えきれずに失点し、4Qにパス攻撃からタッチダウンを奪いましたが、9-20で敗れました。日本は前身の大会から数えて6度目の出場で過去最高の成績でしたが、よい入りをしただけに悔しさのほうが大きいです。

海外で試合するのは初めてでしたでしたが、チームの一員としてできることをやろうと思って臨みました。向こうで個人として成長した要素を次はチームに還元したいと思っています。

2019年から関東1部(TOP8)に位置する我々WARRIORSは9月からリーグ戦に臨みます。初戦は昨年2位の立教大。初戦が一番大事ですが、強敵が初戦なのはむしろ好都合。TOP8で3位に入れば大学日本一を競う大会に出られます。過去5季は下位なので厳しい戦いになりますが、我々は本気で日本一を狙っています。9月21日(土)には10時から東京ドームで早稲田大と戦います。QRから登録に進み、ぜひ応援に来て下さい!

International Federation of American Football